松本人志への期待と失望「プロ根性で乗り越えましょう」 権力側の人間でしかないことが露呈

wezzy / 2019年7月24日 16時25分

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 吉本興業のパワハラ体質が一気に噴出した。20日、反社会的勢力への闇営業で金を受け取っていたことを認めた宮迫博之と田村亮が東京都内で会見。「ノーギャラ」の嘘を謝罪するとともに、吉本興業の社長から恫喝されたことなどを暴露した。これを受けてダウンタウン松本人志が<松本、動きます>とツイートし、吉本興業の岡本昭彦社長らと急遽会談。翌21日の『ワイドナショー』(フジテレビ系)を生放送とし、問題の解決を目指して上層部とかけあったことを明かした。この時点では、松本人志は“ヒーロー”だった。

 しかし吉本興業の岡本昭彦社長が7月22日に都内で開いた会見は、あまりにもひどいものだった。5時間半にも及ぶありえないほどの長時間会見。この内容の一部を各局が生放送で中継したが、あまりのグダグダ具合に生中継視聴を途中で離脱する人が続出するほどだ。<これは単なる保身会見><ダメな会見の見本みたい><こんな人がトップだなんて、吉本大丈夫か?>など、ネット上では厳しい声が飛び交う。

 この会見を見てがっかりしたのは、吉本に所属している芸人たちも同じだったようだ。とろサーモン久保田かずのぶは、<知り合いの芸人、先輩後輩同期、皆同じことを思ってる。頼むから汗の書いた文字が欲しいんです。生きてる言葉をください血の通った発言を聞きたいんです>とツイッターに投稿。相方の村田秀亮も、<結局わだかまった状態で終わったぞ…よし、明日も漫才がんばろ!>と投稿している。

 また、トレンディエンジェル斉藤司(40)はこの日『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ系)に出演、生放送の場で自らが所属する会社のトップの会見を見ることに。会見中継中、画面の隅のワイプに写る斉藤は何度も頭を抱え、「皆さんに申し訳ない。僕はこの会社だったんだ。なんかすごく情けない」「何でこんなに回りくどいことばかり言ってるのか」と番組内でコメントした。

 ダウンタウンと同期の漫才コンビであるハイヒール・リンゴ(57)は、関西ローカルの情報番組『ちちんぷいぷい』(MBSテレビ)で「(岡本社長と大崎洋会長の1年間の減俸50%は)軽いのか重いのか判断できない。(全員クビの発言は)言われた方は傷つく。パワハラの典型」と話した。

 岡本社長の会見に「納得」している人は皆無だ。だが、松本人志は23日、次のようにツイートしている。

<寝不足芸人がいっぱいやろな~
でもプロ根性で乗り越えましょう。
私達は生まれつきオモロイ。>

 プロ根性で乗り越える? 生まれつきオモロイ? かたや加藤浩次は『スッキリ』(日本テレビ系)において、岡本社長の辞任を再三要請し、「50歳過ぎて人は変われない。社長が変わるためのリハビリ期間に付き合っていられない」と三行半を突きつけた。パワハラや契約について、企業としての吉本興業の体質改善を求める声は多くの芸人たちから上がっている。だが松本人志は「プロ根性で乗り越えましょう」ときた。彼に期待していた後輩芸人たちや視聴者は、さぞがっかりしたことだろう。

社長とコミュニケーションを取れるのはダウンタウンほか数名のみ

 続々と吉本所属芸人が声を上げる中、やはり吉本興業所属のタレントである清水圭も、ブログを更新。清水は『ワイドナショー』での松本人志と東野幸治の意見に、次のように疑問を呈した。

<松本さんと東野の意見はすばらしかったけど ちょっとズレてるところがあるなぁという部分はありました>

<誤解を恐れず言うと 若い頃から大崎氏・岡本氏とチームを組んでやってきたダウンタウンさんや今田、東野、板尾、木村祐一などは おそらく他の数多の芸人が感じているであろう吉本の恐ろしさをあまり知らないまま、今まで来たのだろうなと思いました>

  清水のこの発言は的を射ているだろう。彼が上記に名を記した面々は、大崎会長や岡本社長とともに吉本興業を成長させてきた立役者である。松本に至っては、『ワイドナショー』において松本人志は、「(大崎会長が)これ以上、騒ぎが大きくなるようなら自身の進退も……なんて言ってましたけど、それは止めます。もし大崎が辞めるなら僕も吉本興業を辞めます。ずっと一緒にやってきたアニキなんでね」と話していた。

 だが、松本ら一部の芸人らは上層部と対等に意見を交わすこともできるだろうが、6000人もいる吉本芸人のうち大半は、上層部とまともなコミュニケーションを取ることも叶わないのではないか。岡本社長は、会見で何度も「コミュニケーションが足りなかった」と弁解したが、吉本興業内に対等なコミュニケーションなどそもそも存在しなかった可能性すらある。

 清水は過去、岡本社長から理不尽な恫喝を受けたこともブログで暴露した。それは2001年に放送されたドラマ『明日があるさ』の収録現場でのこと。台本の準備稿と比べて、決定稿では自分の出番が比較にならないほどにカットされていることを疑問視した清水は、当時のマネージャーに「なんでこうなったのかの説明がなかったら俺出られへんわ」と訴える。すると後日、それまでほとんど面識のなかった岡本社長(※当時は社長ではない)が突然控え室に現れたという。

 岡本社長は清水のマネージャーを楽屋の外に出し、清水と二人きりになると、清水の説明を聞くこともなく「なにが文句あるんですか? 言うときますけど、テレビ局もスポンサーも清水圭は要らんと言うてるんです。それを吉本がお願いして出られるようにしてあげてるんです。会社のやり方に文句があるなら、いつ辞めてもらってもいいんですよ」と圧力をかけてきたという。清水は「ドラマには出る。もう帰ってくれ」と岡本社長を追い返したらしい。

 清水は当時の様子を振り返ったあと、「あれから18年。社長になっても岡本氏はなにも変わっていませんでした。まず人払いをして、話を聞かずいきなり恫喝する。このパターンは私の時と全く同じです。以上のことから考えても、宮迫の言葉は信じるに値します」「今日の会見においても岡本氏は何度も『コンプライアンス』と口にしました。ひとを平気で恫喝する人間が芸人のコンプライアンスの話をするってどの口が言うとんねん!」と怒り心頭の様子でぶちまけている。

芸人たちのクーデターは始まっている

 清水圭の『明日があるさ』の出番カット自体は、筆者は正直、「演技などの問題から、現場サイドが悩んだあげくに出番カットとなった可能性もあるのでは?」とも思った。ただ、「人払いをして、圧力をかける」という岡本社長の姿勢は確かに一貫しているようだ。宮迫博之と田村亮も、岡本社長が吉本興業のスタッフや弁護士を部屋から締め出して芸人4人だけにした状態で「テープ録ってないやろな」「会見するなら連帯責任で全員クビや」と言った、と証言している。

 そして『ワイドナショー』において松本が発した「大崎さんが辞めたら、俺も吉本辞める」という発言も、本気で吉本興業という大企業の体質改善に取り組む気があるのか疑わしいと思える。大崎会長は、闇営業騒動を受けてのインタビューで、「吉本興業は家族。だから芸人との契約はしない」「ギャラが安いとは思わない」などと答えており、末端の芸人側から出ている訴えには全く応じようとしていない。その大崎会長を、松本は擁護している。松本が会長をかばってしまったら、若手はモノが言えなくなってしまう。松本こそが、若手芸人たちに圧力をかけていることになってしまうのではないか。

 そんな雰囲気に臆することなく、加藤浩次は『スッキリ」で「上層部が刷新されないとなにも変わらない」「退社も辞さない」と異論を述べ続けている。加藤は本日23日に大崎会長と会談するという。このまま加藤ひとりが退社しても、騒動終了とはならないだろう。今の吉本興業上層部に納得がいかない芸人たちは多く、上層部と懇意にしているベテラン・松本人志と、中堅~若手芸人たちとの温度差は非常に大きい。

 最後になるが、この問題は「吉本興業だけが悪い」というものではなく、反社会的勢力からお金を受け取ったにもかかわらず「一切受け取ってない」と嘘を述べた宮迫らの過ちは確かなものだ。それにより、彼らの証言の信用性を吉本側が疑い、関係に亀裂が入ったことは偽りではないだろう。宮迫と田村が「何も悪くない」ということは決してない。

 だが、田村亮が述べた「嘘をついたことを謝罪させてほしかったのに、(吉本上層部から)それを止められ、引退を迫られた」という話から、芸人たちの間でこれまでくすぶっていた吉本興業への不満が一気に噴出した。これはもはや、芸人たちによるクーデターと化している。この騒動の終着点はまだ見えない。

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