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子どもの食物アレルギー「念のため食べさせない」は間違っている? 大きく変わりつつある常識と意外な予防法 

Woman.excite / 2015年9月11日 5時15分

子どもの食物アレルギー「念のため食べさせない」は間違っている? 大きく変わりつつある常識と意外な予防法 


© PeoGeo - Fotolia.com


食物アレルギーになるのが心配だから、離乳食の開始を遅くして卵や牛乳は避けている。そんな方も多いかもしれません。でも、ちょっと待ってください。なんと最近、特定の食物の摂取を遅くしたり避けたりするほうが、食物アレルギーになりやすい可能性があることがわかってきました。

さまざまな情報が飛び交っているからこそ、きちんと知りたい食物アレルギーのこと。予防の常識が大きく変わりつつある今、最新の研究で明らかになった意外な予防法についてご紹介します。

食物アレルギーのある乳幼児の割合は5~10%
「食物アレルギー」とは、食物を食べたり、触ったり、吸い込んだりした時に、免疫システムがはたらいて起こる有害な反応のこと。症状は、かゆみや発疹などが最も多く、中には呼吸困難、意識障害などの重い症状に苦しんでいる方もいます。

日本では、乳幼児の5~10%に食物アレルギーがあるものの、年齢とともに減り、小学生以上では1.5~3%と推測されています。特に、卵、乳製品、小麦については、80~90%が就学前には自然に治っているというデータもあります。

「念のため食べさせない」は食物アレルギーの予防にならない?
これまで食物アレルギーの予防には、

1.離乳食の開始を遅らせる
2.アレルギーが心配な卵、乳製品、小麦などは、念のため避ける
3.妊娠中や授乳中は、アレルギーが心配な食べ物は念のため避ける

この3つが有効と考えられてきました。しかし、それらの情報の信ぴょう性が、ここに来て大きく変わってきているようです。


まず「1.離乳食の開始を遅らせる」ですが、離乳食の開始が遅めになっているのに、アレルギー患者が増えていることから、国立成育医療センターの大矢幸弘アレルギー科医長は、「食べ始めを遅らせても、アレルギーの予防にはならない」と見ています。(注1)

また、「2.アレルギーが心配な卵、乳製品、小麦などは、念のため避ける」についても、気になる調査結果があります。

今年(編集部注:2015年)、英国で行われた、子ども640人を対象にした調査では、乳幼児期からピーナツを食べ始めた子のほうが、5歳までピーナツを控えていた子より、ピーナツアレルギーになりにくいとの研究結果が発表されました。このことから、「食物アレルギーの頻度が高い食物も、除去するより早めに食べるほうがよい」可能性が高いという認識が広がりつつあるようです。

それに伴い、現在世界中で、アレルゲンになりやすい卵、牛乳、小麦に関しても、早く食べるほうがいいのかどうかという研究が進行中です。

ちなみに日本では、環境省が2010年度から行っている10万人規模の追跡調査において、生後6ヵ月以前に米を食べさせ始めた人が79%いるのに対し、牛乳は9%、鶏卵は10%に過ぎず、生後9ヵ月でも鶏卵は46%、牛乳は53%が与えていないという結果が出ています。(注2) この割合も、今後は変わる可能性があるかもしれませんね。

なお、「3.妊娠中や授乳中は、アレルギーが心配な食べ物は念のため避ける」については、妊娠中や授乳中にママが食事制限をしたからといって、食物アレルギーの予防になるという科学的な根拠はありません。特定の食品を避けずに、ママは必要な食事をしっかり摂って、赤ちゃんに栄養を届けましょう。


スキンケアで食物アレルギーが予防できる? 新しいアレルギーの予防法
このように、食物アレルギーに関して、次々と新しいことがわかってきていますが、確実な予防法はまだ見つかっていないのが現状です。

しかし、最近の研究では、「スキンケアをすることでアレルギーが予防できる可能性が高い」と考えられています。
大矢医師(前出の国立成育医療センター・アレルギー科医長)は、「食物の成分は、ほこりにまじる形で比較的多くあり、皮膚の状態が悪いほど体内に入りやすいと考えられる」(注1)と話します。少し噛み砕いて解説すると、以下のようなことです。

・食物の抗原(アレルゲン)は、空気中のほこりにも含まれていると考えられています
・肌が炎症などを起こしてバリア機能が低下していると、バリアの弱まった皮膚の隙間からほこりに混じったアレルゲンが侵入します
・アレルゲンの侵入によって、体内では免疫システムが反応して抗体を作り始め、アレルギーの原因物質に反応する準備ができている状態になります
・この時点でアレルゲンとなる食物を摂取してしまうと、食物アレルギーになりやすくなります

現在、このような仮説が有力なようです。
ですが、皮膚から抗原が侵入しても、アレルギー反応を起こす準備が完全に整う前にその食べ物を食べれば、身体の中に受け入れようとする免疫が強くはたらくため、アレルギーにはなりにくいと考えられています。

けれども、これまでのようにアレルギー予防のために特定の食品の摂取を避けたり遅らせたりすると、逆にアレルギー反応を起こす準備が整ってしまうため、食物アレルギーを起こしやすくなるというわけです。

したがって現在、食物アレルギーを研究する医師の間では、「すでにアレルギー反応が出ている場合以外は、特定の食物を除去しないほうがよい」と考えられるようになっているそうです。


つまり、最新の食物アレルギー予防策としては、

・赤ちゃんの肌を清潔にし、保湿をして肌のバリア機能を高め、皮膚の保護機能を低下させないように気をつけること
・離乳食は開始を遅らせず、特定の食品を避けずに進めること

以上2点が大切といわれています。

なお、アレルギー予防の常識は日々変わっている真っ最中。
国立成育医療センターの成田雅美医師によれば、「私たちアレルギーの世界では主流となる考え方であっても、小児科医や産婦人科医、助産師や保育士など、現場に情報がいきわたっていないのが現状」(注3)とのこと。そのため、病院や保育園などで行われる指導と、ここに書かれていることは異なる可能性もあります。

その場合、医師や保育士、栄養士などと相談しながら、現状で最善と思われる対応をとっていってください。

(注1)東京新聞 2015年7月10日
(注2)環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査」の中間集計から
(注3)「ちいさい・おおきい・つよい・よわい no.99 園で、学校で、給食で…食物アレルギーからいのちだけは守る」(株)ジャパンマシニスト社

参考:食物アレルギーの専門家が最新情報を発信【アレルギーラボ】 http://allelab.jp/


(KANA)

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