おかっぱちゃんの子育て奮闘日記 vol.3 「はじめてのおっぱい」
Woman.excite / 2015年9月24日 7時15分
壮絶なお産を経て、ようやく息子が誕生した。
小さな小さな手足。お猿さんのようなくしゃくしゃの顔。
狭い産道を通って来たせいで、頭は宇宙人のように後方に向かって尖っていた息子。
それでも、かわいい。
死にそうな想いをして産んだ自分の子は、想像以上にかわいかった。
「あぁ、本当によかった。本当によかったよ」。
お産に立ち会ってくれた夫も、堪えきれず泣いていた。
世の中のお母さんが同じような痛みを経験して、こどもを産んで来たことに驚きを隠せなかった。あんな思いをして、みんなこお母さんになっていたのか…。
なんたる凄まじい忍耐力なんだろう。
出産は過酷だ。世界中のお母さんに頭が下がる想いだった。あんなに力を振り絞った経験は未だかつてない!
小さな息子を抱いて分娩台に寝たまま、ぼお~と天井を眺めていると、助産師がやってきて
「おっぱいあげてみましょうか」
と話した。
え? もうあげるのか! それよりも、この貧弱な胸から乳が出るのだろうか?
息子を抱き寄せて顔をお乳に近づけてやると、目を閉じたままお乳を吸い出すのだから驚く。そして、わたしのおっぱいも待ってましたと言わんばかりに出てくるのだから、さらに驚く。
何も教えていないのに、自然と身体は動く。
出産も、初めてのおっぱいも想像していたよりもずっと神秘的な体験だった。
しばらくして、病室へ移りベッドの上に横になる。
わたしが選んだ病院は、産まれた直後から母子同室。
産着に包まれた小さな小さな赤ちゃんは、小さなベッドの上ですやすやと眠っている。
20時間ずっとお産に立ち会ってくれた夫もさすがに疲れたようで、身支度を整え明け方家に帰っていった。
身体を起こそうとするも、全身ガタガタ。
身体が言うことを聞かないほど疲れきっていた。
「あぁ、痛かった。痛かったな~」
すぐ隣では寝息を立てている、小さな赤ちゃん。
かわいい寝顔を見ていると、ほっとしたのか、さっきまでの痛みがすでに和らいでいることに気づく。人間て、本当にすごいなあ。
病室の窓から外を眺めると、ちょうど夜が明けるころ。
朝日がとても眩しい。
わたしの新しい朝がやってきた。
(Boojil)
つづく
(Boojil(ブージル))
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