未来に伝えたい美味しい絶景!天然の和菓子 「紅干し柿」
Woman.excite / 2015年12月15日 12時0分
野菜ジャーナリストとして取材している中で、未来に伝えたい、と感じる美味しい絶景に出会うことがあります。今回ご紹介したいのは、自然と人の知恵が作り出した天然の和菓子とも言える干し柿づくりの現場です。
なかでも美しいことで知られる、山形県上山市にしかない「紅柿」の「柿のれん」が織りなす景色。その背景にあるストーリー、生産者さんに教えていただいた干し柿の意外な食べ方もご紹介しましょう。
紅色鮮やか&とろける食感の「紅干し柿」
干し柿は、先人が編み出した渋柿を美味しく食べるための知恵であり、保存法のひとつ。食べたことがあっても、地域によって柿の種類や作り方に個性があること、その背景に計り知れぬ手間がかかっていることは、あまり知られていないのではないでしょうか。
山形県上山市は晴天の日が多く、「蔵王おろし」という寒風が吹く、干し柿づくりに絶好の気候風土に恵まれた土地。その上山市でしか育たないと言われるのが「紅柿」です。名の通り、朱色がかった紅色が美しい柿で、葉も真っ赤に紅葉するのだそう。
また、日本でも一、二とも言われる渋さをもつ渋柿で、その渋さゆえに干し柿にすると濃厚な甘さに。さらに繊維が細かいため、とろけるような食感で極上の干し柿として知られています。
美しさの影にある、手仕事の結晶が「紅干し柿」
11月末、「はせ」と呼ばれる干し柿専用の干し場に柿が連なる「柿のれん」が見られるタイミングに上山を訪れました。冠雪した蔵王を背景に、赤いカーテンが見渡す限り続く眺めはまさに絶景。でも近くで見ると、その繊細で途方もない仕事の凄みが迫ってきます。
というのも、干し柿づくりは細かい作業と熟練の技の連続。まず柿は縄に吊るせるように軸をT字に切りながら収穫、ヘタを取り、皮をむきます。それを紐に連ねる「連作り」をして、屋外の「はせ」で2週間ほど天日干し。その後、室内の「むろ」に取り込んで湿度や温度を調整しながらさらに乾燥させます。ここが干し柿の味を決める、熟練技の見せどころなのだそう。
その後、柿をもみほぐしながらタワシで磨き、「白粉(しらこ)」と呼ばれる糖分の結晶が出やすくします。白粉がふいたら結束作業をしてやっと完成です。
「むろ」を見学させてくださった干し柿名人の北澤さんご夫妻は言います。「40年以上やっても毎年環境は変わるから、理想に近づけるためには硬さを確認して、火加減の調整をしたり、寝るヒマもないのよ」。皮をむいてからの約2ヶ月間は、つきっきりなのだそう。特に今年は寒くなるのが遅かったため、乾燥する前に傷んでしまった柿も多く、とりわけ苦労が多いご様子でした。
硬くなってからも楽しめる! 干し柿の意外なアレンジ術
そんな「紅干し柿」もいよいよ12月中旬、完成の時を迎えます。やはり「できたてをそのままいただくのがイチバン!」だそうですが、産地ならではの「紅干し柿」アレンジ術も教えていただきました。
緑茶をかけて、20~30分ほど置いてから、お茶の水気をきり、冷蔵庫で冷やすと、柔らかな干し柿に。そこにきな粉をかければ、簡単和スイーツが完成です。
硬くなった干し柿の良さを生かすなら、スライスして、食べる直前のサラダに和えてみましょう。他の食材やドレッシングの水分を程よく吸って、食べごろに。大根、酢と和えれば柿なますに。干し柿の甘さと酢のハーモニーは最高です。
産地でも人気のアレンジは、「チョコとせんべいと干し柿と」。食べやすい大きさに切った干し柿と、割った煎餅を、湯煎した板チョコレートでまとめると、干し柿の甘さとせんべいの香ばしさが後を引く美味しさに。
他に、「干し柿の洋風揚げ」という意外すぎる食べ方も。干し柿のヘタをとって、下半分に衣をつけて揚げ、食べる直前にマヨネーズをトッピングするのがポイントだとか。
上山の気候風土、先人の知恵、寝る間も惜しむ苦労、それらが折り重なって初めてできる「紅干し柿」は、ドライフルーツというより、モノを加えず「こと」を重ねることで作り上げられた、珠玉の和菓子。苦労を知って大切にいただくことが、上山にしかない「紅干し柿」づくりの景色を絶やさない一歩につながるのでは、と思いました。みなさんも上山だけの冬の味覚、味わってみませんか?
・「紅干し柿」のお取り寄せ先
山形農業協同組合オンラインショップ
http://ja-yamagata.net/
取材協力/
・山形県上山市
http://www.city.kaminoyama.yamagata.jp/
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【2024年版】 いつか行きたい! 日本の春の絶景 ~北海道・東北~全70スポット!
CREA WEB / 2024年4月27日 9時0分
-
日本情報通信、山形県上山市の生成AI導入・活用をサポート
@Press / 2024年4月26日 15時0分
-
【宮城県 2024年版】 春の絶景・風物詩10選 青空と真白な雪の対比が美しい春だけの“雪の回廊”
CREA WEB / 2024年4月21日 11時0分
-
古窯グループが2024年度入社式・新入社員研修「ウェルカムキャンプ」を実施。〈実施レポート〉
PR TIMES / 2024年4月18日 12時45分
-
春の恒例イベント!4月20日、花咲く春の地域合同マルシェ『さくまる』が村山市の体験型グランピング施設yamagata glamにて開催!
PR TIMES / 2024年4月17日 12時15分
ランキング
-
1ウインナーは切り込みNG?「ずっと間違ってた…」食品メーカーが“おいしさ損ねる三箇条”を伝授
ORICON NEWS / 2024年5月4日 17時30分
-
2スターバックス、8日から“人気フラペチーノ”が復活 「絶対に買いに行く」と意気込む声が続出
Sirabee / 2024年5月3日 4時0分
-
3コンビニは「前向き駐車」すべき? なぜ「バック駐車」は推奨されない? “納得の理由”と守らなかった際の「悪影響」とは
くるまのニュース / 2024年5月2日 17時10分
-
4なぜ「立体駐車場」ではタイヤが“キュルキュル”鳴る?「特殊な床」が原因なの!? 異音には「部品の劣化」の可能性も
くるまのニュース / 2024年5月4日 14時10分
-
5国産米100%なのに「グミ食感」って...どういうコト? 老舗おせんべい屋さんが作った謎のお菓子を食べてみた
Jタウンネット / 2024年5月4日 17時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください