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インフルエンザが流行る前に知っておきたい! 病気の子どもを黙って保育園に預けたら罪になる?(法律で切るママトラブル Vol.9)

Woman.excite / 2015年12月16日 5時15分

インフルエンザが流行る前に知っておきたい! 病気の子どもを黙って保育園に預けたら罪になる?(法律で切るママトラブル Vol.9)

「明らかに病気の子」を預けた親は罪になる?

急に寒さが強まってきましたね。小さい子がいる家庭では、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなどの感染症が心配な季節です。そこで、今回は、子どもが保育園で病気などをうつしてしまった場合、親や保育園にはどんな責任があるのかを、アディーレ法律事務所の島田さくら先生と考えてみましょう。

 



© Sabphoto - Fotolia.com


「明らかに病気の子」を預けた親は罪になるのか?
通常、保育園では、風邪や感染症の2次感染を防ぐため、園児の体調について親に申告するよう求めています。ただ、「風邪」という基準だと判断がつかないため、各園で「37.5℃以上の熱がある場合」「平熱より1℃高い場合」「下痢や嘔吐がある場合」といった具体的な基準を定めて、このような症状がある場合には預かりをしない運用をとっています。

また、保育園における感染症予防については、厚生労働省が「保育所における感染症対策ガイドライン」を発表しており、それに基づいて、通常、保育園では入園に際しての契約書等で、感染症にかかった場合の登園の基準を定めています。

感染症とはたとえば、麻しん、風しん、水痘、流行性耳下腺炎、インフルエンザ、RSウイルス感染症、百日咳などですが(これ以外にも多数あります)、園が感染症と認定しているものに対しては、症状が治まっても、登園のためには、医療機関の発行する「登園許可書」や「治癒証明書」の提出が必要とされています。

このように、保育園としては、ほかの園児に病気がうつらないよう努めることを、親に周知しています。なので、親としては、保育園での決まりや基準を守って、ほかの園児にうつらないよう気をつけなければなりません。

とは言え、「病気の子どもを保育園に預けたら犯罪!」とまでは言えないでしょう。
理屈の上での話をすれば、他人にわざと病気をうつしたら傷害罪、また、わざとでなくても注意義務を怠って他人に病気をうつしたら過失傷害罪となることが考えられます。

しかし、犯罪が成立して処罰されるのは、懲役や罰金等の刑罰をもって処罰しなければならないような場合に限られます。そうすると、そこまでする必要があるのか、子どもを保育園に預けるという行為が傷害といえるのか、等々の問題が出てきます。

また、実際問題として、その園児からほかの園児に病気がうつったんだという因果関係を証明するのは難しいですし、警察が捜査を始めるということもないでしょう。


親はどのように責任をとるのか
わざと他人に病気をうつせば、故意に他人の健康を害してしまっているため、民法上の不法行為(故意または過失により他人に損害を与えること)が成立し、病気がうつってしまった相手に治療費や慰謝料を支払う必要が出てきます。

ただ、子どもを保育園に預けた結果、病気がうつってしまったというだけであれば、この行為が不法行為といえるのか、どうのようにして因果関係を証明するのかという問題もありますので、これは現実的ではないでしょう。仮に、子どもがよくかかるような病気をうつしたから損害賠償だ!と言われてしまうと、おちおち子どもを預けることもできなくなってしまいますよね。

ただ、登園が禁止されている状態なのに、何度注意しても子どもを登園させることを繰り返すといった場合には、契約違反となり、保育契約を解約されることも考えられます。


病気の子どもを預かってしまった保育園の責任もあるのか?
保育園の責任については、ちょっと難しいですが、以下のように定められています。

(1)保育園には感染症対策をする義務がある
厚生労働省のガイドラインによれば、保育園は、感染症を防ぐため、感染症対策をすることを責務とされています(集団予防義務)。保育園の職員は、病気の感染予防や対策について十分に理解し、日々の衛生管理等に活かしていくことが必要です。また、保護者に対して、口頭で、又は保健だよりや掲示等を通じてわかりやすく伝えることが求められます。

そのほか、早期診断・早期治療・感染拡大防止に繋げるため、感染症が発覚した場合には、全職員が情報を共有して、速やかに保護者に感染症名を伝えるなど感染拡大防止策をとる必要があります。

(2)保育園で悪質な集団感染が起きた時は、運営側が責任を負うことも
ですので、保育園には、病気の園児が、ほかの園児に病気をうつす可能性がないかどうか注意して感染を予防する義務があり、その義務に著しく違反し、集団感染などが生じた場合には、都道府県知事から期限を定めて必要な措置を取るべき旨が命じられ、その命令に従わないときには、事業の停止や、悪質な場合には、保育園の運営について認可を取り消される可能性も出てきます(児発第271号通知)。


まとめ
保育園に子どもたちが安全に通うためには、親もルールを守る必要があります。しかし、働くお母さんたちは、子どもが病気をしたからと言って簡単に仕事を休めるわけではないですし、近くに頼れる人がいない場合には、本当に困ってしまいますよね。

最近では、「病児保育室」といって、事前に登録していれば病児または病後の子どもを預かってくれる施設も増えてきています。病院に併設していたり、保育園が運営していたり、さまざまな形態があります。行政によっては、利用料金を補助してくれる場合もあるので、子どもが保育園に通っている親御さんは、この機会に、お住まいの地域にどんな制度があるか、役所のホームページを見たり、担当者に訪ねてみたりしてはいかがでしょうか。

あとがき
保育園に通い始めた年の冬、うちの子も週1か週2のペースで風邪を引いては熱を出していました。正直、仕事にならない。保育園からのお迎え要請の電話に、裁判が終わって迎えに行くまでもうちょっとだけ待ってくださいとお願いしたこともありました。私の実家は九州で、近くに身寄りもないので、明日はお休みしなきゃなという日には、民間の病児ベビーシッターさんにお願いしています。安くはない出費ですが、子どもが病気の時に預かってくれる場所がないと働けないし、生活もできませんからね。

働くお母さんたち、暖かい春が来るまで、なんとか乗り切りましょう!

・協力:アディーレ法律事務所

(島田さくら<アディーレ法律事務所>)

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