1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

マタハラより悪質? 近年増加している「スポイル上司」とは一体?(法律で切るママトラブル Vol.10)

Woman.excite / 2016年1月19日 5時15分

マタハラより悪質? 近年増加している「スポイル上司」とは一体?(法律で切るママトラブル Vol.10)

マタハラ、マミー・トラック、スポイル上司…女性を取り巻く労働環境は、まだまだ前途多難です

女性から労働相談を受けることも多いという、アディーレ法律事務所の島田さくら先生に、今回は「スポイル上司」について解説してもらいました。初耳の人もいるかもしれませんが、女性のキャリアアップをはばむ、困った存在なのだそうです。

 



© morganka - Fotolia.com


働く女性が妊娠、出産、育児を理由に不利益を受けるマタニティハラスメント、略してマタハラについては、メディアで取り上げられることも多く、認知度も上がってきました。

しかし、最近では職場で嫌がらせを受けたり、降格や退職強要をされたりといった、悪意をもってなされるある意味わかりやすいマタハラだけでなく、やりがいのある仕事をさせてもらえず出世コースから外されてしまうというようなマタハラも問題になってきました。

皆さん、「マミー・トラック」、「スポイル上司」という言葉はご存じでしょうか。

最近言われている「マミー・トラック」現象、スポイル上司が原因!?
 「マミー・トラック」とは、昇進・昇給や仕事のやりがいから隔離されたママ向けキャリアコースのこと。責任ある仕事を任され、残業や出張もバリバリとこなし、昇給・昇格のチャンスもある女性のキャリアアップコースとは異なり、時短勤務や残業のない部署で働ける代わりに、与えられる仕事が補助的なものだったり、昇進・昇給が伴わないものだったりというのが特徴です。

妊娠・出産を経て職場に復帰する際、「フルタイムの仕事ではきつい」「子どもとの時間を持ちたい」「子どもに何かあったとき、すぐ帰れるようにしたい」など、ママの希望があれば、時短勤務や仕事内容の変更ももちろんOKです。

問題となるのは、女性が望んでいないのに、会社側が子育てママをキャリアアップコースから遠ざけ、マミー・トラックに縛りつけてしまうこと。

そして、女性が勝手に「マミー・トラック」に乗せられてしまうのは、妊娠しているから責任の重い仕事は与えない、子育てと両立できるように時短勤務にするなど、間違った配慮で女性の活躍の機会を奪ってしまう「スポイル上司」が大きな原因となっています。


「スポイル上司」と「マタハラ上司」はどう違う?
 「スポイル(spoil)上司」とは、良かれと思って(あるいは、表面上は女性のためという姿勢を押し出して)女性を特別扱いし、女性のキャリアを潰してしまう上司のことです(spoilとは、甘やかして台無しにするといったような意味)。

たとえば、上司が、「何かあったときにすぐ帰れるよう、誰でもできる仕事、代わりがいる部署に配属したほうがよいだろう」「残業になったら困るだろうから、この重大なプロジェクトからは外そう」など、子育てママに配慮をしたつもりになって、本人が望まない方向に進めてしまう。産前と変わらず働くことを望んでいたママは、時間的なゆとりと引き換えに、やりがいや昇進・昇給のチャンスを失い、結局仕事自体へのモチベーションが下がって…ということもあります。

この「スポイル上司」は、嫌がらせをしたり降格したりといった今までの「マタハラ上司」と違い、自分は女性に対する配慮をしているつもりになっており、悪気がないのが厄介なところです。ただ、妊娠・出産・育児を理由に女性を不利益に扱うことに変わりはないので、スポイル上司もマタハラ上司の一種と言えるでしょう。

まとめ
妊娠、出産、育休を理由に解雇等の不利益な処分をすることは、男女雇用機会均等法9条3項により禁止されています。嫌がらせを受けた場合は、慰謝料等の損害賠償を請求することができます(民法710条)。

また、妊娠、出産、育休を理由に給料を下げられた場合、一方的な労働条件の切下げは無効ですから(労働契約法3条、8条)、もともと支払われていた賃金との差額を請求することができます。実際、平成27年11月17日広島高等裁判所判決では、妊娠中軽易な業務を希望して役職を外れた女性を職場復帰後元の役職に戻さなかったことを違法とし、使用者に約175万円の支払を命じました。

会社側に勘違いが生じないようにするためにも、妊娠中や育児休暇後の復帰については、予め上司や責任者としっかり話し合い、自分がどうしたいのか考え、希望を伝えることが大切です。

あとがき
育休後の働き方について、「時短勤務を求めたら、契約社員になれと言われた」「あとで正社員に戻すからと言われて、有期社員になるという契約書にサインさせられた」という相談を受けることがあります。

しかし、育休後に女性の労働条件を切り下げようとする会社は、後々簡単にクビを切りますし、正社員に戻すという口約束もなかったことにしてしまいます。提案された契約内容に納得していないのであれば、サインをしてはいけません。その日その場でサインしなければならない理由なんてないので、「いったん持ち帰らせてください。」と言って書類を持ち帰り、家族や専門家に相談しましょう。

親になったら、子どものためにも稼がなければなりません。よくわからないから、そういう雰囲気だったから、ではなく、自分でしっかりと考えて賢いママになりましょう!

・協力:アディーレ法律事務所

(島田さくら<アディーレ法律事務所>)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください