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木枯らしを吹き飛ばせ! 熱い名演が聞けるクラシック3選

Woman.excite / 2016年3月12日 10時0分

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3月になったとはいえ、まだまだ寒い日々。最後の木枯らしを吹き飛ばすような熱い名演に身を任せて、一足早く春を迎えませんか? いつ聴いてもほとばしるような圧巻な演奏で、いやおうなしに感動の濁流へと放り投げてくれるのが、ヴィルトゥオーソ(名人)によるクラシックの醍醐味です。


© Africa Studio - Fotolia.com


それでいて、まるで春風のような心地よさ。感動が血液や酸素のように体の隅々にまで行き渡り、自然に深呼吸したくなるから不思議です。そんな3枚をご紹介しましょう。

ジャン=ギアン・ケラスの
ドビュッシーとプーランクのチェロ曲が優雅でホット

1967年、モントリオール生まれのジャン=ギアン・ケラスは、世界的に活躍し、日本でも人気の高いチェリストです。初めて彼の演奏を聴いた時、上手いのは当然として、こんなに惹かれるのは他のチェリストとどこが違うのだろう、と考えました。バロックから現代に至るまでレパートリーの幅が広く、時空を自在に行き来する魂の自由さ、そういう人が持つユーモリスティックな人間性が音楽に出るのかなあ、と思ったものです。



このCDは、ドビュッシーとプーランクのチェロソナタをはじめ、このフランス人作曲家2人の全チェロ曲という、非常に魅力的なラインナップ。ピアノのアレクサンドル・タローとともに、フランス音楽のエレガンスを細部に至るまで奏で尽くします。それでいて、決して甘ったるくありません。シャープで引き締まった緩急の技といい、ケラスとタローの絶妙な駆け引きの息遣いがダイレクトに伝わり、聴き手の心を熱くします。

2016年6月、来日公演。
バッハの「無伴奏チェロ組曲」その他を、6月17日銀座・王子ホール、6月18日八ヶ岳高原音楽堂、6月19日所沢市民文化センター ミューズ中ホール、6月22日杉並公会堂。
コダーイの「無伴奏チェロ・ソナタ」その他を、6月21日トッパンホール。
ディティユーの「チェロ協奏曲」その他を、6月24日サントリーホールで読売日本交響楽団と共演など。



マルタ・アルゲリッチの「くるみ割り人形」が楽しくてダンスしたくなる
1941年、アルゼンチン生まれの世界的ピアニストとして著名なマルタ・アルゲリッチ。速いテンポで、しかも正確にバリバリと弾きまくる彼女のダイナミックな演奏は、それまでのピアノの歴史を変えたと言われています。名演は数多くありますが、意外と知られていないのが、この「2台ピアノのための作品集」ではないでしょうか。その中心となるチャイコフスキーの「くるみ割り人形」を、ぜひ一度聴いてみてください。



有名なバレエ組曲「くるみ割り人形」は、本来はオーケストラ作品。それを、チャイコフスキー自身が、バレエのレッスンで使用できるようにピアノ曲に編曲しました。アルゲリッチは、若手ピアニストと一緒に2台のピアノで演奏しているのですが、これがもう楽しいのなんの! 遊び心に満ち溢れていて、ピアノ2台であることを忘れてしまいそうなゴージャスで夢のある演奏です。

ホームパーティーでBGMにすると、必ず「何、これ?」と、尋ねられる頻度が高い曲でもあります。バレエの内容が頭にあるせいかもしれませんが、「金平糖の精の踊り」「アラビアの踊り」「中国の踊り」「葦笛の踊り」など、情景が浮かんできて、聴くたびに思わずダンスしてしまいます。もちろん、バレエの振り付けとは関係ありませんけれど(笑)。思いがけずエクササイズになってしまい、身体中がポカポカしてきますよ。


五嶋みどりが奏でるバッハの無伴奏ヴァイオリン曲は至上の愛
1971年、大阪に生まれ、現在ロサンジェルスで暮らす、日本が世界に誇るヴァイオリニスト・五嶋みどり。彼女が満を持して2015年、発表したのがバッハの名曲であり難曲「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタおよびパルティータ」の全曲録音です。個人的にも大好きなこの曲。これまでに何十人ものヴァイオリニストの演奏を聴きましたが、五嶋みどりの全曲リリースをどれほど待ち焦がれたことでしょう。 



8歳の時、録音テープをジュリアード音楽院のドロシー・ディレイ教授に送って認められ、11歳でズービン・メータ指揮、ニューヨークフィルとパガニーニの「ヴァイオリン協奏曲第1番」を共演。“天才少女デビュー”と騒がれた彼女は、プレッシャーも半端なかったはず。音楽以外に、ニューヨーク大学大学院で心理学を専攻し、修士号も取得。常に人の心に寄り添おうとする彼女らしい姿勢で、それは演奏にも繋がっていると思います。

ストイックでありながら、孤高に閉じこもらず、天の啓示をもちゃんと外界の人間に届けてくれる彼女のバッハは、荘厳なバッハのイメージを人間味あるエンタテインメントに昇華させました。本人がライナーノートの中で、バッハと対峙しながら「Jazzyな体験をした」と語っていて驚きますが、まさに私たちの心に染み入る“至上の愛”を感じます。

インタビューした時、あまりに庶民的なので驚きました。一人で、愛器グァルネリ・デル・ジェスを抱えて現れ、取材が終わったら、地下鉄で帰るというのです。世界のMIDORIが! 何億円するかわからない名器と一緒だと、それだけでこちらは心配になってしまうのですが、彼女はいつも平常心。そんなMIDORIの美しい演奏を、ぜひご堪能ください。

ジャン=ギアン・ケラス「ドビュッシー プーランク」
マルタ・アルゲリッチ「2台ピアノのための作品集」
MIDORI「Bach,J.S.:Partitas & Sonatas」
(稲木紫織)

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