PTAって違法なの?「#PTAやめたの私だ」に見る苦悩【はじめてのPTA 第1回】
Woman.excite / 2017年4月14日 19時0分
![PTAって違法なの?「#PTAやめたの私だ」に見る苦悩【はじめてのPTA 第1回】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/womanexcite/womanexcite_E1491791870191_0-small.jpg)
机に置かれた「PTA」のネームカード
(c) takasu - Fotolia.com
このところ、新聞、雑誌、テレビ、ウェブ媒体と、いろんなメディアでPTAのことが取り上げられています。時代とともに社会が大きく変わるなか、昭和の頃とあまり変わらない、昔ながらのやり方を続けるPTAに対して、違和感を抱く人が少なくないようです。
とくに最近は「#PTAやめたの私だ」というハッシュタグが広がりを見せるなど、「PTAに入らない=非加入」という選択にも注目が集まっています。「保護者は全員必ず自動的に加入する」というのが、日本のPTAでこれまで長く続けられてきた慣習でしたが、本来PTAは、任意で加入・活動する団体です。そのことがだんだんと知られるようになり、「入らない」という行動をとる人も増えてきたのです。
そもそもPTAとはどんなもので、どういう経緯で、今のような形になったのか? 今回は、そういった背景について、お伝えしたいと思います。
■「自動加入方式」が定着したのはなぜ? PTAの成り立ち
![ボランティアの人たち](https://s.eximg.jp/expub/feed/Woman_woman/2017/E1491791870191/1492484635_2.jpg)
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さかのぼって、日本にPTAができたのは、第二次世界大戦後間もなくのことです。もともとPTAは、アメリカの保護者(母親たち)が自発的につくった組織ですが、それを日本にもつくるように、GHQ(連合軍総司令部)が指示を出したのです。そこで文部省がハタ振りして、全国の学校につくらせたのが、日本のPTAの始まりです。
アメリカのPTAは「ボランティア」です。つまり「自主的に、やりたい人がやる活動」なのですが、日本では戦後PTAが始まった当時、「ボランティア」というような概念はありませんでした。ですからPTAをつくらせるにあたっては、「保護者は全員、会員です」という、強制的な入会にするしかなかったのでしょう。
この自動加入方式が、なんと70年という年月を経た今なお続いてきてしまったわけですが、そればかりか、強制はエスカレートしてきたところがあります。加入の仕方だけでなく、普段の活動についても、「保護者(母親)は全員必ず、6年間に1度は役員をやってください」というふうになり、本来の「ボランティア」とは、すっかりかけ離れてしまったのです。
かくして「PTA=強制」という面が強化されていき、PTAを「やりたくないもの」「いやなもの」と感じる人が増えてしまった、というのが現状かと思います。
■タブーだった「自動強制加入問題」が明るみに
![学校の教室](https://s.eximg.jp/expub/feed/Woman_woman/2017/E1491791870191/1492484635_3.jpg)
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さて、そんなPTAがここに来てようやく、本当に「任意」のものであると知られるようになってきたのですが、それは、なぜなのでしょう? 原因は、いろいろあると思います。
9年前、作家の川端裕人さんが『PTA再活用論』を出版し、任意加入周知の必要性を広く知らせたこと。憲法学者の木村草太さんが、今のPTAの強制加入について違法性を指摘したこと。新聞やテレビなど、大手メディアでPTAの問題が報じられるようになったこと。
また最近は、熊本で起きた裁判も注目を集めました。ある保護者が、PTAが任意加入であることを知らずに会費を支払っていたため、会費の返還を求めて裁判を起こしたのです。この裁判は和解に終わりましたが、これによって、PTAが任意加入の団体であることは、より多くの人に認識されることとなりました。
SNSなど、ネットが普及したことの影響も大きいでしょう。
じつはPTAの強制性については、過去何度も問題になったことはあり、声をあげる人もそれなりにいたのですが、各PTAのなかで、特殊な例として処理されていました。それが、SNSなどの普及により、同じような考えの人同士がつながって、経験や情報を共有したり、声を上げたりできるようになったことから、社会のなかで可視化されてきた、という面があります。
■少子化、共働き世帯の増加… PTA担い手減少の現実
さらに、母親たちの状況の変化もあります。こちらは、専業主婦のいる世帯と共働き世帯の割合の推移を示したグラフですが、いまはこのように、共働き世帯のほうがだいぶ多くなっています。
![専業主婦世帯と共働き世帯の推移](https://s.eximg.jp/expub/feed/Woman_woman/2017/E1491791870191/1492484635_4.jpg)
(注)1.「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」とは、夫が非農林業雇用者で、妻が非就業者(非労働力人口及び完全失業者)の世帯。
2.「雇用者の共働き世帯」とは、夫婦ともに非農林業雇用者の世帯。
3.2011年は、東日本大震災の影響により、全国の調査結果が公表されていないため、掲載をしていない。
4.「労働力調査特別調査」と「労働力調査(詳細集計)」とでは、調査方法、調査月などが相違することから、時系列比較には注意を要する。
資料出所:1980~2001年は総務省「労働力調査特別調査」、2002年以降は総務省「労働力調査(詳細集計)(年平均)」を基に作成。
出典:厚生労働省 女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会報告書
このグラフには含まれていませんが、ひとり親家庭も増えています。筆者もそのひとりですが、いまは母子家庭や父子家庭が増加しており、約7~8世帯に1つは、ひとり親世帯といわれています。
昔のように、子どものことやPTAに時間をかけられる、専業のお母さんは、だいぶ減ってきているのです。こういった時代・社会状況の変化を背景に、PTAは徐々に、時代に合わない部分が増えてきたのでしょう。
PTAや自治体(教育委員会・P連)によっては、こういった状況に対応すべく、PTAが任意加入であるということを前提に、組織や規約を修正する動きも出始めています。
では、あらためて、自動強制加入のPTAでは、具体的に何が問題となるのでしょうか? 実際に、どのような問題が起きているのでしょう? 次回は、この点について、もう少し詳しく掘り下げて、お伝えしたいと思います。
『PTAがやっぱりコワい人のための本』
(太郎次郎社エディタス/¥1,620)
![『PTAがやっぱりコワい人のための本』](https://s.eximg.jp/expub/feed/Woman_woman/2017/E1491791870191/1492484635_5.jpg)
そこにいるのはどんな人たち? 負担はいったいどの程度? PTAのネガとポジを徹底仕分け。読めば気持ちが軽くなる一冊!
(大塚玲子)
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