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ジブリ退社の米林監督『メアリと魔女の花』は『魔女の宅急便』とは明らかな違いがある【後編】

Woman.excite / 2017年7月14日 1時0分

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メアリと魔女の花

夏休み映画の目玉作品『メアリと魔女の花』の米林宏昌監督にインタビュー。後編では、スタジオジブリの制作部解散後の葛藤や、新天地・スタジオポノックでの奮闘をはじめ、恩師である宮崎駿監督や高畑勲監督とのエピソードについて語ってもらいました。


(C)2017「メアリと魔女の花」製作委員会


■スタジオジブリ退社後、喫茶店で始めた脚本作り
スタジオポノックを立ち上げたのは、『思い出のマーニー』(14)で米林監督と組んだ、元スタジオジブリの西村義明プロデューサーです。
>>前編はこちら



言わば戦友ともいえるおふたり。また次の作品を作りたいという情熱に駆られた米林監督は、再び西村プロデューサーとのタッグを選びました。

「『思い出のマーニー』制作中に、スタジオジブリの制作部が解散することが決まり、終わった後は何も見えない状態でした。でも、また映画を作ると決めてからは動くことができたんです。

メアリー・スチュアートの原作を見つけ、まだ、スタジオがないから、西村プロデューサーと喫茶店で脚本を練っていきました。西村プロデューサーは不動産も探しながらの作業で、その後、脚本家の坂口理子さん(『かぐや姫の物語』)が合流し、3人で喫茶店に長時間いすわって脚本を作っていきました」

■宮崎駿監督作『魔女の宅急便』とはココが違う
宮崎駿監督作『魔女の宅急便』といえば、言わずと知れた傑作です。当然ながら“魔女”つながりで、『メアリと魔女の花』と比較されそうですが、米林監督は「根本的に違う作品」と言い切ります。

「『魔女の宅急便』は、魔女のキキが途中でスランプに陥り、魔法が使えなくなります。その後で復活し、魔女に戻るという話です。

『メアリと魔女の花』は全く逆で、普通の女の子が偶然魔法の力を手に入れますが、肝心なところで魔法の力がなくなってしまいます。つまり、普通の女の子に戻ってから何ができるのか?という話です」


(C)2017「メアリと魔女の花」製作委員会



自分の力で道を切り開いていくこと。米林監督は、メアリに自分たちを重ねたそうです。

「それがいちばんやりたかったことでした。スタジオジブリという魔法を使って映画を作っていた僕たちが、その魔法の力をなくしてしまった後、どんな映画を作れるのだろうかと。

誰もがみんな、仲間たちや信頼関係などの魔法の力を得て生きています。でも3.11以降、本当に信じていたものの信頼が地に落ちたり、価値観が大きく変わったりしました。

そんな中で自分が何をより所としていけばいいのかと考えるようになって。魔法の力を失った後、前へ一歩進もうとする勇気になってもらえたらいいなと思い、この作品を作りました」


■宮崎駿監督や高畑勲監督への思い
本作を手がける前に、米林監督は宮崎監督のもとへ挨拶をしに行ったそうです。「『今度こういう作品をやろうと思っています』とお伝えした時、宮崎さんは『うれしいよ』と言って喜んでくださいました。そんなことを素直に言ってくださる人なんだと改めて感動した次第です。
メアリと魔女の花

米林宏昌監督/メアリと魔女の花



その時はうれしかったと同時に、期待に応えなければいけないと、改めて身を引き締めました。『覚悟してやれ』とも言われたので、とにかくがむしゃらに作りました」

「高畑勲監督、宮崎駿監督、鈴木敏夫プロデューサーのお三方にはものすごく感謝しています。宮崎さんは『大丈夫か?間に合うのか?』と心配してスタジオまで来て激励してくださいました。ありがたいことです。

高畑さんには、音楽面でアドバイスをいただきました。それがハンマー・ダルシマーという打弦楽器のアイデアです。

実際、これまで20年間ずっと感謝してきたという思いもあるし、この映画を作れたのはお三方の力があったからだと思っています」

その後、宮崎駿監督が76歳にして最後の長編アニメーション映画に取り組むという驚きのニュースが舞い込みました。

米林監督は「僕は本当に楽しみです。また、宮崎さんの作品が観られるなんて。もちろん作り上げること自体が相当大変だと思いますが、その覚悟をもって次に臨まれたのだから、心から尊敬します」と熱いエールを贈ります。

■子どもに「こうしなさい」とつい言ってしまうパパ・ママたちへのメッセージも
最後に、『メアリと魔女の花』をお子さんと観るママたちにもメッセージをいただきました。

「この作品では、“変身”が1つのモチーフになっています。壮大な変身実験の物語だけではなく、メアリやピーターも自分を変えたい、変身したいと思っているので。



マダムやドクターたちは他者を変身させようとしますが、メアリたちは自分で変身したいと思っているんです。これは僕たち親と子どもとの関係に通じるところがある気がします。

親は子どもに『そうじゃなくてこうしなさい』と言って、自分の思い通りに操ろうとしがちです。でも、そうではなく、子どもの気持ちを尊重し、子どもにどう向き合うべきかと考えた方がいいのかなと。ということで、パパ、ママたちもぜひご覧になってください!」

>>西村プロデューサーのインタビューはこちら






(C)2017「メアリと魔女の花」製作委員会


メアリと魔女の花
2017年7月8日(土) 全国東宝系にてロードショー
「メアリと魔法の花」公式ホームページ

監督・米林宏昌がスタジオジブリ退社後の第一作目として、満を持して発表する長編アニメーション映画『メアリと魔女の花』。監督が最新作に選んだ題材は、かつて師である宮崎駿監督が選んだ題材と同じ「魔女」。あらゆる世代の心を揺さぶる夏のエンターテインメント超大作が誕生!

【声の出演・スタッフ】
杉咲花 神木隆之介 / 天海祐希 小日向文世 / 満島ひかり 佐藤二朗 遠藤憲一 渡辺えり / 大竹しのぶ
原作:メアリー・スチュアート「The Little Broomstick」
脚本:坂口理子
脚本・監督:米林宏昌
音楽:村松崇継

(山崎伸子)

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