菌が食べ物をおいしくする!? 2017年の自由研究は発酵食品づくりに挑戦しよう
Woman.excite / 2017年8月2日 20時0分
小学校の夏休みとともにやってくる、宿題の定番・自由研究。イベントやワークショップの参加を検討したり、図書館やインターネットなどで情報収集をしたり、テーマ決めに向けた行動を開始している家庭もあることでしょう。
子どもが興味をもてるテーマが見つけられずに困り果てているお母さんにオススメしたいのが、『夏休み! 発酵菌ですぐできるおいしい自由研究』(あかね書房)です。味噌や納豆、ヨーグルトなどの発酵食品のつくり方をわかりやすい文章やイラスト・写真で教えてくれます。
著書の小倉ヒラクさんは、発酵デザイナーという不思議な肩書きの持ち主。微生物学の研究や一般向けの麹づくりワークショップなど、目には見えない菌を見えるようにする活動を広く行っています。そんなヒラクさんに発酵食品のおもしろさやポイントを聞きました。
■見えない菌を育てる! 発酵食品をつくるメリット
菌の働きによっておいしさがアップすることに加え、保存性を高められるといいことづくしの発酵食品。自由研究のテーマとどう結びつくのでしょうか。
「発酵食品は、料理とサイエンスという二つのジャンルにわけられます。僕の専門は微生物学のため、本書は料理よりも菌を育てることに重点を置いているんです。発酵食品づくりの魅力は、生き物の反応がわかること。観察していると、菌が魔法のように食べ物をおいしくする過程を楽しめます。
たとえば、パンをふくらませるための酵母をつくる場合、瓶の中に果物と水と砂糖を入れて酵母菌を呼び込みます。発酵が進むと酵母がシュワシュワしてくるので、菌が元気に育っている様子を実感できます。『ここに菌がいるんだ!』と子どももワクワクしてくれますよ」とヒラクさん。
目に見えない菌の存在を言葉だけで説明しても、子どもはうまく想像できません。実践を伴うことにより、菌の存在や自然の力に対するイマジネーションを育てられる。ワークショップを通じて多くの子どもたちと接するなかで、ヒラクさんが感じたことだそうです。
もうひとつ、発酵食品づくりで得られるものがあるそうです。
「現在の学校教育は、出題者の意図を汲み取って答えを出す力を要求されることが多く、『よく観察すること』を教えてもらえる機会が少ないと感じています。人の予想を大きく上回る現象が起こりうる生物学では、主観は邪魔になることも多い。
発酵食品づくりは、“ただ観察をして目の前に起こっている事実を受け止める”トレーニングになります。つまり、生物学の基本を学ぶことができるんです」
■思い通りにいかないのが菌の魅力 失敗も楽しんでしまおう!
本著で紹介している発酵食品は、比較的簡単にできるヨーグルトから少しレベルの高い麹まで、難易度もさまざまです。しかし、学年や年齢の設定はとくにないそうです。
「年齢で区切るよりも、子ども一人ひとりが持つ好奇心の度合いによってできる範囲が変わってくるからです。それから、親の関わり方も大きい。発酵が進む過程で見た目や匂いが変わると、不安になる子どももいます。親が『それでいいんだよ』と声をかけて一緒におもしろがってくれると、子どもも先に進める。親と楽しみながらだと、5歳くらいでも難易度の高い味噌づくりに挑戦できるんですよ」
本著で紹介する味噌は、夏休み中に完成できるように麹を多めに使ったアレンジレシピ。仕込みから40日で完成します。手前味噌を使ってお味噌汁をつくれば、嫌いな野菜も食べてくれるかも?
「食べ物を自分でつくることって大事ですよね。現在、絶賛イヤイヤ期で汁物を拒否している僕の娘も、一緒につくったスープならたくさん食べてくれる。発酵食品は最高の食育になるんじゃないかな」
菌をうまく育てられるか、ばい菌にしてしまうかのカギを握るのが温度管理。夏は、発酵商品を仕込むのに適した季節だとヒラクさんはいいます。
「菌が元気になるのは、30℃前後の温度です。冬場に仕込んだら4、5日くらいかかるヨーグルトも、真夏なら翌日にできます。一方、放置しすぎると腐ってしまうので、本に書かれた時間を守ってつくってくださいね」
直射日光の当たる場所やジメジメした場所には置かないことも腐らせないためのポイントです。ヒラクさんのオススメは、オープンシェルフや本棚の一番上の段。風通しがよく、空気がよどんでいない場所を「発酵棚」にするといいそうです。
とはいえ、生きている菌が人間の思い通りになるとは限りません。ときには菌がうまく育たずに腐ってしまうこともあります。
「失敗も失敗で楽しいんですよ。発酵がうまくいかないと、臭くなったり、ドロドロしてしまったりするけど、子どもは『くせえ!』とかいいながら意外とよろこんでいる。僕のワークショップでも、失敗すると逆に盛り上がることもあるくらいです」
「食べ物がくさるとはどういうことなのか」「失敗から発見できることもある」など、事前に本を読み失敗したときの対処法を親が把握しておくことも大切です。見えない生き物との生活を親子で楽しめれば、うまくいっても失敗しても学びの多い自由研究になりそうです。
目に見えない菌たちの働きを実感できる発酵食品づくり、ぜひ親子で観察してみませんか?
\発酵って楽しそう! と興味が湧いた方に、ぴったりのイベントが開催/
夏休み!歌って踊る手前みそ
〜『発酵菌ですぐできる おいしい自由研究』出版記念イベント〜
『発酵菌ですぐできる おいしい自由研究』の出版を記念して、小倉ヒラクさんがイベントを開催! はじめての人でもカンタンにできる手前味噌づくりをはじめ、オリジナルアニメ『てまえみそのうた』を使ったダンスワークショップ、発酵レクチャーなど、盛りだくさん! 夏休みの自由研究に、思い出に、ぜひ親子で参加してみませんか。
日時:2017年8月11日(金) 10:00開場 10:30スタート
料金:¥3,500(手前みそキット1kg付き)
詳細ページ:http://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft9/69966
小倉ヒラク (著)/あかね書房 1,000円(税別)
小倉ヒラク プロフィール
1983年東京生まれ。発酵デザイナー。自身の体調不良を機に発酵食品に出会い、東京農業大学の醸造学科研究生として醸造学を学ぶ。全国各地の醸造家たちと商品開発や絵本、アニメの制作やワークショップを行うと同時に、自由大学や桜美林大学等の一般講座で発酵学の講師もつとめる。
著書に、「てまえみそのうた」「おうちでかんたん こうじづくり」(農山漁村文化協会)、「発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ」(木楽舎)。一児の父でもある。
http://hirakuogura.com/
(畑菜穂子)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
なぜ「おふくろの味」はおいしいのか…食品科学者が断言する「高級レストランがおふくろの味に勝てない理由」
プレジデントオンライン / 2024年9月19日 16時15分
-
チーズはこれからもっと健康になる...3つの新種プロバイオティクスが発見される【最新研究】
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月15日 10時25分
-
自然栽培の秘密、微生物の世界をバーチャルで探検
PR TIMES / 2024年9月10日 10時45分
-
マイクロバイオーム研究*で明らかになった[腸活の新常識] “発酵性食物繊維(ルミナコイド)”が分かる
PR TIMES / 2024年9月3日 12時45分
-
キムチは腸内環境改善やダイエット効果が期待できる…塩分を取り込みづらい夕方に食べたい【時間栄養学的「気になる食品」】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月3日 9時26分
ランキング
-
1意外と熟睡できる パイプ椅子で“簡易ベッド”作る方法 警視庁が解説
オトナンサー / 2024年9月25日 22時10分
-
2「息吸ってるだけで『空気税』とか言い出しそう」東京23区の“家庭ゴミ有料化”報道に怒りの声も…“ゴミ袋1袋75円”の八王子市では確かな手ごたえ「市民の意識があがった」
集英社オンライン / 2024年9月25日 17時49分
-
3「トライアル」の人気商品に異臭…… 約270万本回収「心よりお詫び」
ねとらぼ / 2024年9月25日 18時17分
-
4痩せたい方こそ毎日の習慣に!ダイエットに効果的なストレッチ7選【専門家監修】
ハルメク365 / 2024年9月25日 22時50分
-
5「タウリン」の摂取量が多い人ほど膝の伸展筋力が増加…立つ、座る、歩くに関係
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月25日 9時26分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください