わが子に叱咤激励する親も! 親の習いごと熱に父の結論【21時30分からのパパ会 Vol.5】
Woman.excite / 2017年8月23日 6時0分
夏休みももう後半になりましたが、みなさん、慌ただしい毎日を送られているかと思います。お疲れ様です。かくいうわが家も残りの夏休みをどう乗り切るのか、あたふたしております。
その夏休みといえば、やはりわたしたち昭和世代は学校のプールではないでしょうか。振り返ると、僕らの子ども時代(もちろん昭和です)としては唯一、涼のとれる場所であり、夏休みの楽しみとしても、学校の授業としても心待ちにしていた方は多いのではないでしょうか?
水への顔つけやバタ足の仕方からはじまって、クロールや平泳ぎ方をマスター。検定をクリアしていくと、僕の通っていた小学校では確か線が与えられて水泳帽につけて級をわけていたような…。とにかく一生懸命プールの授業をこなしていました。
ただ、これはもう昔の話といっていいかもしれません。この学校のプール、すごくいま微妙な立場になっている。というのも、これは僕自身もびっくりしたのですが、今の子どもたちって、小学校に上がるころにはほとんどの子が泳げるようになっています。ほとんどの子が未就学のときからスイミングスクールに通っちゃってるんですよ。これって、通わせていなかった親御さんからすると、ちょっと焦りますよね。
“うちの子だけクラスで泳げない、どうしよう”って。
聞くところによると、まあいろいろ予定もあるのでしょうが、夏休み期間の学校のプールは意味がないと行かせない親御さんもちらほらいるようです。正直なことを言うと、僕自身はこの状況、いかがなものかなと思っています。
といいつつ、わが子も3歳ぐらいからスイミングスクールに通わせ始めました。言い出したのは妻の方。「命に関わることだから少しでも早く泳げるようにさせたい」と譲らなかったんです。実際はプールの泳ぎと自然の川や海での泳ぎは別物とも違うといわれてたりするんですけどね。正直、僕はあまり乗り気じゃなかったんですけど、最終的に送り迎えは基本的に妻がするということでのんだんです。
もうかれこれ5年以上前の話になりますが、いま振り返ると、世間のスイミング熱はこのときからすごかった気がします。うちから通えるスイミング・スクールは2カ所あったんですけど、申し込み時点ではどちらも生徒数は満杯。
退会者が出ることをひたすら待つ、いわゆるキャンセル待ちです。このキャンセル待ち、いつぐらいに入れるのかメドさえつかないんですよ…!
数日先になるかもしれないし、半年先になるかもしれない。たかがプールの入会でえらい待たされる。当時、“どれだけ水泳って人気あるんだ?”と思いました。しかも、月謝だってけっこう馬鹿にならない。そのスクールによって違うんでしょうけど、万は超えてくるわけです。
はっきりいって、ほとんど水遊びに近い最初の講習のときは、“これにお金を費やすのか?”って思いましたよ。
結局、キャンセル待ちの予約をしてから数カ月後に一方のスクールから連絡がきて、そこに通うことになったんですが、見学に行って驚きました。もう数えきれないぐらいの子どもたちでプールが埋め尽くされている(苦笑)。
僕らの時代、スイミングスクールに通いだすのは小学生ぐらいからだった気がするのですが、もう小学生なんて大人に見えるぐらい。ちびっこ=幼児ばかり。そして、プールサイドにはわが子に鋭いまなざしを送る親御さんであふれかえっている。“今のスイミング・スクールってこんなことになっているんだ”と驚きました。
わが家は、たまたま先にキャンセルが出た、一方のスクールに通わせたのですが、そこがけっこう本格派で。こちらはとりあえず泳げるようになればいいぐらいのゆるーい感じで通わせるつもりだったのですが、かなりみっちり教え込むといいますか。はっきり言って、指導が厳しい。スパルタとはいいませんが熱血指導に近い。
そういう心づもりではなかったこちらとしては“うちの子、この指導に耐えられるか?”とちょっと心配。ということで、もうクロールをマスターしたぐらいのところで辞めさせようと思ったのですが、今度はわが子が頑張りをみせ、泳ぐのが大好きな子になり、今もまだ通い続けています。
ただ、上級になればなるほど、親はさらに真剣になるといいますか…、すごいです。練習にも関わらずコーチよりも叫んで叱咤激励するお母さんがいたり、練習後に子どもを延々と叱り続けているお父さんがいたり…。
すべてを否定するつもりはないんですが、このスイミングスクールを取り巻く環境に違和感を覚えるのは私だけでしょうか。
よくよく考えると、スイミングスクールに限ったことではなく、勉強にしても、スポーツにしても習い事にしても、なんかみんな前のめりすぎているというか。ほかより早くマスターすることが必須のようなことになっている気がします。
どうも、人から後れをとることは“負け”みたいな風潮になってきている。“みんなが行かせているから、自分のところも行かせないと”という勝手な競争を勝手にスタートさせている。これって果たして、子どもためというよりむしろ親の都合になっているのではないかとはたと感じるんです。
夏休みでいえば、サマーキャンプとかもこれに当てはまります。“みんな行かせてるから、うちの子も行かせないと”という気分にだんだんなってくる。行った子どもを見るとちょっと大人になっているような気がして、“自分の子も”といった気分になりがち。なんかこういったスクールや習い事って、子どもの可能性を広げるためのもののような気がするんですけど…。
いまどちらかというと、わが子がほかの子に比べ、先をいっていることの証明というか。親がわが子がほかの子に後れをとっていないか? 後れをとっていないことを証明する単なる安心材料になってしまっている気がしてならないんです。
そしてある程度のレベルに達してくると、今度は“ここまでやってきたんだからもっと高みを”と親の願望がのっかってきてしまっている。果たしてそれでいいのかなと……。
勉強もスポーツも小さいころからするのは悪いことではないと思います。ただ、横並びでみんな乗り後れないために通わせてしまうのは、どうなのかなと。もうちょっと子どもの自主性や望んでいることに耳を傾けてあげてもいいのかなという気がするのですが……。
プールで延々と泣き続けている子を見ると、“なんだかな”と思うんですよね。
みんながスクールに通わせているから、“うちの子も通わせないとまずい”と焦っている親御さんがいらっしゃったら、正直こういいたいです。“学校のプールの指導ではじめて泳げるようになっても決して遅くはない”と。そんなものです。無理にやらせる必要はまったくありません。
現在、わが子はいまや親よりも速く長い距離を泳げるようになっています。しかもクロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライすべてこなす。しかし、スイミングの講習と学校のプールの授業は別、それはそれで真剣に取り組んで、上の級にいけるように頑張るように常に夏になると言い聞かせています。
ただ、学校の検定は検定でけっこうハードルが高いらしく、なかなか合格できない(笑)。それはそれで屈辱らしく、今年は学校の夏休みのプールはいけるところは全部行くと息巻いています。
(幸 結文)
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