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シングルマザーが子どもを預けてデートして何が悪い【新米ママ歴14年 紫原明子の家族日記 第41話】

Woman.excite / 2017年10月24日 17時0分

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芸能人の真木よう子さんが、元夫に子どもを預けて新しい恋人とデートをしていたそうで。それについて、“けしからん”と言う人がいたと聞いて仰天した。

子どもはちゃんと面倒を見てくれる父親に預けているというのに、一体何がいけないのだろう? 何でも“母親の自覚がない”という声が上がったりするらしい。なんだよそれはと。世の中には子連れ再婚したお母さんなんて星の数ほどいるけれど、子連れ再婚して新しいお父さんを家に迎え入れて家族で幸せに暮らしてるお母さんなんて星の数ほどいるけど、そんな母親みんな“母親の自覚がない”とでも言うんだろうか。

子どもじゃないんだから冷静に考えてもみてほしい。出会って10秒で再婚できますか? できません、AVじゃないんですから(分からない人は分からなくていいです)。

そりゃもちろんケースバイケースだろうけど、子連れ再婚するまでには何かしらデートを重ね、恋愛をしているわけで。まずは人と人として出会い、色々なステップを経て、この人とは家族になれそうだな、子どもと会わせたいな、と思うようになる。

母親だからこそ、そして一度、予期せぬ別れ(失敗、とは言わない)を経験しているからこそ、慎重な確認作業を行うのだ。

大人同士で顔を突き合わせて話してみたり、……もちろん話すだけじゃなくてそれ以外にも色々してみたりしないと分からないことがあるだろうに、そんな当たり前のことがどうして分からないのだろう。

そもそも昨今、日本のひとり親家庭の貧困率は5割を越えるとも言われている中で、シングルマザーが新たに生活のパートナーとなる人を見つけられたというのなら、本来そんなおめでたいことはない。また必ずしも困窮していなくても、結婚して実質的なパートナーになることを視野に入れていなくとも、精神的な支えとなってくれたり、個としての自分を認めてくれる他人の存在には大きな価値があるのであって、子どもを虐待しているわけでもないのに、その関係性を作る努力を他人が外からとやかく言うのはお門違いもいいとこである。

また、これがことシングルファザーの恋愛であれば世間は諸手を挙げて祝福するのだから、輪をかけておかしな話しである。

男一人で育てるのは可哀想、お母さんが来てくれた方が子どもも幸せ、そう思う人が多いというのは、小林麻央さんが亡くなった直後から夫である海老蔵さんの再婚を今か今かと邪推する週刊誌の記事が後を絶たないことからもひしひしと感じられる。

シングルファザーだってシングルマザーだって、一人でお金を稼いで一人で子育てしている点には変わりないのに、どっちが可哀想なんて話があるのだろうか。

恋人を作ったシングルマザーが子育てを放棄し家に帰らなくなり、結果、子どもたちが犠牲になるという痛ましい事件は時折報道で耳にする。だからって母親の恋愛は全部悪、母親が恋愛すると育児を放棄する、と考える人は冷静な思考を放棄している。


そもそも日本では離婚後、母親が子どもを引き取るケースが圧倒的に多いという前提があり、その上ほとんどの場合、父親から継続的な養育費が支払われておらず、多くのシングルマザーは仕事と子育てに追われ疲弊しているのだ。

それにも関わらず、その苦労はいたるところで当たり前のことと受け止められる。なぜなら“母は強し”だし、女には“母性”があるから。どんなに辛くても子どもが可愛いでしょ、自分を犠牲にして子どもを育てられるでしょ、というのが世の中に蔓延する空気なのである。

まるで根拠のない重責に黙って耐えているというのに、誰に迷惑もかけずに男と会ったくらいで“自覚がない”と言われるというのはまったくいかがなものか。憤りのあまりタイプする指先も震えてしまう。

シングルマザーの恋愛と、母親のネグレクトによって子どもが犠牲になることと、その間には本来、無数の分岐点があったはずなのだ。そして、そのどこかで母親が適切に救われていれば、子どもは犠牲にならなかった。恋愛するシングルマザーを自覚がないと責める前に、社会を構成する全員が、自分の老後や福祉を金銭的に負担することとなる子どものケアを、家庭の中の、特に母親にだけ押し付けてそれで良いと思っている、そんな“社会の自覚のなさ”こそ批判され、考え直されるべきである。

恋愛ってチャラチャラしてそうに思われるかもしれないけれど、ただでさえ忙しい最中に子どもをどこに預けて、仕事は何時までに切り上げて、と調整に次ぐ調整を要し、ときには寝る間も惜しんで時間を捻出する。恋愛はマネジメントを必要とする新たなタスクなのである。

その上で、何とか子どもも自分もそして恋人も、三方よしのソリューションを見つけるべく手を尽くしているのである。世間はなかなかやかましい。



イラスト:片岡泉
(紫原明子)

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