『コウノドリ』育児のイライラを“帝王切開のせい”にする母の本音とは?
Woman.excite / 2017年11月9日 11時0分
金曜ドラマ『コウノドリ』
© TBS
『コウノドリ』(TBS系)第4話が11月3日に放送された。描かれたのは、帝王切開後、第2子以降で自然分娩を行う“トーラック”を望む妊婦・秋野蓮(安めぐみ)。
その理由が「産道を通して産んだほうが、子どもに愛情が湧くんじゃないか」という葛藤だったことに、思わず蓮の肩をトントンとたたき、「私、自然分娩ですが、子どもに対して毎日イライラしていますよ」と声をかけたくなった。
もちろん出産における、産み方の善し悪しなんて存在しない。そして筆者には、蓮がそんな思いを抱いてしまった状況のほうが問題のように思えるのだ。
■優先すべきは妊婦の思いか、リスク回避か
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第2子妊娠中の蓮は、長女・美奈に強く当たってしまうことを“帝王切開で産んだせい”ではないかと悩んでいた。そして第2子ではトーラック(帝王切開経験者の自然分娩)を希望し、ペルソナ総合医療センターを訪れる。
サクラ(綾野剛)からトーラックのリスクについて説明を受けても、なお「自然分娩がしたい」と強く望む蓮。サクラはそんな蓮の思いを優先させようとするが、四宮(星野源)は、その優しさのせいで「妊婦はもちろん俺たちも余計なリスクを背負わされてんだよ」と反論する。
カンファレンスでも、スタッフ不足や緊急時の危険性を懸念する四宮に、サクラは「人が少ないから、忙しくて余裕がないから、妊婦の希望に沿えないなんて根本が間違ってるんじゃないかな」と思いをぶつける。サクラと四宮は再び正解のない対立を強いられたが、今橋(大森南朋)の助言で、蓮の望みを優先させることになる。
蓮は37週を迎え、ついに陣痛が始まる。痛みに耐える蓮だが、子宮口が開かずお産が思うように進まない。トーラックの場合、リスクが高まることから陣痛促進剤を使うことができないため、サクラはやむを得ず帝王切開の判断を下す。
それでも蓮は「私はがんばって下から産むの、がんばって産んで、いい母親になるの」と声を絞り出すが、「ママはがんばってる…」と涙する娘・美奈の姿に、夫(前野朋哉)も「もう十分頑張ったよ、蓮はいい母親だよ」と告げ、蓮は帝王切開を受け入れるのだった。
■痛みがなきゃ愛情が生まれない?
出産をめぐり、日本ではなぜだか自然分娩はつらい、帝王切開はラクというイメージが定着している。でも、帝王切開だっておなかを切るのだ、痛くないわけがない。帝王切開の場合、出産までは安静に…と言われて来たにもかかわらず、産後は、癒着を防ぐために「歩け歩け」とスタッフたちが突如スパルタになる。
トイレにたどり着くことすらしんどいような状態から、いきなり育児をスタートしなくてはいけない。体力が回復したあとだって、手術跡にもトラブルが多く、まったくもってラクではないことは強く伝えておきたい。
その上で、そもそも出産について痛い、痛くないという論争自体に意味がないのではないだろうか。第3話で、迷信を信じてしまう妊婦(川栄李奈)の夫(喜矢武豊)が「“痛みがなきゃ愛情が生まれない”って言うなら、俺たち男はどうやって父親になればいいんだよ」と話していたように、大切なのは、母子ともに無事であること。そして、産まれてからどう育てていくかのほうが、よっぽど重要である。
■帝王切開だと愛情がわかないのか
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正直、「帝王切開だから愛情がわかない」という蓮の気持ちに共感することは難しい。だが、育児がうまくいかないことに、なんらかの理由付けをしなくてはやっていられないという気持ちはよくわかる。
妻の出産を前に「このあと同僚達と屋形船に乗る予定で…」と発言をする夫。蓮が出産中、美奈の世話は一体どうするつもりだったのだろう?
そんなところにも気が回らない屋形船夫。トイレに行きたいという娘にすら慌てていた様子から、おそらく蓮もワンオペ育児だったことが伺える。だからこそ、蓮は「育児がうまくいかないのは帝王切開のせいだ」と考えるほどの精神状態に陥ってしまったように思えてならないのだ。
悩み抜いた末、ふとたどり着いたのが「帝王切開だったから」という理由。もちろん「自然分娩でないと…」と考えを抱いている人がいることに否定はしない。しかし蓮の場合、その理由がほかにあるように見えた。つまるところ、ドラマが一貫して訴えているメッセージは同じ。どんな出産であれ、出産後の現実には助けが必要ということに尽きるように思うのだ。
■星野源との関係が怪しい女性の正体とは
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第4話にして、ついにあきらかになった謎の女性の正体! 結論としては、10年ほど前、サクラや四宮と一緒に働いていた後輩だったというワケ。それにしても、四宮との関係が怪しくありません?…疑いすぎ!? 産科医ということで、今後は医師としてペルソナチームに関わっていくことになるのだろうか。
そして今回、四宮が初代「ジュニアくん」だったことが判明。自分が置かれていた状況と同じだからこそ、研修医の吾郎(宮沢氷魚)につらくあたっていたということ。四宮なりの指導方法で、心からベビーの誕生に「おめでとう」と言うことができた吾郎には、人材不足に悩むペルソナの戦力となってくれることに期待したい。
11月10日に放送される第5話で描かれるのは、切迫早産で長期入院する2人の妊婦。同じ境遇で意気投合する2人に、あるとき不測の事態が起こってしまう。
金曜よる10時から
(nakamura omame)
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