『コウノドリ』出産は奇跡。産声なき出産を通し、夫婦が教えてくれた命の大切さ
Woman.excite / 2017年11月16日 11時0分
金曜ドラマ『コウノドリ』
© TBS
『コウノドリ』(TBS系)第5話が11月10日に放送された。描かれたのは、切迫早産により長期入院となった妊婦。子宮内胎児死亡というあまりに悲しい結末に、最後の最後まで涙があふれて止まらなかった。
私たちの心にダイレクトに届いた“妊娠・出産は奇跡”というメッセージ。命がいかにはかなく、尊いものであるか、1組の夫婦とベビーが教えてくれた。
■産声なき悲しい出産の現実
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サクラ(綾野剛)のもとを訪れた妊娠27週の西山瑞希(篠原ゆき子)は、切迫早産の診断を受け急きょ入院することになる。同室の七村ひかる(矢沢心)と励ましあいながら明るく入院生活を送るが、32週のエコーで事態が急変。胎児の心拍停止が発覚するのだ。
四宮(星野源)の診察も受けるが、結果は同じ。そして、ベビーが亡くなった理由はサクラにもわからなかった。
途方に暮れ、「ごめんね、ごめん…」と涙する瑞希を夫・寛太(深水元基)はやさしく抱き寄せる。おなかにいる赤ちゃんの名前は“あかり”に決まっていた。それは「(母・瑞希のように)女は明るい方がいいから」と寛太が名付けたものだった。
翌日、陣痛促進剤を投与し瑞希の出産が始まる。赤ちゃんが亡くなっていても、痛みは通常のお産と変わらない。「あかりーっ」そうわが子の名前を叫びながら力を振り絞って出産するが、そこに産声は響かなかった…。
子宮内で亡くなったベビーは戸籍に残すことができない。小松(吉田羊)が、あかりのためにしてあげたいことがあれば協力すると西山夫婦に寄り添うと、寛太が「ふたりでお風呂入れてやってもいいですか?」と希望する。小松はそれを快諾。ペルソナチームが見守るなか行われた沐浴は、悲しみと反比例するかのように、息をのむほど美しい時間が流れていた。
退院の日、寛太はあかりと瑞希に特大のケーキを用意していた。プレートには「あかり おめでとう ママ ありがとう パパより」の文字。瑞希はあかりを抱いて、正面玄関から病院を後にする。向かったのは、夫婦で営む洋菓子店。そして、「あかり、ここがパパとママのお店だよ」と優しくほほ笑むのだった。
■死産のとき自分を責めてしまう母親
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毎回、胸に迫るものがある『コウノドリ』だが、第5話の切なさは圧倒的だった。ベビーがおなかに宿れば、不安もあるが、これ以上ないと言っていいほどの幸福感で満たされる。これから始まる新生活に思いをはせ、長期入院だって「赤ちゃんのために」と我慢できる。この時点で、女性はすでに母親になっているのだ。
そんな中、突如告げられた子宮内胎児死亡。四宮が「死産の4分の1は原因不明」と話していたが、原因がわからないからこそ恐ろしく、瑞希が自分を責めてしまうのは当然だろう。
「私のせいですか? 私が切迫早産だったからですか? もっと安静にして、シャワーの回数を減らしていればよかったですか?」と、涙ながらにサクラに訴える瑞希の姿には、胸が張り裂けそうだった。
妊娠すれば、元気な赤ちゃんが産まれるものだと考えている人も少なくないだろうが、けっしてそんなことはない。どんなに安静にしていても、悲しいお産を迎えることもある。確実に元気な赤ちゃんを産む方法なんてない…本当に、出産は奇跡なのだ。
■残酷な現実と向き合うていねいな時間の温かさ
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印象的な場面ばかりだった物語の中で、筆者がもっとも感銘を受けたのは、西山夫婦が過ごしたあかりとの大切な時間。愛するベビーとの別れに必要なのは“次を見据えること”ではなく、“今と向き合うこと”ではないかと思うからだ。
私は後期流産を経験したのだが、当時、言われて一番つらかったのは「次があるよ」という言葉だった。もちろん、本人たちは励ましのつもりで悪気はないのだが、その言葉は本当に悲しかった。だって、同じ赤ちゃんにはもう二度と出会うことはできないのだから…。
西山夫婦は残酷な現実から目をそらさず、限りあるあかりとの時間をとてもていねいに過ごしていた。3人で過ごした温かな時間は、夫婦にとってかけがえのない思い出となったに違いない。そして、互いに痛みを分かちあい、懸命にいまを生きる西山夫婦だったからこそ、視聴者のだれもが無念に思い、心から涙したように思うのだ。
この物語を機に、育児させてもらえることのありがたみを再認識。忙しさに追われ、わが子に対してイライラしてばかりの日々。でも、「子どもが元気でいてくれることはあたり前ではないんだ」と身に染みて感じたママは、私以外にもきっと大勢いるはずだ。
■“子どもの死”という繊細なテーマの演技力
それにしても、瑞希役の篠原ゆき子の名演技には度肝を抜かれてしまった。もちろん、軸にあるストーリーも素晴らしいのだが、篠原の好演により、そのメッセージ性は格段に強まったのではないだろうか。
友人のひかるに「元気な赤ちゃん産んでね」と告げるシーンなど、瑞希に渦巻くさまざまな心情を感じ取り、胸が苦しくてたまらなかったママも多いことだろう。“子どもの死”という繊細なテーマながら、迫真の演技で素晴らしい作品を届けてくれたことに、感謝の気持ちと拍手を贈りたい。
11月17日に放送される第6話で描かれるのは、緊急搬送されてきた心肺停止の妊婦。それは、下屋(松岡茉優)がヘルプで訪れた別病院で、意気投合した妊婦だった…。
金曜よる10時から
(nakamura omame)
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