1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「子どもの枕って、いつから必要?」ママの疑問に「枕外来」医師が明快解答

Woman.excite / 2017年12月24日 6時0分

写真

すやすや寝ているわが子の寝顔をみて、ふと「そろそろ枕が必要かなあ」と思った私。寝るときは枕をしていても、朝にはどこかへふっとんでいるはず…と思い、これまで枕導入のタイミングがつかめずにいました。

ⓒ chihirock-stock.adobe.com


そもそも枕って、何歳から必要なのでしょう? そこで今回は枕が必要な理由、導入のタイミング、枕選びのポイントについて、枕の専門家にお話をうかがいました。

■そもそも、枕はどうして必要なの?

今回、お話をうかがったのは、2002年から「枕外来」を開設し診察を続ける16号整形外科院長の山田朱織先生。大学との共同研究で睡眠の基礎となる研究を続けてきた枕のスペシャリストです。

―― 先生、そもそも枕ってどうして必要なんですか?

「直立歩行をする人間には、約4~6kgの頭の重さが首にかかっています。首を真に休められるのは横になって寝ているときだけ。適切な条件で首を休められる状態にするために、枕が必要なのです」

―― 私、たまにちゃんと寝たのに首や肩が痛かったり、朝から頭がガンガンしたりします。「適切な条件」で、ちゃんと首を休めていなかったからなんでしょうか。

「例えば、交通事故のむち打ち症や、頚椎椎間板ヘルニアなど、首の病気の整形外科に入院する患者さんにとって、適切な枕は重要な治療となります。一般の方でも、朝起きると肩がこっている、頭痛がする、手がしびれる、夜中に下になった肩が痛くて目が覚める、夜中寝心地が悪く枕をはずす…といった経験がある人もいますよね。

これらは、合っていない枕で寝ていることが原因という可能性が高いんです。枕なしで寝るのはおすすめできません。適切な枕は肩こり、首こり、腰痛、手のしびれ、不眠、無呼吸やいびきの改善につながると考えています」

■子どもの枕、いつから使うのが正しいの?

―― 私の使っている枕は、残念ながら「不適切な枕」の可能性が高そうですね(泣)。私の息子は今8歳で、まだ枕を使っていないのですが、いつ頃から使い始めるのが理想的ですか?

「少なくとも小学校低学年から必要と考えています。それは寝相が悪く、体に負担をかけて寝ているケースが多いからです。整形外科的には運動器といって骨、関節、筋肉などが大人に近づいていく時期であり、逆にいうと身体の柔軟性は徐々に低下していきます。つまり寝ている間に負担をかけることで大人同様の症状が出現します。逆に小学校低学年までは身体の柔軟性が非常に高く、枕がなくても体動(寝返りを含めた体の動き)が頻繁なので、枕は必要ないでしょう。

通院する患者さんのなかには、小学生のお子さんもいます。そのお子さんは吐き気がするほどの肩こりで通学が困難でしたが、正しい枕の指導で吐き気が改善し、通学ができるようになりました。

また、寝相が悪く、毎夜毎夜、就寝中にお父さん・お母さんをけってしまう兄弟がいました。それが、正しい枕で寝てもらったら、枕の上で寝返りはしても「布団から落ちる」「180度回転する」といった昨夜までの大暴れがなくなったのです。

これは、あくまで一例ですが、このようなことは大人でもあります。寝相が悪いとおっしゃる方について正しい枕を指導すると、枕の上で寝返りをしながら、きれいに寝られるようになります」

―― うちの息子も寝るときは頭が上だったのに、翌朝は反対の姿勢になってます。正しい枕を使うと、寝る姿勢が改善されることもあるんですね!
 
 


■子どもの枕、選ぶポイントは?


ⓒ monchakirou-stock.adobe.com


―― では、子どもの枕を選ぶときはどんなことに気をつけて選べばいいのでしょう?

「枕を選ぶ基準は、基本的に子どもも大人も同じです。具体的には以下の条件を満たす枕を選ぶようにしましょう」

1.ジャストサイズ

個人の体格で適合する高さは変わってきます。寝るときに重要なのが「枕の高さ」です。1人1人に最適な枕の高さは違います。自分で選ぶときは後述する枕メンテナンスのポイントを基準に、慎重に正確にジャストサイズの枕を探しましょう。注意点は体の柔軟性です。子どもは覚醒状態と、寝て体の緊張がとれたときのリラックス状態との差が大人より大きくなります。一度合わせた枕を過信せず、もし翌朝枕から頭が落ちていたりしたら少し枕の高さを上下し、再度試してみてください。

2.フラット構造

自然な寝返りと首(頚椎)の安定は、素材と形状で決まります。寝たとき、頭が沈み込む素材や、仰向け時に顎が上がる形状は、首に無理がかかります。形状はフラット、そしてジャストサイズの高さを保つ素材でなければいけません。

3.メンテナンス

ジャストサイズでフラット構造の枕を使っても、枕を取り巻く環境は常に変化しています。枕の形や固さの変化、寝る人の体格変化、寝具の変化に応じて、枕は適宜見直しが必要です。変化に対応するための定期的なメンテナンスは必要不可欠です。


―― ジャストな高さ、頭が沈み込まないフラットな素材と形、そしてメンテナンス! メンテナンスが大事とは想像していなかったので、驚きました。

「子どもは大人より体の柔軟性が高く、個人差も大きいので、一旦決定した高さで一晩二晩寝てみて、朝起きたとき頭が枕にきちんとのっているかを確認するなど、微調整が大切です。

子どもの枕は、特に「3、メンテナンス」がとても重要になります。なぜなら、子どもには成長があるからです。身長体重の成長とともに、枕も高くしていかなければなりません。

大人の方であれば通常2年ごとの見直しをすすめていますが、子どもの成長は目覚ましく、半年で全く体格が変わることも少なくありません。合わない枕は拷問といってもいいでしょう。このメンテナンスを、お父さん・お母さんにしていただきたいと思います」

―― 成長するスピードが早い分、「寝づらい枕になっていないか」を見てあげたほうがいいんですね。でも、具体的にどんなところをチェックすればいいんでしょうか?

「ポイントは以下の通りです。

1.仰向けに寝て、のどや首筋に圧迫感がなく、後頭部から肩にかけて力が抜けているか。

2.力を抜いて横向きになった時、顔の中心線が布団と平行になっているか。

3.手を胸の前でクロスし、寝返りが左右スムーズに打てるか。


この3つの計測方法で正しい枕の高さを都度、確認していただきたいですね」

―― なるほど…。もし、クリアできていないポイントがあれば、それが枕を見直すタイミングと考えたほうが良さそうですね。買っただけで満足せず、定期的にこうしたポイントをチェックしていこうと思います。

今回取材させていただいたことで、「正しい枕選び」は健康と深く結びついていることがわかりました。

子どもに毎日元気でいてもらうために、親である私が正しい枕を選ぶ。その具体的な方法を、今回知ることができました。子どもの枕について疑問に感じていた方はぜひ、参考にしてみてくださいね!

<取材先>
整形外科医 山田朱織先生
16号整形外科院長、株式会社山田朱織枕研究所代表取締役社長。
2002年より、整形外科の診察として16号整形外科内に特殊外来「枕外来」を開設。治療の一環として、オーダーメイド枕、オーダーメイドベッドおよび寝具・寝装の研究開発・製造販売・サポート・睡眠環境の改善のための情報提供・コンサルティングなどを行う。

 
 
(すだ あゆみ)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください