あなたの使用ずみスマホが五輪メダルに?【親子で参加する東京2020オリンピック・パラリンピック 第1回】
Woman.excite / 2018年2月11日 19時0分
開催まで2年を切った東京2020オリンピック・パラリンピック。自国開催だからこそ、親子で関わりたいと思う人は多いはず。
そんな願いが叶うのが「東京2020参画プロジェクト」。今回はそのなかのひとつ「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」をご紹介します。
■不要になったあなたのスマホが、東京五輪のメダルに!?
オリンピック・パラリンピックで、各競技の頂点に立ったアスリートたちに贈られる金、銀、銅の入賞メダル。東京2020オリンピック・パラリンピック(以下、東京2020大会)では、その原材料に使用ずみの携帯電話、スマートフォン、パソコンやデジタルカメラなどの小型家電から抽出したリサイクル金属を使うことが決定しました。すでに、2017年4月より「都市鉱山からつくる! みんなのメダルプロジェクト」としてスタートしています。
東京2020大会で必要なメダルの数、金属の量はどれくらいかわかりますか? 実は、メダルは全部で約5000個! そのために、金10kg、銀1,230kg、銅736kg、合計約2tの金属が必要となります。製造工程で発生する材料ロスを考慮すると、実際に必要となる量は約8tだそう。
そこで目を付けたのが、不要となった携帯電話、スマホ、パソコン、デジタルカメラなどに使われている金属でした。
2019年春頃まで、全国約2,400のドコモショップでは携帯電話、スマホ、タブレットが、またプロジェクトへ参加している全国1,262の自治体(累計6023カ所/2017年12月時点)では携帯電話、パソコン、ビデオカメラなどを含む小型家電を回収。リサイクル率100%を目指しています。
北京、ロンドン、リオオリンピック競泳メダリスト松田丈志さんとリオパラリンピック競泳メダリスト山田拓朗選手が参加した、ドコモショップでの回収スタートイベント ⓒTokyo 2020
国際オリンピック委員会(IOC)は環境重視を宣言。持続可能な大会、つまり環境に負荷をかけず、自然との共生、さらに社会や経済も含む広い意味での持続可能な取り組みの重要性を強く打ち出しました。
2012年のロンドン大会で初めて「近代五輪史上、最も持続可能な大会」というビジョンが掲げられ、2016年のリオ大会では、壊れた鏡や廃棄された“はんだ”から銀を抽出するなどして、入賞メダル全体の30%にリサイクル金属を使用。
そして迎える、東京2020大会。国民が参加する形で、メダルに必要な金属量をリサイクルで集めるという試みは、オリンピック・パラリンピック史上初となります。
すでに、ドコモでは約240万台の携帯電話などを回収、自治体では1,874tの小型家電を回収しています(2017年12月時点)。
バルセロナパラリンピック競泳をはじめ6大会で21のメダルを獲得した、日本パラリンピアンズ協会会長河合純一さんらが参加 ⓒTokyo 2020
■私たちのスマホ、どうやってメダルに生まれ変わるの?
回収された携帯電話やスマホ、小型家電などは、プロジェクトに参加している小型家電リサイクル法の認定事業者により分別・選別などの処理がされ、精錬事業者により金・銀・銅が抽出。それを原料として、メダルが作られます。
例えば、携帯電話には金、銀、銅、パラジウムなどの金属が使われています。ドコモで回収された携帯電話は、基板とプラスチックに分けて解体された後、基板を溶かして金や銀を精製。また、熱分解処理をしたプラスチック部分からは燃料用油を生成し、残った不溶物から銅が精製されるそうです。
それらが、リサイクル原料となって、五輪メダルへと生まれ変わります。
競泳ジャパンオープン2017では、日本代表の萩野公介選手と清水咲子選手、英国代表のベン・プラウド選手とアビー・ウッド選手が使用ずみ携帯電話を提供 ⓒTokyo 2020
■2019年夏頃に発表! 東京2020大会の「メダルデザイン」
夏季大会のオリンピックメダルの表面には、規定の構図があるのをご存じですか? 勝利の女神・ニケがパナシナイコスタジアムに降り立ち、勝者を祝福する様子があしらわれていますが、既定のない裏面とパラリンピックのメダルは、開催都市が自由にオリジナルのデザインを用いていいことになっています。
東京2020大会では、「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」に込められたみんなの想いをメダルとして形づくるため、立体造形物の制作、発表実績のあるプロのデザイナーやデザイン専攻の学生からデザインを募集しました(2018年1月でエントリーは締め切り)。
専門家や有識者からなる「東京2020大会入賞メダルデザイン審査会(仮称)」で審査を行い、メダルデザインは2019年夏頃の発表が予定されています。
リオオリンピック柔道メダリスト羽賀龍之介選手が携帯電話を回収ボックスへ ⓒTokyo 2020
もし、アスリートの胸に輝くメダルに、自分のスマホが使われたとしたら…。そういった話を子どもたちとしながら使用ずみ携帯電話・スマホを提供してみませんか? 東京2020大会がきっと、観戦するだけでは得られない特別な親子の思い出となるにちがいありません。
使用ずみ携帯電話やスマホなどをドコモショップ・自治体に持っていくだけでできる簡単なアクション。早速、引き出しやクローゼットに眠っているものがないか、探してみてはいかがでしょうか。
※自治体によって回収品目・回収方法等は異なりますので、あらかじめご確認をお願いいたします。
・「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」について
取材・文/河部紀子
(ライターチーム123)
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