『映画ドラえもん のび太の宝島』声優が明かす「のび太が映画版で活躍するワケ」【昔の子ども、今の子ども。】
Woman.excite / 2018年3月1日 14時0分
『映画ドラえもん のび太の宝島』2018年3月3日公開
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2018
今年もやってきました、映画『ドラえもん』の季節! 3月3日(土)公開の『映画ドラえもん のび太の宝島』は、大長編劇場版シリーズ38作目。太平洋上に現れた謎の宝島を目指し、ドラえもんたちが史上最大の冒険に出かけます。
今回は、ドラえもん役の水田わさびさん、のび太役の大原めぐみさんにインタビュー。子どものころに抱いていたドラえもんのイメージ、そして声優を務めるようになった今、あらたに感じる作品への思いを語っていただきました。
ドラえもん役の水田わさびさん(左)、のび太役の大原めぐみさん(右)
■今回の映画は「親子の愛情の温度差」がテーマ
© 藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2018
――まずは、映画『ドラえもん』ならではの魅力について聞かせてください。
大原めぐみさん(以下、大原):仲間と協力することのすばらしさを描いていることもそうですが、『のび太の宝島』に関していうと、テーマとして「親子愛」があります。
親は、良かれと思って子どもにいろいろと言ってしまうことが多いじゃないですか。本当は見守ることも大切だとわかってはいるけれど、つい先回りして言いたくなってしまうんですよね。それが、子どもの「僕たちの気持ちを尊重してくれない」という気持ちとぶつかってしまう…でも、それってどちらも愛情なんですよね。
今作は本当の悪者がいなくて、描かれているのは“子どもが欲している愛情”と、“親が与えている愛情”にある温度差のようなもの。
子どもと一緒に観ると、子どもの頃に感じていた親への思い、自分が親になって感じること、その両面の感覚で観ることができるというのが魅力になっていると思います。
―――私も作品を拝見して、「子どものため」と思い込みすぎることで、子ども自身が見えなくなっていることがあるのではとハッとさせられました。では、お二人が思うテレビアニメ版と劇場版の違いを教えてください。
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2018
水田わさびさん(以下、水田):映画では、キャラクターのすべての人物が主人公になれるように描かれていると思います。テレビだと、どうしても毎週のび太くんが主人公になってしまう。でも、劇場版ではゲストのキャラクターも含めて、みんなの心理状態をそれぞれ追える形になっているかと。逆にドラえもんは、映画になると一歩引いているような感じがありますね。
――たしかに、ドラえもんとのび太くんの立ち位置が変わる感じはありますよね。大原さんは、演じる上で意識の違いなどはありますか?
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2018
大原:自分がのび太を演じる上で、“のび太くんの気持ちの流れ”を的確に捉えられてるかなとは常に思っています。でも、それはテレビ版でも同じこと。
ふだんはドラえもんに助けてもらっている印象が強いですが、だからこそ自分ができるときには「助けてあげたい」。そんな気持ちも、(テレビも映画も)すべてつながっていると思うんです。「ドラえもんを大切に思っている」というところをベースに、そのときの感情を乗せて発しているだけなので、あまり変わらないですね。
――水田さんは、演じる上での違いについてはいかがでしょう。
水田:収録時間が長いので、燃費を悪くしないようには気をつけています。収録は2日間なのですが、待ち時間がほとんどなくずっと演じ続けているので、すごく濃い2日間なんです。体調管理はとにかく大事にしていて、劇場版の収録が終わったら「ふっ」と一息つく感じはありますね。
――ほかに、『映画ドラえもん』で大切にしていることはありますか?
水田:スタジオの空気の話になりますが、やはりゲスト声優の方をあたたかく受け入れる雰囲気作りを大切にしています。
自分も逆の立場のとき、先輩に声をかけてもらったことがうれしかったという経験があるので。とくに、番組が長く続いていれば続いているほど緊張してしまうものだと思うので、私は休憩時間にはゲスト声優の方に近づいたりして、話しかけたりしています(笑)。
シルバー(大泉洋さん)©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2018
■メッセージ性がすごい! 『ドラえもん』の奥深さ
――10年以上『ドラえもん』の声優を続けられていますが、子どものころからいまに至るまでで『ドラえもん』に対する思いの変化はありますか?
大原「ドラえもんは、みんなの味方。悲しい時も、辛い時も、楽しい時も、どんな時でも“どんな子であってもいいんだよ”って、受け止めてくれる存在だと思います」
大原:子供のころは、「こんな道具があったらいいな」とか「ドラえもんがいたらいいな」とか「私がのび太くんだったら、こんな道具の使い方はしない(笑)」とか、そんな感覚で観ていました。
でも、のび太役をやらせていただく立場になって、『ドラえもん』ってこんなにたくさんの方が携ってるんだなっていうのを感じました。映画のエンドロールで流れるテロップの名前の多さに驚いたんです。私はこのチームの一員なんだと鳥肌が立つほどうれしかったのを覚えていますし、その喜びはいまも変わらないですね。
――水田さんは、いかがですか?
水田「ドラえもんは、夢と希望に満ちあふれた存在。未来は明るいよ!夢は叶うよ!って、すべてのメッセージが詰まっているのが、ドラちゃんだと思います!」
水田:子供のころは、「金曜夜7時に猫型ロボットが出てきて、“のび太くんがまたダメだったよ~”」という起承転結のあるわかりやすいアニメとして観ていました。でも、いま観るとヒューマンドラマがとてつもなく詰まっていて。『ドラえもん』がこんなに奥深い作品だと思いませんでした。
地球の環境問題とか、スマホが発明されるとか、藤子・F・不二雄先生は当時からわかっていたんじゃないかと思うほど、メッセージ性がすごいです。ギャグ要素もあるのに単なる子ども向けではなく、深いんですよ、この作品は。
© 藤子プロ・小学館・テレビ朝日 1992
■夫に言われた本気のひとこととは
――それは演じれば演じるほどに感じますか?
水田:もう、本当に! うちの夫は私より年上で、リアルタイムで『ドラえもん』を読んできた世代なので、その当時の記憶がすごいんです。その方たちがいま、大人になっているわけですから、私なんかよりもっとドラえもんの奥深さをみなさん知っているので、軽率なことを言えないですよね。
――でも、そんなドラえもん役に奥さまが抜擢(ばってき)されるなんて、旦那さまもびっくりですね。
水田:そうなんですよ。発表になったとき、「やめてくれる?」って、本気で言われましたからね(笑)。「 俺は、藤子・F・不二雄先生が大好きで愛してる。だから、やめるならいま。申し訳ないけれど、おまえには務まらないからやめてくれ」って。
でも、私自身もクビになると思っていたんです。1クール終わった、2クール終わった…って安堵(あんど)しながらやってきて。『映画ドラえもん のび太の恐竜 2006』ができたときに、ようやく「これは続けさせてもらえるかな?」と思うようになりました。
それまでたくさんアルバイトもしてきたし、つねに危機感を抱いていたんです。もともと役者をやりたくて上京したので、毎週芝居ができるなんて、こんなにうれしいことはないと思っていました。
ただ、自分が楽しくても評価するのは皆さまなので…。身内にすら、「やめて」と言われてしまいましたからね(笑)。でも、できるところまでやってみようという気持ちは持っていました。
© 藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2006
――大原さんは、お子さんを出産されてから声優として活動を始めたのですよね? 子どもを産んでから、自分自身もあらたな道を歩み始めるって、すごくパワフルだと驚きました。
大原:そうなんですよね。でも、難しいことは何も考えていなかったんだと思います(笑)。自分が本当にやってみたいことだったので、自然と行動を起こせたんです。こうしてお仕事ができて、すごくありがたいことだと思っています。
■のび太の衣装がオシャレに進化!?
――子どもの頃にも『ドラえもん』をご覧になっていたとのことですが、当時といまで、何か変わっていると感じることは?
大原:う~ん…服にいろんなバリエーションが増えましたね!
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2018
水田:たしかに、衣装替えは結構あるよね。パーカー着ちゃったり!
大原:そうそう。模様が増えたり、色が変わったり。「白襟と黄色の服だけじゃないぞ!」っていう(笑)。
© 藤子プロ・小学館・テレビ朝日 1982
――なるほど(笑)。『映画 のび太の宝島』の中で、いままでにない新しさはありますか?
大原:今回は、音楽が印象的でしたね。楽しいシーンは、踊り出したくなるくらいワクワクする音楽で、気分が盛り上がります。反対に緊迫するシーンは、恐怖感を音楽であおるようなところもあって…ぜひ、音楽に注目してください!
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2018
――それでは最後に、映画を楽しみにしている子どもたちにメッセージをお願いします。
大原:すごくテンポが良くてスピード感もあって、内容がギュッと凝縮されているお話です。乗り越えられないようなできごとも、「みんなで協力することで、乗り越えられるんだ!」と伝わればうれしいです。
水田:劇場に行く前にはきちんとお手洗いに行って、最後まで楽しんでくれれば、それだけで褒めてあげちゃう! だって、劇場でじっと観てるって、それだけで子どもにとっては大変なことじゃないですか。あとは…最後の最後まで、ちゃんと見てほしいと思います。なにか、いいことがあるかもしれないからねっ!
3月3日(土)全国東宝系にてロードショー
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2018
「宝島を見つける!」とジャイアンたちに宣言したのび太は、ドラえもんのひみつ道具“宝探し地図”を使って宝島を探すことに。地図が指し示した場所は、なんと太平洋上に突然現れた新しい島だった…。
公式サイト:http://doraeiga.com/2018
(nakamura omame)
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