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「勘違いインスタグラマー妻」夫からも見放され…:礼子の場合【リアル・モンスターワイフ、再び 第5回】

Woman.excite / 2018年3月24日 21時0分

「勘違いインスタグラマー妻」夫からも見放され…:礼子の場合【リアル・モンスターワイフ、再び 第5回】


ⓒ Monet-stock.adobe.com


夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから。ということで、モンスターワイフにはさまざまな種類があります。

前回の主人公・柚那は「最高の妻」を目指すがゆえ、周りが見えない仕切り魔と化してしまった妻でした。

今回紹介するのは、女性のおなかの奥底にドロリとたまっている虚栄心の餌食になってしまった妻です。

芸能人でなくても注目される! イケてる私を演出できる!…昨今のSNSの急速な普及で、メンタル系モンスターセレブ憑きは、あなたのことも狙っているかも知れません。要注意です。

■インスタ映えだけが生きがい「セレブ妻の現実」

「メンタル系モンスター セレブ憑き」代表:礼子(仮名)の場合

高級住宅地にあるマンションの一室。礼子は購入したばかりのブランドコスメの袋をソファに放り投げると、デパ地下で調達したおひとりさまデリを、皿に移すこともなく食べ始めた。夫の誠一は今日は残業と言っていた。

ベトナム風春巻きを指でつまんでほおばる。あごに付いたスイートチリソースを拭こうともしない。味など分からない。おなかがすいたから満たしているだけ。彼女の頭は食事以外の事象でフル回転していた。

今日が発売日だった限定コスメ、シルバーでキラキラ光るコンパクトがまるで自分のように女王さまオーラを発している。

「部屋のどこで、どのアングルから撮影したら一番キレイに見えるかしら? 一緒にアップするコメントは?」

礼子はインスタグラムにハマりにハマっていた。というより、彼女の生活はインスタグラムを中心に回っていたと言ったほうが正確だ。

投稿される華やかな写真の数々とは対照的に、実生活ではほとんど出番のないコスメや服、バッグの数々が部屋には無造作に置かれている。「収納」という概念は、礼子にはない。秩序のまったくない物があふれた家。幸せとはかけ離れた雰囲気が漂っていた。

■体調を崩し専業主婦に…「家ではいつもひとり」で鬱(うつ)状態に

5つ年上の誠一と結婚した頃、礼子はITベンチャーのウェブデザイナーとして忙しく働いていた。残業が多い職場で、ついに彼女は身体を壊した。腎臓の病気と万年腰痛。新しい上司との折り合いが悪かったこともあり、彼女は休職ではなく退職を選んだ。

誠一は外資系勤務ということもあり、収入はいい。誠一の叔父が持つ緑に囲まれた低層高級マンションを安く貸してもらっているので、生活には困らない。何より、礼子の通帳にはデザイナー時代の給与が貯まっていた。

しかし、いざ仕事を辞めてしまうと、礼子は途方に暮れた。夫は忙しく、アメリカ出張が多い。家ではいつもひとりぼっち…。料理を作っても、誰も食べてくれないし、評価もしてくれない。仕事で知り合った友人ばかりだから、突然、専業主婦になってしまった礼子とは話が合わない。

一度、元同僚とランチをした時には、ハツラツと働く彼女が自分の何百倍も輝いて見えて、帰宅後ドッと落ち込んだ。その頃から礼子は家に引きこもりがちになり、鬱々とした毎日を過ごすようになった。かといって、在宅でデザインの仕事をするという選択はなかった。締切に追われる緊迫感は、また体調を悪くさせるに違いないと思っていたからだ。

■高級ヨガスタジオで出会った「セレブの世界」

そんな時、家の近くにヨガスタジオがあることを知る。入会金60万円。月謝も高いがとてもスタイリッシュなスタジオで、DVDを出している元モデルの先生までいる。「ヨガは身体だけでなく、心の不調にも効果的だというし…」。礼子はこのスタジオの会員になることにした。

初レッスンの日、礼子は持ち合わせている美意識のプライドというものがガラガラと崩れる。「元モデルの先生」のみならず、生徒たちまでとてもスラリとスレンダーな女性が多く、着ている専用のウエアも最先端のデザイン。とりあえずTシャツとジャージでやって来てしまった礼子は、穴があったら入りたい気分だ。

レッスンの休憩中、2人の女性が礼子に話しかけてきた。2人とも近所に住んでおり、このスタジオには1年以上通っているという。自分の服装を恥ずかしがる礼子に彼女たちは「いいショップを紹介する」と言ってくれた。レッスン後、早速彼女たちの行きつけのショップに連れだって行った。

その道中のおしゃべりから分かったことは、彼女たちは礼子と同じく専業主婦で、「亭主元気で留守がいい」を地で行く生活をしていた。彼女たちにすすめられたヨガウエアの価格に仰天しつつも、礼子の頭にはこんな考えが浮かび始めていた…。

「この人たちは私と、住んでいる地域もマンションのグレードも同レベル。なのにブランドバッグやアクセサリーを身に付けて、体型もスリムで、芸能人みたい…。時間にもお金にも、心にも余裕がある感じ…。

働いていた頃には、絶対に見えなかった世界だわ。うちの誠一だって稼ぎがいいし、私にも10年間働いた貯金がある。これまでずっと頑張ってきたんだもの。私だって少しくらい贅沢してもいいわよね」

『自分にご褒美』というどこかの企業のキャッチコピーが頭のなかでクルッと一回転した。
 
 

■インスタグラムの中だけで生きる妻に唖然


ⓒtaka-stock.adobe.com


その日から礼子のフル装備プロジェクトが始まることとなる。六本木ヒルズやミッドタウンにショッピングへ出かけ、オシャレなヨガウエアを何セットもそろえることはもちろん、どんどん増えるヨガ仲間たちとのおでかけに合わせ、ブランド物のバッグや靴も買いあさる。

特に、彼女たちとSNSでもつながるようになって以来、礼子の浪費は目に見えて激しくなっていった。高級ブランドの限定品、新作という言葉に過敏に反応し、いち早く購入してはインスタグラムにアップしなければならない。

家を空けることが多い夫の誠一も、さすがに礼子の変化に気づくことになる。「自分が忙し過ぎるのがいけないのかもしれない。寂しさを埋めるために、買い物依存に走っているのではないか…」と考えた誠一は、なかなか取れない休みをどうにか確保した。「2人でゆっくり過ごすことができれば、妻も喜んでくれるはず」と思った。

実際、誠一が休暇について切り出した時、礼子は満面の笑みを見せた。

「ちょうどよかった。お買い物に付き合ってほしいの。それから雑誌に載ってた、新しくオープンしたフレンチレストランにも早く行ってみなくちゃ。麻布のはずれにある隠れ家的なお店なの」

「フレンチ…? 妻はいつから、フランス料理が好きになったのだろう?」と、頭の中は疑問符だらけの誠一だったが、当日になってようやく事情を理解した。礼子は料理の味など気にしていない。彼女はひたすらスマホのカメラを料理に向けていた。

デザートにいたってはスプーンに苺をのせてみたり、シロップをしたたらせる仕草をギャルソンに頼んで撮影したり、大はしゃぎしている。誠一は恥ずかしくなってしまった。ニューヨークではこんなに騒ぐ大人の女性を見たことがない。日本人の観光客以外では…。

ショッピングにしても、誠一は完全に礼子の荷物持ち。高級コスメに加えて、限定パッケージの高級スイーツを買いあさる礼子。「こんなにいっぱいどうするんだよ?」と呆然としている誠一に、礼子はあっさりと「かわいいでしょ? インスタ映え間違いなしだわ。この間ヨガスタジオのお友だちに旅行のお土産をもらっちゃったし、そのお返しにも使えると思って。お茶に呼ばれた時の手土産にもね」とお構いなしだ。

■夫が気づいた時にはもう手遅れ? 妬み嫉みに落ちた妻

「妻は明らかにおかしい」

誠一はやっと理解した。礼子が働いていた頃の貯金は、本人が自由に使えばいいと思っている。生活費だって十二分に渡している。そのこと自体に不満はない。

けれど…せっかく2人で過ごせる貴重な休日だというのに、礼子の頭には「インスタ映え」と「セレブの付き合い」しかないのだ。家事をさぼっているのは留守がちの誠一からは文句が言えず、これまで大目に見ていた。妻の暴走を目の当たりにして、もう、どうしていいかわからない。

数週間後の週末、リビングでスマホをいじっていた礼子が尖った声を上げた。

「やあねえ。足立さん、パリにショッピング旅行ですって。足立さんの旦那さん、誠一と業界は同じだけど、お勤めの会社はずっと小さいのよ。うちより格下なのに、こんな5つ星ホテル。見栄張ってるんじゃないの?

「いい加減にしろよ」

いつもは温厚な誠一も、この時ばかりは声を荒げていた。

「格下? 格って一体何の話だよ? 足立さんはお前が仕事を辞めてから、やっとできた友だちだったんじゃないのかよ? 俺はそう思ってたから、礼子が足立さんへの手土産だの、ランチに誘われたから新しい服だの、あれこれ買うのも黙って見てきたんだ。でも、単なる見栄を張るだけの相手だったんだな。どっちだよ、自分の浅ましさが恥ずかしくないのか?」

まさか誠一からそんな反応が返ってくるとは思っていなかった。礼子は、一瞬唖然とした。顔を真っ赤にしてリビングを飛び出し、自分の部屋のドアを乱暴に閉めると泣いた。目玉が溶けそうなくらい泣いた。悲しいというより、侮辱されたという思いと怒りで涙が止まらなかった。

■「今日、何の日か覚えてる?」夫から引導を渡された瞬間

翌日、礼子は都内の有名ホテルのアフタヌーンティーにやって来た。誠一に侮辱された私が元気になるためのご褒美だ。

『ホテルのアフタヌーンティーを楽しむ優雅な私』、それが礼子の頭の中のセルフイメージだった。しかし周囲から見れば、一心不乱にスマホで写真撮影を続ける、イタい人にしか見えない。

実際の暮らしが虚しく、みじめに、不幸になればなるほど、礼子は幸せなふりをしたかった。いや、しなければならないという強迫観念に駆られていた。誠一との関係が決定的に悪化し始めた頃から、礼子のインスタ狂いはますます加熱していく。

ある日、いつも帰りが遅い誠一が、珍しく早く帰宅した。

「おかえり…」

奥から礼子の声は聞こえるが、誠一を出迎える気配はない。何しろ明日はヨガスタジオの仲間が集まるお茶会なのだ。着ていく服は? 持って行くバッグは? ああ、この靴は前回履いちゃったやつよね。それじゃあ今回は…。礼子は自分の部屋にこもって、忙しく戦略を練っていた。

真夜中、パジャマ姿の誠一が礼子の部屋へやって来た。

「おやすみ」

「ああ、おやすみなさい。今パック中。このパック、金粉入りなのよ」

礼子は目の前のスタンドミラーから目を離さずに言った。誠一が小さなため息をつく。

「礼子、今日は何の日か、本当に覚えてない?

今日…? 急に何の日かって言われても…?? 怪訝そうな顔をしている礼子に、誠一はボソッと言った。

「俺の誕生日。まあ、礼子にとってはどうでもいいことだよな。お前はもっとほかに考えなきゃいけないこと、やらなきゃいけないことがいっぱいだもんな。それじゃあ、おやすみ。」

さすがの礼子も血の気が引くのを感じた。誠一と結婚して5年、彼の誕生日を忘れたことなど、これまで一度もなかったのだ。



虚栄心とSNSの最強タッグにより、あっという間に「メンタル系モンスター セレブ憑き」へと変身してしまった礼子。はたして彼女は、夫婦仲を修復することができるのでしょうか…?

「リアル・モンスターワイフ、再び」第6回では、あなたの「メンタル系モンスター セレブ憑き」度をチェック、判定! 礼子と同じ失敗を繰り返さないためのアドバイスをご紹介します。
 
 
(三松真由美)

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