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産後セックスレス「変わらない夫」に欲求不満でイライラ:加奈の場合【リアル・モンスターワイフ、再び 第9回】

Woman.excite / 2018年4月28日 22時0分

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©beeboys- stock.adobe.com


夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。

今回は、夫婦が最も陥りやすい「産後のセックスレス」にスポットを当てていきます。育児雑誌でも、これまで何度もこの特集の監修をいたしました。それほど多くの夫婦が直面している問題なのです。交際中も結婚後もそれなりにセックスを楽しんでいた夫婦でも、妻の出産という一大イベントを機に、ガクンッとセックスレスに陥ってしまう危険性は大いにあります。

女性にとって妊娠、出産、そして育児は、とても幸せな体験。けれども、同時に肉体的にも精神的にも、女性に大きな負担を強いるものです。夫とのエロスは忘れてしまい、聖母のような気持ちで赤ちゃんを見守る時期。夫より赤ちゃん優先の時期といえます。そして、ふと気づけば完全なセックスレスだった…そんなケースが後を絶ちません。

産後セックスレスに陥って後々泣かないために、気をつけるべき点をご紹介しましょう。

■産後セックスレスは「変わらない夫」への報復?

「セクシャル系モンスター イライラモンモン」代表:加奈(仮名)32歳の場合


授乳をすませ、ようやく娘を寝かしつけた加奈は、子ども部屋から戻って来るなり、首から上がカァーッと熱く頭に血が上るのを感じた。夫が夕食を取っていたダイニングテーブルから、汚れた食器は消えていた。しかし、その食器はキッチンに下げられていただけで、食洗機には入っていない。加奈はイライラで爆発しそうになりながら、食器を食洗機に放りこみ始めた。

授乳に行く前に、食べ終わったら食器は片づけておいて」って言ったのに…。「片づける」って、食器を食洗機に入れて、洗剤も入れて、食洗機をスタートするところまでのことでしょ? 子どもじゃあるまいし、そんなことまで私が逐一指示しなくちゃいけないわけ? 赤ちゃんの世話で目が回りそうに忙しいのに、いい年をした夫の面倒まで、私が見なくちゃいけないなんて、自分のことは自分でやるよう小学校で言われたでしょ…! 夫への怒りが一気にふくれ上がる。

2つ年上の和久と結婚して3年。もうすぐ1歳になる娘の彩乃の世話に忙殺される毎日。加奈も和久も子どもが欲しいと願い、望みどおりかわいい女の子を授かった。幸せなはずの毎日。けれども初めての育児に心身ともに疲れ果てていて、幸せを感じる余裕がない。それどころか、毎日苛立ちの連続だ。

娘はあちこち歩き回っては何もかもグチャグチャにする。1日3回、離乳食を食べさせるのもひと苦労。授乳もまだ続いているので、時間も栄養も吸い取られている。こんな時にこそ自分の夫であり、娘の父親である和久にしっかりしてもらわなければならないのだが…和久がこんなに「使えない男」だったとは、育児が始まるまで知らなかった。

娘の泣き声で、加奈はわれに返った。しまった。イライラしていて、食器の音を立て過ぎたか。そこへ和久が、風呂場から戻ってきた。

「彩乃、泣いてるよ」

そののんきな顔を見た途端、加奈は怒りでこめかみに激痛が走るのを感じた。

「誰のせいで、彩乃が起きたたと思ってるのよ! せっかく寝かしつけたのに。私は疲れてるの! 死ぬほど疲れてるのに、どうしてあなたは食事の片づけひとつまともにできないわけ!?」

和久は娘が生まれてからの加奈の豹変(ひょうへん)ぶりに、戸惑っていた。出産前の加奈は理知的で、感情的になることはあまりないタイプだった。そんなところが和久の好みだった。ところが彩乃が生まれてからというもの、加奈は自分にも娘にも、しょっちゅう怒鳴り散らしている。いつでもカリカリしている。

ベッドの中ですらそうだ。彩乃が生まれて半年ほど経った頃、和久は遠慮がちにおうかがいを立てた。体はもう大丈夫? そろそろセックスを再開するのはどうだろう、と。しかし、加奈は和久をにらむと、ピシャリと言い放った。

「勘弁してよ。24時間無休で、彩乃の面倒見てるの。あなたの世話までしてられないわ」

世話…妻にとって俺とのセックスは「世話」でしかないのか。和久はひどく侮辱されたと感じ、またさみしかった。けれどもその後も何度かは、和久のほうからお誘いをかけてみた。

もともと加奈と和久は体の相性がよく、交際中も新婚時もセックスをとても楽しんでいたのだ。二人の間にセックスが復活すれば、常に苛立っている加奈も、ピリピリした空気も、少しは和らぐのではないか。そんな希望を抱いてのことだった。

けれども毎回、加奈はつっけんどんに和久を拒絶した。2度断られるだけでも、しょげてしまうのに、それでも頑張って誘ってみて…10度近くは断られただろうか。

和久のプライドは崩れ落ちた。そして、妻とのセックスをあきらめてしまった。もはや加奈には、セックスへの関心の欠片もない…和久はそう思っていた。
 
 
 

■「役立たずな夫」「豹変する妻」気持ちもセックスもすれ違う二人


©beeboys- stock.adobe.com


事実は少し違っていた。確かに、産後半年ほどで和久から誘われた時の加奈は、初めての育児に肉体的にも精神的にも疲労困ばいしていた。体のほうも本調子と言っていいものか、まだ自信がなかった。お産の時に膣と会陰が傷ついているので痛いのではないか、赤ちゃんが出てきた場所でまたセクシーな行為を行うことができるのか。

けれども、何度か誘われた時には、実を言えば加奈のほうにも「そろそろしたい」という思いがあったのだ。加奈の性衝動をストップさせたものは何か。昼間の夫の役立たずぶり、そのせいで自分がどれだけイライラさせられたかを思い出すにつけ、「私もしたい」とは死んでも言いたくない気持ちになっていた。

ある日、加奈は忙しく離乳食の準備をしながら、和久に「出かける時にゴミを出して行って。今日は燃えるゴミの日なの」と頼んだ。すると外出の支度を済ませた和久は、加奈のところへ戻って来て「ゴミはどこ?」とたずねた。

「ゴミは自動的にゴミ袋に入ってあなたを待ってるとでも思ったの? 家中のゴミ箱からゴミを集めなきゃ、捨てに行けるわけがないでしょ! どうしてそんなことも分からないの!?」

加奈は、ものすごい剣幕で和久を責めた。娘が吐き出した離乳食で手がベトベトと気持ち悪かった。甘ったるいかぼちゃの匂いが鼻につく。イライラは倍増した。びっくりした娘が泣き出すと、それが余計に加奈の神経を刺激した。

「早く食べなさい!」

大泣きする娘に、加奈はさらにきつい口調で怒鳴り散らした。本当は私だって、自分の娘に怒鳴ったりしたくない。優しいママでいたい。けれども、自分はあまりにも忙しく、あまりにも疲れている。娘が生まれてから自分の時間など皆無だし、趣味や楽しいことなど、何ひとつしていない。

それに比べて、和久はどうだろう。結婚前から参加している焼酎サークルの集まりに、今でも月に一度は顔を出している。会社の飲み会にだって、以前とほぼ同じ頻度で参加している。私だってお酒は大好きなのに、妊娠が分かってから一度も口にしていない…。

そして何と言っても、和久の家事・育児での役立たずぶり。私は死ぬほど疲れているのだ。そんな中で、常にやらなければならないことに追われている。そんな泣きたくなるような状況で私が必死に頑張っているのに、どうして夫はもっと私を助けてくれないのだろう。テキパキ動いてくれないのだろう。

そんな不満でいっぱいの状態で、和久からのお誘いだ。とても「私もしたい」なんて言えない。夫は私よりずっとラクをしている。楽しい思いもしている。夫はズルい。私だけ損してる。こんな状態でセックスをして、夫にさらに楽しい思いをさせてやるなんて、まっぴらごめんだ。私とセックスしたいなら、もっと夫として、父親としての役目を果たしてから誘うべきなのだ。

不満だらけの夫に、セックスなんてさせてやらない。加奈はかたくなになっていた。それにこれだけ不満を抱いている相手に、自分がベッドの上で喜ばされることを想像するのも我慢がならなかった。

けれども出産のダメージから回復した加奈の体は、セックスを求めていた。この間など、気づいたらネットで官能小説を探していた。夫に求められ、それを素直に受け入れられる世のすべての妻に、加奈は嫉妬した。

夫はもう誘ってこない。私はこんなにしたいのに…欲求不満が、加奈のイライラぶりをさらに加速していった。それでも自分のほうから抱いて欲しいだなんて、絶対に言えないし、言いたくない。加奈はストレスとフラストレーションを、ひたすら小言口調の態度で表現するばかりだった。


ガミガミママになると同時に、セックスレスにも陥ってしまった加奈さん。果たして彼女のその後は…?

そして、あなたには加奈さんと同じ失敗を繰り返してしまう危険性はないでしょうか? 次回ご紹介するチェックテストで、リスクを判定してみてください。
 
 
(三松真由美)

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