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ママ友ヒエラルキーの頂点に立ちたい! 見下しママ代表:香織の場合【リアル・モンスターワイフ、再び 第15回】

Woman.excite / 2018年6月3日 20時0分

ママ友ヒエラルキーの頂点に立ちたい! 見下しママ代表:香織の場合【リアル・モンスターワイフ、再び 第15回】


ⓒtaka-stock.adobe.com


夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。

前回に引き続き、今回も新型である「マウンティング系モンスターワイフ」のエピソードをご紹介します。今回の舞台は、ママ友社会

ママ友同士の派閥や見えの張り合いなんてバカみたい! と思っていても、気づくとはまっているおそろしいママ友の世界。うっかり無益な戦いに身を投じてしまわぬよう、ご用心。「人のふり見て、わがふり直せ」とはまさにこんな場合です。

■「最高の街、最高のマンション、最高の私」

「マウンティング系モンスター 見下しママ」代表:香織(仮名)34歳の場合

人気私立幼稚園の園庭の片隅。カチッとした紺のパンツスーツ姿で娘の恵里菜を迎えに来た香織は、今日もママ友の井戸端会議の中心となって笑顔を振りまいている。

「この間お話したうちのマンションのスカイラウンジ、皆さんぜひ遊びにいらして! お茶はスタッフが出してくれるから、お菓子を持参すればすてきなお茶会ができるわ」

みんなが私の“お城”に興味津々。私の暮らしがうらやましいに違いない。声高に話しながら、香織はほおがゆるむのを止められなかった。

香織家族は、娘・恵里菜の幼稚園入園に間に合うよう、この街に引っ越してきた。みんなの憧れの街。上品な雰囲気に豊かな緑、そして幼稚園から大学にいたるまで、一流の教育機関が集まっている。わが子に最高の環境を。それが香織の信念だった。

だから、娘の幼稚園入園を前に完成する高級マンションの情報を、香織はいち早く入手した。人気幼稚園まで徒歩5分、入居者専用のジムに共有スカイラウンジ…なんてすてきな生活。香織はすぐさま資料をそろえて夫の秀樹に掛け合ったが、夫は「価格が高過ぎる」とおよび腰だった。

秀樹は勢いのあるITベンチャー企業の役員だ。年収は同世代の会社員よりはるかに良い。しかし、タワーマンションともなると、その価格にも敷居の高さにも決意が揺らいでいるのだろう。

「でも、子どもには、最高の環境を与えてあげなくちゃ」

香織は「自分も職場復帰するから」と説得した。実家の両親が頭金を半分出してくれることも伝えた。香織の父親は数年前、祖父の土地を相続して余裕がある。妻にそこまで詰め寄られると、秀樹も最終的には首を縦に振らざるを得なかった。

■ブランドスーツで武装「バリキャリママ」のフリ

香織は、結婚前に働いていたメーカーにアルバイトの事務職で戻ることができた。社員の服装にうるさい会社ではないので、スーツで出勤する必要などまったくない。けれども、香織は高価なブランドスーツを買いそろえ、秀樹を仰天させた。

マンションに引っ越して来て、香織は焦りを感じていた。いわゆる「ママ友」たちが皆、有閑マダムか外資系企業に勤めるバリキャリタイプなのだ。住宅ローンのために働いているだなんて、口が裂けても言えない。だから自分も「バリキャリ風」に見えるよう、スーツで武装することにしたのだ。

効果はテキメンだった。幼稚園でできたママ友たちは香織のことを、「あの新築マンションに引っ越してきた、キャリアウーマンのカッコいいママ」と認識してくれているようだった。

17時までの勤務は週1回、ほかの日は早めにあがれて、子どものお迎えにも差し障りがない。遅くなる日はお迎えサービスを頼んでなんとかなる。ママ友たちには「子どもが小さいうちはワークシェアできるの。夜は在宅ワーカーなの」と、かっこいい体裁を作る。完璧なストーリーを作り上げた。
 
 

■タワーマンション最上階に住む“敵”

夢のお城を手にした私に集まる、羨望(せんぼう)のまなざし…香織は優越感にひたっていた。幼稚園のママ友の中にいる、たった一人の“敵”を除いては…。

「あら、茉奈ちゃんママ。こんにちは」

井戸端会議に参加していたママの一人が声を上げた。茉奈ちゃん一家は、香織のマンションの最上階の住人だ。41階。マンションの販売前から説明会に参加していた香織は、最上階の部屋のびっくりするような価格を知っている。

茉奈ちゃんママはいつも流行とは無縁だけれど、ひと目で上質なものと分かるものを身に付けている。肌など白雪姫のように真っ白で、幸せそうな顔。専業主婦。おっとりした話し方は、「人生で忙しかったことなど一度もございません」と言わんばかりだ。

別のママがたずねた。

「茉奈ちゃんのバレエ教室、どうですか?」

バレエ? 茉奈ちゃんはピアノも英会話も習っていたはず。それに加えて、今度はバレエ? うちの恵里菜は英会話だけだ。顔の引きつりを無理やりほぐすように笑顔を作って、香織は言った。

「いいねぇ、茉奈ちゃん。頑張ってね。うちも習い事を増やしたいのは山々なんですけど、私の仕事がさらに忙しくなってしまって。大きな案件を任されたもので…おかげでまたやつれてしまって」


ⓒDaisuke Morita-stock.adobe.com


「仕事で忙しい」「やつれてしまう」というのは、香織の常套句だった。ある日の井戸端会議で、有閑マダムのママ友たちが「子どもが幼稚園に行っている間、何をして過ごすか」と話し合っていた時、「私は仕事が忙しくて」と言うと「まだ子どもが小さいのにすごいわね」と言われたからだ。

彼女たちの持っていないもの、それは仕事だ。社会でハツラツと働き、経済参加をしているという事実が彼女たちには憧れのフックになる。

そして、ママ友たちがダイエッの話題で盛り上がっているのを聞いて、一番細身だった香織は「私は仕事が忙しくて、やつれてしまうんです」と付け足した。すると、ママ友たちからは嫉妬のまなざし。それからというもの、香織は「仕事で忙しい」「やつれてしまう」をキーワードに、ママ友社会で闘っている。

■ママ友ヒエラルキーの闇「すべて一番じゃないと気がすまない!」

その晩、香織は夫の秀樹が帰宅するなり切り出した。

「習い事、やっぱり英会話だけじゃ恵里菜がかわいそうよ。ほかのお友だちはみんな、いろいろ習っているのに」
「恵里菜が何かやりたいって言ってるのか?」
「そういうわけじゃないけど…。でも、親が機会を与えてあげなくちゃ」

何か言おうとした秀樹をさえぎるようにして、香織が続けた。

「それから新しい車のこと。やっぱりファミリー向けの国産車なんてダメよ。習い事の送り迎えの時にうちだけそんな車だったら、恵里菜が恥ずかしい思いをするわ。国分寺のおとうさんに言って、アウディを買ってもらおうかな」

秀樹はいつも実家をあてにする香織の態度に嫌気が差していた。まるで自分の稼ぎが少ないことを馬鹿にされているような気がする。

「恥ずかしい思いをするのは、恵里菜じゃなくて、おまえだろ」

そんな言葉を秀樹は飲み込んだ。言おうものなら「私は恵里菜のためを思って!」「あなたは恵里菜がかわいくないの?」と、ものすごいけんまくでお決まりの反論が始まるのが分かっていたからだ。


ママ友社会のヒエラルキーの上位に君臨するのに必死な香織さん。経済的マイナスを実家に頼る幼稚さ。そんな彼女に、夫はウンザリしています。

同年代の女性が集まるママ友社会では、女性の虚栄心や、同性に負けたくない気持ちが刺激されます。そこでつい、何かにつけて相手より上に立とうとしたり、「幸せなフリ」合戦を始めてしまったり…。夫から見ると「イヤな女」まっしぐら、という危険が潜んでいます。

次回ご紹介するチェックテストで、あなたが抱える「マウンティング系モンスター 見下しママ」リスクを確認してみてください。
 
 
(三松真由美)

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