子どもの発達に外遊びは影響がない!? トータルで考える大切さ【発達の専門家に聞いた外遊びの効果 第1回】
Woman.excite / 2018年7月9日 13時0分
外遊びについて発達の専門家に聞いてみた
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最近は、「ゲームばかりで外遊びをしてくれない」といった声も聞かれます。反対に外遊びが大好きで、洋服は泥だらけ、ポケットが砂ばかりでため息ついているママも多いのではないでしょうか。
筆者自身は、5歳と3歳の男の子の母ですが、「公園! 公園!」コールが始まると、「またか…」と内心ちょっとうんざりすることも…。なんとなく外遊びが大事だと聞いてはいるけれど、具体的にどんな効果があるのでしょうか。
外遊びが子どもの発達に与える効果について、東京成徳大学の石崎一記(いしざき かずき)教授(「崎」は正しくは「たつさき」)に話を聞きました。
■子どもの発達に外遊びは影響がない!?
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――子どもの発達において「外遊び」はどんな影響を与えるのでしょうか?
そもそも子どもの発達は、「これをしたからこれができるようになる」という因果関係の中では起こりません。たとえば薬を飲んだら熱が下がるというような、わかりやすく結果が出るものではなく、さまざまな関わりのなかで子どもたちは発達していきます。
外遊びについても、実際にそこで何かをしたから子どもたちがこうなるということではありません。そういう意味では、外遊びで何をするかというのはそこまで大きな問題ではないのかもしれません。
――それでは、外遊びをさせることに意味はないのでしょうか?
そういうわけではなく、外遊びをすることに十分意味はあります。ただ、外遊びをしたから、すぐに子どもがこうなるという考えは持たないでもらいたいんですね。
お母さんたちが「外遊びをさせたい」と思う背景には、子どもの可能性を伸ばしてあげたいとか、子どもの笑顔を見たいとかいうことがありますよね。それ自体が、子育てにおいて重要なことなんです。
「今日は天気がいいね、外にお出かけしようか」という語りかけのなかで、外遊びした日は子どもにとってスペシャルな日になるんです。実際に子どもと一緒に何かをするということ、一緒に過ごすことにこそ意味があります。そして、一緒に体験したあとでも思い出としてずっと共有できるのです。
計画を立てることから、行くこと、そして思い出として大切にすることまで、トータルで外遊びは子どもにとって意味があるといえます。また、外遊びをすると、長期的に見てのちのちその効果が出てくることも多くあります。
■外遊びの体験が子どもに与える効果の4つの視点
――それでは、具体的に外遊びでどのような効果が得られるのでしょうか?
視点は4つあります。まず、1つ目は感覚が豊かになるということ、2つ目は試行錯誤ができるということ、3つ目は、達成感や満足感を得られるということ、そして4つ目は、命のつながりを学べるということです。
<1.子どもの感覚が自然のなかではより豊かになる>
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――1つ目の感覚が豊かになるということですが、具体的にはどういうことですか? また子どもの場合はとくに顕著だということでしょうか?
感覚には、視覚や聴覚、嗅覚や触感、そして味覚などがありますが、自然のなかではとくにそれらが活性化される傾向にあります。たとえば、花を見てどんな種類だというように知識としてあれこれ考えるよりも、ただきれいだと感じるようなことが、感覚をより活性化するのです。
そして、感覚というのは同時にいくつも使うほうが、より記憶に残るということがわかってきています。自然はそうした環境にはぴったりです。家にいるよりも、子どもたちにさまざまな感覚を体験させてあげることができます。
<2.正解、不正解がない世界で試行錯誤ができる>
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――2つ目の試行錯誤ができると、どのような力が身につくのですか?
自然は、公園の遊具のように子どもたちの体に合わせて作られていないため、工夫をして遊ぶ必要がありますよね。試行錯誤をすることで自分のやりたいことがはっきりして、子どもたちの意欲が引き出されていきます。
教わったとおりにすることでは得られない、生き生きとした子どもたちの姿が見られるでしょう。こうすれば正解、不正解ということもなく、ゴールも決められていませんから、子どもたちの自主性も身についていきます。
<3.達成感や満足感を得られると、自己肯定感につながる>
――達成感や満足感が得られると、子どもたちのどのような部分が伸びるのですか?
試行錯誤して遊ぶなかで、自然と目標が作られていき、できたときに達成感や満足感が得られます。やり方や遊び方が決められているおもちゃなどではなかなかそれが育ちにくいのですが、自然のなかだと自分自身で目標を決めやすく、それはより大きな達成感につながります。そして、それが最終的には自分のことを大切で好きだと感じる自尊心や自己肯定感にもつながっていくのです。
<4.安心感の源になる、命のつながりが学べる>
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――4つ目に命のつながりという言葉がありましたが、これはどういった意味ですか?
外遊びをすると、虫や植物など、さまざまな命と触れ合う機会があります。たとえば虫を捕まえたら、自分と虫だけでなく、虫とそのほかの自然とのかかわりについても考えるきっかけになります。その虫はどこから来たのか、その虫は何を食べているのか、その虫を食べるのはどんな生き物なのかなど、命が網目のように重なり合っていて、その仕組みのなかに自分がいるということを、無意識の中で感じるのです。
ただ、それは今すぐに子どもたちが認識するわけではなく、理解できるのは小学校や中学校になってからになるかもしれません。小さいうちは、まずそのための材料をそろえていくということ。自分の存在に関しても、安心感の源のようになり得るでしょう。これは自然体験の圧倒的に素晴らしい部分だと感じます。
次回は、外遊びをする子どもたちへの親のかかわり方について引き続き石崎教授にお話をお伺いします。親のするべきこと、してはいけないことはどんなことなのか、ご紹介します。
石崎一記さんプロフィール
東京成徳大学応用心理学部教授。2000年4月より現職。発達心理学について、特に児童期の動機づけや感性の発達が専門。ガイダンスカウンセラー、学校心理士、1級キャリアコンサルティング技能士、日本シェアリングネイチャー協会指導者養成委員・トレーナー。千葉県社会福祉審議会委員や厚生労働省キャリアコンサルティング研究会委員なども務めている。
(高村由佳)
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