おでかけ前のイヤイヤ…イライラする前に「隠す・しまう」でイヤイヤ予防【イクメン脳研究者が教える“脳から考える子育て” 第6回】
Woman.excite / 2018年7月30日 13時0分
![おでかけ前のイヤイヤ…イライラする前に「隠す・しまう」でイヤイヤ予防【イクメン脳研究者が教える“脳から考える子育て” 第6回】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/womanexcite/womanexcite_E1532474220227_0-small.jpg)
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あれもイヤ、これもイヤ。2歳前後から始まるとされる「イヤイヤ期」。出かける直前に子どものイヤイヤが始まってしまった日には、ママもパパも途方に暮れますよね。
イヤイヤを乗り越えるためのいい方法はあるのでしょうか? 脳研究者で下のお子さんがまさにイヤイヤ期の真っただ中という脳研究者の池谷裕二先生に、ご自身の経験も交えたお話をうかがいました。
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池谷裕二先生 プロフィール
研究者、薬学博士。東京大学・薬学部教授。専門は神経科学および薬理学で、脳の成長や老化について研究している。『海馬』(新潮文庫)、『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)など著書多数。近著に『パパは脳研究者』(クレヨンハウス)がある。プライベートでは二児の父。
■子どものイヤイヤ「脳内の成長の証!?」
―― イヤイヤをする時に子どもの脳内ではどんなことが起きているのでしょうか?
池谷裕二先生(以下、池谷先生):そうですね。イヤイヤをするのは、願望がかなわなくてイライラしている状態といえます。「自分のやりたいこと=近未来像をイメージして、現状がそれにそぐわない、できないことを「認知」しているんですね。2歳くらいにして時間軸が心の中にあるんです。
―― イヤイヤと付き合うのが大変な一方で、ものすごい成長も感じられます。
池谷先生:とはいっても、そこまでの論理性はまだないんですね。大人にとって当たり前なことは通用しませんからね。例えば、おもちゃを取り上げるとイヤイヤが始まって、なだめようとお菓子をあげてもイヤイヤ、世の中を全否定するような勢いでイヤイヤしますよね。
でも、そのイヤイヤは長続きしなくて、しばらくするとケロッとしています。1分後は無理でも、あとになってお菓子を受け取ったりしますよね。
■子どものイヤイヤ「原因を取り除いておくのが鉄則」
―― たしかにそうですね。「あれ? もういいの?」ってなります。そして、多くのママたちがイヤイヤ期の対処法に困っています。どうすればスムーズにいくのでしょうか?
池谷先生: 朝、出勤前にイヤイヤされるともうお手上げ状態ですよね。おそらく「早くしなくては」という親のイライラも伝わっているのでしょう。
一度始まったイヤイヤを止めるのは難しいですから、そもそも「イヤイヤさせない」ことが大前提です。お弁当作り、片づけや洗濯、朝はやることがいろいろとありますが、優先順位の最上位が「イヤイヤさせないこと」と認識しておくといいですね。
―― 例えば、子どもがおもちゃを持ってきたら、イヤイヤさせないために忙しくても付き合ってあげたほうがいいということでしょうか?
池谷先生:いえいえ、朝はお気に入りのおもちゃも目に入らない場所にしまっておくのです。おもちゃが置いてあると、出かける時間になっても遊ぶのをやめなかったり、保育園などに「持って行きたい」と言い出したりして、イヤイヤの原因になりますよね? イヤイヤの原因となるものを取り除いておくことが大切なんです。
玄関に子どもの靴を2足、3足と置いてあるから「こっちじゃなきゃイヤ」となってしまう。1足だけを置いて、選択肢を与えないようにします。ほかにも、リモコンが好きな子なら、リモコンは目の届かない場所に置くとか。
朝、子どもが起きてくるまでに、子どもが気にしそうなイヤイヤの原因となり得るありとあらゆるものを取り除いておくことがポイントです。うちのイヤイヤ期の子にもそうしています。それでも完璧ではない時があって、子どもが遊び始めると「あ、そこにまだあったか~」となりますけどね(笑)。
■子どものイヤイヤ「それでも始まってしまったら?」
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―― 何よりも優先してイヤイヤの原因を取り除くことが大事なんですね! それでもイヤイヤが始まった場合はどうすればいいのでしょうか?
池谷先生: イヤイヤが始まってしまったら、以前にもお伝えしましたが、機嫌を直せるのは親ではなく子どもだけです。子どもはほかの子どもの言うことはよく聞きますよね。
顔から火が出るくらい恥ずかしいですが、誰も見ていない家の中では思い切って親も2歳児になりきりましょう! 遊ぶのをやめなかったら、2歳の子になりきって「ぞうさん、いた~!」などと一緒に遊び、「あっち、行こう!」と玄関に誘ってみてはいかがでしょう。
―― 2歳児になりきる…! 衝撃です(笑)。
池谷先生:仲間だと認識してもらえれば、子どもは心を開いてくれるはずです。イヤイヤに真正面から付き合うと10分、15分…と本当にハードなので、2歳児になりきることがおすすめです。もちろん、本当に時間がない時にそんな余裕はないので、子どもを抱えて走ります。走りながら、2歳児になりきって話しかけてみるといいですよ。
ただ、これまでお伝えしてきた「イヤイヤさせない」ことはあくまでも「親都合」の話です。イヤイヤさせないことはイヤイヤすることの機会損失ともいえるわけです。イヤイヤすることが成長過程で必要なのかどうか研究ではわかっていません。同様に、イヤイヤさせないことがいいかどうかもデータがないので、わかっていません。
気になるようであれば、「朝だけはイヤイヤさせない」と割り切って、その分、夕方や休みの日にイヤイヤに付き合ってあげるといいですね。
(コバヤシカヨ)
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