【医師監修】帰省中に起こりやすい子どもの病気・事故4つの予防法<パパ小児科医の子ども健康事典 第1話>
Woman.excite / 2018年8月13日 12時0分
はじめまして、パパ小児科医(ぱぱしょー)と申します。専業主婦の妻とともに2人の娘(2歳、4歳)を育てています。
2人の娘はちょこちょこと熱を出しますし、転んだりして怪我をしたりもします。小児科の知識がある私でも、体調が悪くなると不安になることがありますし、子どもの怪我を全て防ぐことはできません。
でも子どもの病気についてちょっとしたことを知っているだけで解消できる不安もありますし、ヒヤリとすることはあっても大きな事故につながらないように予防もできると思います。
■子どもを守るための「ちょっとしたコツ」
このコラムでは子どもの健康を守るための「ちょっとしたコツ」をお話していこうと思います。
第1話は、8月13日お盆に掲載ということで「お盆によくある子どもの体調不良」について解説します。お盆には遠出をして疲れたり、普段は慣れない祖父母宅での宿泊など非日常的なことが多くトラブルや体調不良が起こりやすいです。
お盆時期の救急外来にはよく帰省中の方が受診されますが、私がこれまで出会ったケースを中心に振り返ってみます。
■その1. 食べ物やホコリのアレルギー
アレルギーに関連したトラブルは多いです。例えば卵アレルギーとは知らずに祖父母が誤って卵入りのクッキーを食べさせ、アレルギー症状が出たお子さんがいました。
食物アレルギーと診断されている場合は事前に伝えておくこと、また食べたことがないものは与えないようお願いしておきましょう。
また来客用の寝具は長期間押入れの中にしまってあるため、使うときにはホコリやダニがたくさん付着してしまっていることがあります。それらを吸い込んでぜんそく発作などのアレルギー症状が出ることがあります。
泊まらせてもらう部屋の掃除や布団干しなどをお願いしましょう。貸しぶとんを使うのも一手です。
■その2. 人がたくさんいても起こる「転落・誤飲」
帰省先には普段子どもがいない場合、住居は子どもを想定したつくりにはなっていません。
水を張ったお風呂で溺れたり、高いところから落下したり、ボタン電池やお薬、タバコの吸い殻などを誤飲してしまうなどさまざまな事故が起こります。救急受診される方はとくに「転落」や「誤飲」が多いです。
「親戚がたくさんいてみんなが見てるから大丈夫」と考えがちですが、人がたくさんいるからこそ油断は生じやすいもので、意外に大勢で見ていても事故が起こっています。
普段と違う環境では予期せぬことが起こります。危険な行動がないか大人が目を光らせるだけでは限界がありますから、事前に誤飲の危険があるものを手の届かないところに片付けてもらったり、転落の危険がないよう安全な場所で遊ばせるよう工夫しましょう。
■その3. 風邪
長時間の移動などで生活は不規則になり慣れない環境では体調を崩しやすいです。
帰省先の救急受診先を調べておきましょう。普段使っているお薬の情報や、ワクチンを受けているかなど情報を整理しておくとスムーズです。帰省荷物にお薬手帳、保険証、母子手帳、普段使っているお薬などを入れることをお忘れなく。
受診するべきか悩むときは子どもの救急ONLINEが参考になります。
■その4. 熱中症
毎年帰省中の熱中症で受診する子どもに出会います。今年はとくに暑いですから注意してください。とくに子どもは熱中症になりやすいので、クーラーの効いた部屋ですごすようにしましょう。
設定温度は家庭によりばらつきがありますが、ここは熱中症になりやすい子どもに合わせて涼しくしてもらうようにお願いしましょう。そしてバタバタしていると忘れがちですが、こまめな水分摂取もお忘れなく!
■「大人しか住んでいない家」は危険がいっぱい
私は自分の実家に帰省したとき、大人だけの空間がこんなにも子どもにとって危険なものなのかと愕然としました。
階段にはベビーガードがありませんし、手の届く高さにガラスの花瓶があったり、子どもがついつい引っ張りたくなるようなテーブルクロス、首が引っかかりそうなブラインドのひも… あれも危険、これも危険、と到着するなり子どもを追い回しながら片付けをしたことを覚えています。
自分の実家であれば、片付けたりしやすいですが、義実家ではそうもいきません。パパの実家への帰省の際にはパパが中心になって安全対策をしましょう。
この記事では事故の一部の例を紹介しましたが、消費者庁の「子どもの事故防止ハンドブック」では、月齢別に起こしやすい事故について詳しくまとめてありますので参考にしてください。
■帰省中の「子どものワクワク」を守るために
子どもの頃、祖父母の家に行くと久しぶりにいとこに会えたり、おばあちゃんがかき氷を作ってくれたりしてワクワクするものでした。
そのワクワクは危険な事故にあわず安全に過ごせていたからかな? といま親の立場になって思います。きっと親や祖父母、おじさん、おばさん、周りの大人たちが目を光らせたり、色々と工夫をしてくれていたのでしょう。
子どもを連れての帰省、親としてはドキドキするものですが、そのドキドキこそが子どもたちのワクワクを守っているのだと思います。
このお盆中、皆様が事故なく過ごされますように。
(パパ小児科医)
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