「学校行きたくない」と言われたら(後編):学校復帰はこだわらない。親がすることは
Woman.excite / 2018年8月27日 6時0分
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子どもが「学校行きたくない」と言ったら
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子どもが「学校に行きたくない」と言ったら、親はどのように対応すればいいのでしょうか。一度学校を休ませると不登校になってしまうのではと心配してしまうママも少なくないと思います。
小学生の不登校の実情について伺った前回に引き続き、今回は、子どもの不登校に対して親ができることについて、不登校新聞の石井志昂編集長に話を聞きました。
「学校行きたくない」と言われたら(前編):子どもが追い込まれる危険日は夏休み明け の続きです。
■不登校の原因特定より大切なことがある
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――前回、不登校の理由は複数あり、子ども自身もはっきりわからないことがあるとお聞きしました。親としては、ついその理由を特定させて学校に戻してあげたいと思ってしまうのですが…
気持ちはよくわかるのですが、子ども自身も自分が学校に行けない理由がはっきりわかっていないのに、そこで「なぜ行きたくないの?」ときつく問われると、ますます追い込まれてしまいます。
当事者のなかには、不登校の理由は不問でもいいのではないかという声もあるくらいなのです。
――それでは、親にはまず何ができるのでしょうか。
原因を特定させることよりも、まずは子どもを甘えさせてあげることが大切だと言われています。不登校というのは、よく子どもの甘えだと言われがちですが、親に甘え足りないからなるのだという専門家の意見もあるくらいなのです。
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親は子どもたちが頼れる心の安心基地でもあるのですが、ここが揺らいでしまうと、その先子どもが進んでいく道のなかで、いつかもっと大きな問題になってしまうこともあります。小学生のうちに甘えさせてあげれば、傷が深くないうちに子ども自身が満足して、成長につながるとも言えます。
■「学校に行きたくない」サインを見抜くには
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――子どもが「学校に行きたくない」と言い始める前に、そうなりそうなサインというのはあるのでしょうか。
小学生くらいの子どもの場合、必ず何かしらのサインを出していると思います。不登校の子をもつお母さんたちも、「そういえばあのときは…」と、あとから何かしらのサインを出していたことに気づく人が多いようです。
不登校というのは、不登校になってからが問題なのではなくて、その前に子どもたちはすでに追い込まれて危険な状態になっているんですよね。
だれにも言えない苦しみを、複数抱え込んでしまっている。そして、原因となっている学校から離れたいと、SOSを出して不登校になるんです。
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――具体的に、どのようなサインを出す子が多いのですか。
「今日は学校やだな」とか、「もう無理」とか、何かしらの言葉を発している子もいます。また、落ち込んでいる表情をしている子も多いようで、学校が始まる月曜日と、休みの日の表情を比べると顔つきが全然違うというようなこともあります。
――そのサインに気づいたら、どのように対応すればいいのでしょうか。
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まずは、「どうしたの?」と率直に聞いてあげることが大切です。その聞き方が重要で、親が子どもをなんとか学校に行かせようとコントロールしようという気持ちが働くと、子どもたちはそれを敏感に感じ取って、返事をしてくれないことが多いのです。
親としては、まずは子どもを心配して「心配だな」と思いますよね。そしてその次に、「待てよ、この子不登校になってしまうのでは」と不安になり、先を見越して何とかそうならないようにと打算が働いてしまいます。
その親の心の動きを子どもたちはすごく敏感に読み取ってしまいます。自分の心配する気持ちのままに、子どもたちに尋ねてみてください。
■「学校に行きたくない」と言われたとき
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――では、子どもに「学校に行きたくない」と言われたときは、どのように子どもに声をかければいいのでしょうか。
さきほどのサインが見られたときと同じで、心配して、「どうしたの」と聞いてあげましょう。そして、本人からつらいことを伝えてきたら、いっしょに悲しんであげましょう。じつはこれだけで十分なのです。
――何か行動するというわけではなく、いっしょに悲しむだけでいいのですね。
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これは、子どもの気持ちの前に出てはいけないという鉄則に基づいています。「子どもの気持ちは今こうだろう」、「こうアドバイスしてこうさせよう」とすると、子どもたちは自分の気持ちをますます言えなくなってしまいます。
不登校になる子どもたちは心が傷ついた状態なので、まずはその心が救われないといけません。いっしょに悲しんでくれる人がいて、それも自分の心の拠りどころである親がそうしてくれるということが大切です。
――その先はどうしていけばいいのでしょうか。
あとは、本人が必ず自分の幸せな道はどこにあるかと考えて、提案を出してきます。その提案を親は支えてあげて、いっしょに歩んでいってもらいたいですね。
その道はおそらく紆余曲折あり、大変なこともありますが、子どもが自分で決めたことなので、しっかり進んでいけると思います。
■「学校に行く」「行かない」どちらが正しい?
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――学校に行かせる、行かせない、どちらが正しいのでしょうか。
ついこの2択で考えてしまいますが、じつは選択肢はいろいろあります。そして、子どもたちが自分で決めることが大切です。不登校の子も、中学校卒業と同時に、85%の子が高校に行くのです。
私が知っている子で、小学校、中学校とずっと不登校だったけれど、フリースクールでできた友達が高校に行くから自分も行くと決めた子がいます。そんな単純な理由だけで、学校に戻ろうとする子もいます。
ですから、学校に行く、行かないということにはそこまでこだわる必要はないのではないかと思っています。
――文部科学省でも学校復帰にのみこだわらない対応の必要性にもとづいて、これまでの方針を見直す動きがありますね。
そうなんです、教育支援センターやフリースクールへの通所は、これまであくまで学校復帰を目的としたものだとされてきました。それにより、学校の先生や親は子どもたちを学校に何とか戻そうとする、そして学校以外の受け入れ先は見つけにくいという不登校の子たちにとってつらい状況が続いてきたのです。
これを見直して、学校復帰のみにこだわらない不登校対応を行っていこうという方針が決まったのは、とても重要なことです。学校に行かせないという選択肢がもっと普通のものとなっていけば、楽になる子どもたちもいるのではないかと思っています。
――とくに夏休み明けは、子どもたちが学校へ行きづらくなる時期です。子どもが「学校に行きたくない」と言ったら、どのようにすればいいですか。
これまでにお話したとおり、まずは心配して聞いてあげる。そして緊急性が高いと思ったら、思い切ってその日は休ませて、子どもといっしょにいてあげてもいいと思います。夏休み明けは、統計的にも突出して18歳以下の子が自殺する可能性が高く、子どもが追い込まれる危険な日だと言えるので。
不登校になる前には、夏休みの宿題にも手がつかないということが多いそうです。言いづらいとは思いますが、親が「もういいんじゃない」と言ってあげてもいいのではないかと思うんです。
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そして、どうしても苦しそうだったら、先生に連絡して相談するのもひとつです。親はできるだけ子どもを追い込まないであげてほしいと考えています。
■担任よりも適した親が相談できる場所がある
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――子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、親が相談できる場所はありますか?
担任の先生に相談する親が多いのですが、不登校の子に対応した経験が少ないことも多く、あまりおすすめとは言えません。
不登校については、フリースクールに聞くのが一番いいと思います。不登校の子どもたちをたくさん見てきた経験をもとに、相談に乗ってくれるはずです。
また、不登校の子の親が集まる場に行くと、客観的に自らの状況が整理できますよ。あとは、信頼できる医師やカウンセラーに相談するのもいいと思います。
――親たちに伝えたいことはありますか。
不登校になることに対して、不安を感じている親も多いと思います。そして、実際になってしまって困っている人もいるでしょう。不登校は、子どもが弱い、怠けているなどと言われがちですが、そうではないのです。
説明できなくても、本人にとっては学校に行けない理由があり、どうしても自分にとって曲げられない大切なことであります。
不登校になると、本人も心に傷がつくが、それが癒えていく過程でたくさんのことを学びます。不登校は子どもの成長過程のひとつでもあるのです。その日々もたった一度きりのものなので、親と子どもで有意義に過ごしていってもらいたいと思っています。
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1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からは創刊号から関わってきた『不登校新聞』のスタッフ。2006年から『不登校新聞』編集長。これまで、不登校の子どもや若者、親など300名以上に取材を行ってきた。
(高村由佳)
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