【医師監修】熱中症、喘息、周期性嘔吐症…運動会でおこりやすいトラブル<パパ小児科医の子ども健康事典 第2話>
Woman.excite / 2018年8月27日 12時0分
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前回は帰省中に起こりやすい健康トラブルについてお話しましたが、イベントなどの非日常的な時は健康トラブルが起きやすいものです。今回は運動会をテーマにお話します。春に運動会をする地域もありますが、まだ一定の地域では秋に運動会があるようですね。
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この時期は、運動会シーズンならではの受診をみかけます。連日の練習で疲れていたり、当日少ししんどくても無理をして運動会に行き体調が優れなくなる子どもたちがいます。では、どんなことに気を付けていけばいいでしょうか。
■「熱中症」は日々の疲れがより症状を進行させるので要注意
ピークは過ぎたものの、まだまだ暑く熱中症には注意が必要です。連日の練習で疲れもたまっているため、より熱中症になりやすい状況と言えるでしょう。体調が優れなければ練習を休んだり、本番でも休憩をとるという判断が大切です。運動会に行く前や途中の休憩時間にはしっかり水分補給をしましょう。
■「食中毒」は炎天下の競技中にどんどん菌が増殖
運動会での食中毒はしばしばみかけますが、中でも特に多いのがおにぎり。素手で握ったおにぎりには、黄色ブドウ球菌という菌が付着しています。
運動会当日の朝作ったおにぎりに付着した黄色ブドウ球菌は、競技をしている最中にどんどん増殖して毒素(エンテロトキシン)を作ります。この毒素を口にすることで、数時間後に腹痛や下痢、嘔吐といった症状をおこします。
対処法は菌をつけない、増やさないこと。直接素手でおにぎりを握らず、ラップや手袋を用いて握ること、涼しいところに保管することです。もちろん、そのほかお肉や卵による食中毒にも注意が必要なため、調理前の手洗いや食材をしっかり加熱することも大切であることは言うまでもありません。
■「擦り傷」はほったらかしにせず、化膿に注意
転倒による捻挫や骨折などもありますが、ちょっとした傷はそれ以上に多いもの。少し転んだくらいではそのまま競技を続けるかもしれませんが、運動場には土や砂があり決して綺麗ではないので、その後患部が化膿してくることはしばしばみかけます。怪我をしたら、すぐきれいに洗って大人に見てもらうように教えておきましょう。
■「喘息」は運動により引き起こされることも
気管支喘息はダニや動物の毛、運動場の砂埃などが引き金になるほか、運動そのものがきっかけになることがあります。
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運動誘発喘息といい、運動後に激しいせき込みや呼吸困難感があるときは運動によって引き起こされている喘息の可能性もあります。
これは練習の時点ですでにその徴候は出ています。走ったあとに咳き込んだりするようであれば、医師に相談しましょう。喘息の治療をすることで、せき込みがなくなるほか、運動のパフォーマンスもあがり「走ってもしんどくない」「こんなに早く走れると思ってなかった」と驚かれることがあります。子ども自身が運動は苦手と思っていても、実は喘息が関係していたケースがあります。
■「周期性嘔吐症」(自家中毒)は心身への負荷が原因に
聞き慣れない病名かもしれませんが、子どもによく生じるもので、周期性嘔吐症という病気があります。繰り返しの嘔吐が突然始まり顔色不良、倦怠感を伴います。いわゆる感染性胃腸炎による嘔吐とは異なるもので、体や心にストレス負荷がかかった時に起こりやすいです。
つまり風邪や疲れなど体調不良の時や運動会や発表会で不安や緊張があるとき、逆に遠足前でワクワクして興奮していても起こりやすいのです。
これまで発表会などの緊張する状況で嘔吐が見られた子には、同様のことが起こるかもしれません。治療は繰り返す嘔吐による脱水が心配されますので、点滴をすることが多いです(軽症の場合点滴しないこともあります)。
点滴をすると比較的早くケロッと元気になるのが特徴で、急にしんどくなる反面良くなるのも早いのです。疲れていたり、食事が十分にとれなかったりしていると起こりやすいので、当日まで体調を十分に整えてあげてください。
※嘔吐にはさまざまな原因がありますので、まずは医療機関で診断を受けてください。
運動会時期の受診では「明日運動会に行けますか?」「6年生最後の運動会なのでどうしても行かせてあげたいんです」など切実な訴えがあり、苦しい判断を迫られるときもあります。
何か起きてからでは遅いですから、本当にしんどければ本番であっても休ませる勇気が必要ですし、当日元気に行けるよう、疲れているときは練習を休むことも大事だと子ども達にも教えてあげてください。
安全を確保して、子どもたちにとっても、保護者にとっても運動会がいい思い出になりますように。
(パパ小児科医)
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