赤ちゃんの離乳食「今日がダメでも明日がある!」1週間単位でイライラ解消【ママ管理栄養士が解決「離乳食のお悩みあるある」 第2回】
Woman.excite / 2018年9月27日 7時0分
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生後5、6カ月頃から始まる、離乳食。月齢が進むにつれて食べられる食材や量が増え、食のバリエーションも広がっていきますよね。でも同時に「必要な栄養を与えられているのだろうか」と悩むママも多くなってくるようです。
そこで今回は「バランスのとれた離乳食期の食事」はどんな栄養素を意識すればいいのか、不足しがちな栄養素はなにかについて、小児栄養学の専門家・上田玲子先生にお話をうかがってきました。
管理栄養士
上田玲子先生
帝京科学大学こども学部幼児保育学科教授・学科長。小児栄養学、母性栄養学、栄養教育学、公衆栄養学などさまざまな栄養に関する学問を学び、栄養コーチングの手法を開発。食を通して子どもの幸せに関わりたいと活動している。
■赤ちゃんの離乳食「栄養バランスの整った食事とは?」
――息子の離乳食では、食材を増やしたり変えたりするタイミングがわからなくて、離乳食スタートから1カ月間ずっとおかゆばかりをあげていました。野菜など新しい食材はどのタイミングであげていけばよかったのでしょうか?
上田玲子先生(以下、上田先生):離乳食がスタートするのって大体、生後6カ月くらいですよね。その最初の1週間くらいはもちろんおかゆで大丈夫。
おかゆに慣れてきたな~と思ったら次の1週間はちょっと野菜を足してみるといいですね。そして、また1週間くらいして野菜にも慣れてきたと思ったら、今度はお豆腐を入れてみる。
そんな感じで食べられる食材を少しずつ増やしていくといいでしょう。
――慣れれば1週間くらいでお野菜やお豆腐などを足していって良かったんですね…! 1つの食材に慣れさせるためには1カ月くらい期間をあけたほうがいいのかと思っていました。
上田先生:そんなことはないんですね。様子を見ながらであれば、1週間ごとに新しい食材にトライして問題ないですよ。それで7カ月以降になってからは、栄養バランスを意識しはじめるといいと思いますね。
――栄養バランスですね…。よく「栄養バランスの整った食事」って聞くんですが、離乳食の場合、具体的にはどんな栄養素を含んだもののことをさしているのでしょうか?
上田先生:そうですね。これは大きく分けて3つあります。1つめは、パンやごはんのようなエネルギー源となる炭水化物。これは体と脳を動かしてくれます。
2つめは野菜やきのこ、果物といったビタミン・ミネラル源。これは体の調子を整えてくれます。
そして3つめは、大豆やお肉、お魚、卵などのたんぱく質源。これは体をつくる材料になってくれます。
――離乳食が始まったばかりの頃のおかゆは、エネルギー源の炭水化物。そこからビタミン・ミネラル源である野菜を少しずつ足していって、そのあとでお豆腐などのたんぱく質源を足していく…。少しずつ3つの栄養素がそろうようにしていけばいいんですね!
上田先生:そうです。栄養バランスのことを考えたら、この3つを思い出せばいい。とてもシンプルなんですね。7カ月以降の離乳食をつくるときも、この3つの栄養素が入っているかを確認してみましょう。
■離乳食の栄養バランス「1日ではなく1週間単位」で考える
――でも先生…。毎日バランスの整った食事をつくるのがプレッシャーになるときもありそうなんですが(涙)。
上田先生:もちろんそうですよね。私自身もそうでした。疲れたからおっぱいやミルクだけですませちゃう日だってありますよね。
でも、それでも大丈夫。栄養は1日単位ではなく、1週間というスパンで考えればいいんですよ。
今日は、バランスの整った食事をつくるのが面倒で、ごはんと納豆だけだった。だけど、次の日は野菜たっぷりのスープをつくった。そうやって調整していければ問題ありません。1週間という単位で見たときに、栄養が整っていればいいんですよ。
――本当ですか? 1週間単位で考えればいいと言われると、だいぶプレッシャーがやわらぎます。つくれなかったときも罪悪感に必要以上にとらわれずにすみそうです!
上田先生:そう。1日のなかの食事だけで落ち込む必要なんかないんですよ。1週間単位で考えて、体重が順調に増えていっていれば大丈夫なんですね。
■赤ちゃんの離乳食「月齢別、不足しがちな栄養素」
――月齢別に栄養面で注意したほうがいいことなどはありますか?
上田先生:そうですね。生後5~6カ月頃、赤ちゃんは母乳やミルクから8~9割、離乳食からは1~2割の栄養をもらっています。この時期はおかゆがメインの離乳食となります。
7~8カ月に入ってからは、先ほど説明したようにエネルギー源、ミネラル・ビタミン源、たんぱく質源といった3つの栄養素がバランスよくとれる食事にシフトしていく必要がありますね。そして9~11カ月目から意識してほしいのが、カルシウム不足と鉄分不足です。
――カルシウム不足と鉄分不足…。
上田先生:そうです。まずカルシウム不足について説明しますね。カルシウムは骨や歯の材料になったり、神経や筋肉の働きを調整したりと成長に欠かせないものです。
母乳やミルクの時期は不足しませんが、1歳過ぎから幼児期に不足しやすいとされているので、食事から積極的にとるように意識していきましょう。
手軽に摂取できる方法としては、1~2歳であれば牛乳を1日3~400ml、牛乳が苦手な場合は、スライスチーズやヨーグルトなどの乳製品をとりいれるといいですね。
――カルシウム不足には乳製品。なんとなくイメージがわきやすいですね。牛乳が苦手な子はチーズですね。
上田先生:そうです。それからもうひとつ注意してほしいのが鉄分不足。鉄分は、不足すると病気にかかりやすくなってしまう傾向があります。
鉄分不足になっているかどうかは判断が難しいのですが、症状のひとつとして、発育・発達の遅れがあります。たいてい保育士さんなどが「ちょっと発達がおそいかな」と気づき、そこから貧血検査をして鉄分不足が判明するケースが多いようです。
この場合、医師の指示により食事療法や鉄剤の服用等により、改善していくことになります。
――そうなんですね…。発育・発達の遅れを感じたとしても「この子の個性だろうから」と見逃してしまうこともありそうですね。
上田先生:鉄分不足は、鉄剤をとっていれば1カ月程度で改善されます。ただし、鉄分不足の状態がどれくらいの期間続いていたかによって、発育・発達に影響があるようです。
例えば、貧血を発症して1カ月で鉄分不足が判明した場合と、発症して6カ月たってから判明した場合では、後者のほうが発育・発達への影響が大きいのです。特に、2歳未満の貧血はその発見が遅れるほど、成長後も心身に大きな影響を及ぼす可能性があるといわれています。
――早くに見つけて、早くに対処することが大切なんですね…
上田先生:そうなんです。だから生後5~6カ月の頃は、小さな鉄鍋で小松菜やほうれん草などの青菜をやわらかく煮たり、7~8カ月に入ったら赤身の肉や魚、9~11カ月からはレバーやかきなど、鉄分を豊富に含む食材を離乳食に活用して、常に補給することを習慣づけていきましょう。
こうした食材をとり入れていくことで、鉄分不足は予防できます。不足しがちな栄養素を知っておくのと知らないのでは大きく違いますからね。
子どもの離乳食は、エネルギー源、ビタミン・ミネラル源、たんぱく質源の3つをとり入れることを意識する、不足しがちな栄養素があることに注意するなどのお話をうかがったことで、シンプルながら大切な栄養素について知ることができました。
上田先生のアドバイスを元に、正しい知識を持つことで栄養面から子どもの成長をサポートしていきたいですね。
最終回となる次回は、栄養や量が足りているかどうかのチェック方法や、子どもが食べない理由は実は「かむ力」にあったなど、離乳食に疑問や不安をもつママに役立つお話を引き続き、ご紹介していきましょう。
『マンガでわかる離乳食のお悩み解決BOOK』(主婦の友社)
監修/上田 玲子 イラスト/あらい ぴろよ 1,296円(税込)
子育て中に遭遇する離乳食の「どうしたらいいの?」にわかりやすくマンガで答える一冊。乳幼児栄養についての第一人者である上田玲子先生が監修し、ゆるかわ、ポップ系を得意とするイラストレーター・あらい ぴろよさんのイラストでママたちの素朴な疑問を解決してくれます。マニュアル通りにはいかない離乳食のリアルなモヤモヤ、不安にもあたたかく寄り添う、悩めるママの離乳食解決本。
(すだ あゆみ)
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