赤ちゃん返り「上の子はどう感じている?」不安を取り除く2つの方法【「ママ、あのね」心理相談のプロに聞く“子どもの気持ち、ママの気持ち” 第1回】
Woman.excite / 2018年10月1日 21時0分
©Monet- stock.adobe.com
まもなく2人目、3人目…の出産を控えるママも、これから考えようと思っているママも、気になるのはすでに生まれている1人目、2人目…の子の気持ち。
きょうだいが生まれると、上の子が赤ちゃん返りするとよく聞きますが、実際にはどんな気持ちでいるのでしょうか? また、ママは上の子のケアをどうすればいいのでしょうか? これまで数多くの育児や心理相談をうけ、育児支援をしてきた臨床心理士の帆足暁子先生にお話をうかがいました。
臨床心理士
帆足暁子(ほあし・あきこ)先生
ほあしこどもクリニック副院長。保育士資格や幼稚園教諭1級免許を持つ臨床心理士。東京家政大学非常勤講師。公益財団法人母子衛生研究会インターネット相談室相談員。クリニックで育児やこころの相談に応じている一方で、保育者の養成にも携わっている。
■赤ちゃん返り「子どもの○○の気持ちの表れ」
――初めてのきょうだいができると、上の子はどんな気持ちになるのでしょうか?
帆足暁子先生(以下、帆足先生): おそらくとても不思議な気持ちだと思います。上の子が3歳前後のときに下の子が生まれるケースが多いようですが、少なくとも「自分と赤ちゃんの関係=きょうだい」ということはまだよくわからない年頃ですね。
ただ、まわりの大人が「良かったね」などとお祝いしてくれる雰囲気の中にいるうちに、なんとなく良いことなんだという気持ちになります。でも、ママは目の前にいる赤ちゃんのお世話ばかりしていて、いつも抱っこしている…。次第に不安になってきて、「ママ、わたしのお世話もして!」と「赤ちゃん=ライバル」になって赤ちゃん返りをするようになります。
赤ちゃん返りをするのは「ママが大好き!」という気持ちの表れでもあります。でも、実際にはしない子もいますし、ママへの関心が薄いケースもあります。
――赤ちゃん返りは愛情表現なんですね。その一方で、子どもによっては、赤ちゃんのお世話をしたがるケースもあるようですね。
帆足先生:確かにありますよね。でも、「お姉ちゃん(お兄ちゃん)だから赤ちゃんのお世話をしなくてはいけない」という自分の役割を認識して行動しているわけではないんです。そうやって考えて行動できるようになるのは、せいぜい小学生くらいから。
3歳頃の子どもだと、ママの妊娠中から「赤ちゃんが生まれたら、お姉ちゃんになるんだから、お世話してあげてね」と教えられていたり、ままごとの「ごっこ遊び」の延長線で、「「赤ちゃん(人形)のお世話したい!」と言っている場合もあるのだと思います。本当に下の子どもの世話をしたがるようになるのは、年長の頃からでしょうか。
■赤ちゃん返りを防ぐには1:出産前は「上の子をたくさんハグ」
©maroke- stock.adobe.com
――あくまでも「遊びの延長線上にお世話があるのですね。ところで、年齢差によって上の子の心境はやはり変わってくるものなのでしょうか?
帆足先生:赤ちゃんとの年齢差が要因となって心境が変わるということはありません。それよりも、これまでに赤ちゃんと接した経験の有無や、赤ちゃんへの興味の有無が上の子どもの心境に影響を与えると思います。もちろん、ママとの関係や上の子の心理的な発達によっても変わってきます。
例えば、上の子が1歳半~2歳くらいだと、「母子分離不安」の時期と重なります。ちょうど上の子がママと離れることに不安を感じるので、赤ちゃんの存在を受け入れるのが大変になり、赤ちゃん返りのような反応が出やすい傾向にありますね。
――なるほど。年齢差を離さないで生もうと思っている、あるいは妊娠中のママにはなかなかつらいお言葉ですが…。
帆足先生:子どもの発達のことだけを考えると大変に思えるかもしれないですね。でも、どれくらいの年齢差で生まれてくるかは自分自身で決められないこと。家族にとって良い時期に赤ちゃんが生まれてくる。その偶然性を大切に思う気持ちがあれば、どのようなことでも前向きにとらえていくことができると思います。
そこで一番大切になってくるのが、上の子に「ママに愛されている」という実感があること。その安心感があれば、子どもは安定していられます。
一方で、ママに甘えられない、怒られてばかりという状態が続いている場合は、上の子が「自分は愛されていない」と考えて、不安になり、赤ちゃんを受け入れにくくなります。
下の子の誕生は、上の子との関係を見直す良い機会でもありますね。今後のためにも、その「気づき」を大切にしていけるといいですね。
妊娠中のママは自分の体が思うように動かないのに、上の子のお世話に家事となにかと大変だと思います。妊娠中はおなかの赤ちゃんを守る気持ちになりやすく、無意識に上の子どもとの間に距離をつくってしまいがちです。
だからこそ、今のうちに、無理のない範囲で、上の子をたくさんハグして「愛されている実感」をつくってあげてくださいね。
■赤ちゃん返りを防ぐには2:出産後は「2人だけの時間」「お姉さん(お兄さん)扱い」
――2人目が生まれてもそうではなくても、子どもとの関係をしっかりと作っていくことが大切ですね。最後に、まさに2人目が生まれて、赤ちゃんのお世話もあって「時間がない!」「上の子が赤ちゃん返りして大変」というママにアドバイスをお願いします。
帆足先生:大事なことは、2つあります。ひとつは、上の子と2人だけの楽しい時間をつくること。下の子が寝ている間に上の子をしっかりハグしたり、絵本を読んであげたり。毎日絵本を読む時間はなくても、1日2回ハグするくらいならできますよね。朝起きた時と寝る前に「〇〇ちゃん(〇〇くん)が大好き」と伝えながらハグすることを習慣にして、上の子を安心させてあげましょう。
もうひとつは、上の子を「お姉さん(お兄さん)扱い」すること。年齢にもよりますが、ママがトイレに行く間に赤ちゃんを見ていてもらったり、おむつ替えを手伝ってもらったりするなど、簡単なお世話を頼んでみましょう。自分が赤ちゃんとは違って、ママのお手伝いをする立場だと分かれば、心にゆとりができます。
でも、子どもも大人と同じように、疲れたり、イヤなことがあって心に余裕がなかったりするときもあります。あくまでも、子どもが楽しくお世話を手伝ってくれる時だけ、お願いすることにしましょう。
そして、上の子が甘えてきたら、ママはしっかり受け止めてあげてください。そうすれば、ママの愛情を赤ちゃんに取られるといった不安がやわらぎ、安心して赤ちゃんとの生活を楽しんでくれるようになるでしょう。
(コバヤシカヨ)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【川崎乳児殺人遺棄事件】「事件は自分の責任が大きい」…妊娠を誰にも相談せず1人で出産した女性の「元交際相手」の男性が語った後悔と決意
日テレNEWS NNN / 2024年8月3日 10時43分
-
妊娠3カ月で子宮が破裂、実の妹が「私が産んであげるから」と…当事者が明かした、“代理母出産”に踏み切った理由
文春オンライン / 2024年8月2日 11時0分
-
45歳で初めての出産…あまりにも壮絶だった!「体力温存のために無痛分娩を選んだのに…」|YouTuber・あいり
女子SPA! / 2024年7月25日 8時46分
-
もう関わりたくない…「絶対にママ友になりたくない」女性の特徴6選
ananweb / 2024年7月13日 20時30分
-
「発表が嫌」「友達が少ない」内向的な子にNGな言葉 「内向的な子」の自信を失わせるときもある
東洋経済オンライン / 2024年7月13日 19時0分
ランキング
-
1観光客ら梅干しで熱中症防ごう 世界遺産20年記念、和歌山・田辺の4観光案内所で無料配布
産経ニュース / 2024年8月5日 19時25分
-
2「長生きしたくない」高齢者が日本に多い"なぜ" 「ピンピンコロリ」で逝きたいが、女性は難しい?
東洋経済オンライン / 2024年8月5日 20時0分
-
3ファミマ「40%増量作戦」今年も実施 ファミチキ、弁当、サンドイッチが“値段そのまま” 「たべる牧場ミルク」初登場
オトナンサー / 2024年8月5日 23時10分
-
4面倒なことはやらない!?「貯蓄上手な人」の節約のやり方
オールアバウト / 2024年8月5日 19時30分
-
5【ダイソー】テレビ番組で筆者が紹介! コスパ抜群な「キッチングッズ」ベスト5
オールアバウト / 2024年8月5日 20時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください