妊娠、不妊、性犯罪…親になって思う、学校で教えてほしかった性教育【パパママの本音調査】 Vol.319
Woman.excite / 2019年2月10日 12時0分
妊娠、不妊、性犯罪…親になって思う、学校で教えてほしかった性教育
イラスト:グラハム子
子どもが成長する中で、自分の性別を認識し、異性との違いを把握するなど、「性」への目覚めを実感する人もいるでしょう。そうなってくると、悩ましいのが「性教育」の方法。そもそも必要なのか、先生か親どちらがするべきなのか、どこまで教えるべきなのか、難しいところですよね。
今回は、パパやママ自身が子どものころに教えてほしかった性教育について聞いたアンケート結果をもとに、考えてみたいと思います。
■「教えてほしかった性教育」がある人は半数以上
アンケートでは、性教育について子どものときに教えてほしかったことがあるかどうか答えてもらいました。
ある 56.8%
ない 38.9%
その他 4.3%
その結果、「ある」と答えた人が56.8%となり、半数以上の人は子どものころに受けた性教育に、何らかの物足りなさを感じているようです。一方で、「ない」と答えた人は38.9%と4割を切る結果になりました。
■「妊娠、出産、不妊」正しい知識を教えてほしい
イラスト:グラハム子
それでは、アンケートに「ある」と答えた親たちのコメントについて、具体的に知りたかった性教育の内容別に見ていきましょう。
▼詳しい避妊方法や性感染症の予防方法について
知識がなかったせいで、心や体が傷つく経験をしてしまったママも実際にいるようです。ほかにも「無計画で授かり婚をして、その後離婚してしまった」という声も寄せられていました。
こうした経験から、「避妊の方法についてしっかりと教えてほしかった」と考えるのも無理はないのかもしれません。
▼不妊について
不妊治療を経験したママたちからは、女性の体の機能についてきちんと教えてもらいたかったという意見が集まりました。
「男性の不妊についても知りたかった」という声もあり、不妊にまつわるさまざま知識について教えておいてほしかったという思いが大人になってから生まれているようです。
■子どもが性犯罪に巻き込まれないようにするために
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子どもが性暴力の被害者となるニュースが流れるたびに、怖い思いをしている親も多いことでしょう。被害者、加害者になるために、性教育でできることはあるのではないかと考えるパパママもいるようです。
▼性交渉による精神的・身体的な苦痛について
性交渉による身体的・精神的な負担について教えてもらいたいという意見も多く見られました。とくに男の子に、性交渉によって女性は心と体が傷つきやすいものであること、女性を大切に扱うことを伝えてほしいという声は多いようです。
また最近は、一番最初にインターネットで過激な動画や画像に触れてしまう場合もあり、その結果それが正しいと思いこんでしまうことへの心配の声もありました。
筆者も2人の男の子のママですが、女性を大切にする心は小さいうちから少しずつ養っていきたいなと感じているところです。
▼性犯罪について
性犯罪は女の子に限らず、男の子も被害にあう可能性があります。また、時には加害者にもなりうるため、子どものときからの教育が必要だと感じるパパやママから意見が寄せられていました。
子どもは知識がなく、それが犯罪だとわからないうちに巻き込まれてしまうこともあるため、問題意識を持つ親は少なくないようですね。
■性教育、その裏に隠された思いとは
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一方、教えてもらいたかったことは「ない」と答えた人も約4割いましたが、その人たちはどのような思いを抱えているのでしょうか。
性教育への思いは本当にさまざまで、教育をされること自体が本人の苦痛につながることもあるようですね。ほかには、「時が経てば自然とわかった」という意見も寄せられていました。
筆者は、子どものときに親から性教育を受けた記憶はなく、ドラマのラブシーンになると気まずくなるような家庭で育ちました。しかし、「教えておいてほしかった」と思うことは不思議とありません。私自身はあのとき、性教育については話したくなかったと思うとともに、それが自分の家族の形だったのだと納得しています。
おそらく、ここで「ない」と答えたパパやママの多くも同じような思いでいるのかもしれませんね。
■学校での性教育の現状とその課題
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そもそも、現在学校ではどのように性教育が行われているのでしょうか。
中学生の保健体育の学習指導要領によると、中学1年生は「心身の機能の発達と心の健康」について学びます。この学習では、次のように明記されています。
つまり、妊娠に至る過程については取りあつかわないことが明記されているのです。
また、3年生では「健康な生活と疾病の予防」について学ぶのですが、エイズなど性感染症の予防については次のように記載されています。
その主な感染経路は性的接触であることから、感染を予防するには性的接触をしないこと、コンドームを使うことなどが有効であることにも触れるようにする
出典:中学校学習指導要領(平成29年告示)解説「保険体育編」
ただし、「性的接触」の具体的な内容や、コンドームの使い方については言及されておらず、細かい指導内容は現場に任されている現状です。
2016年度の未成年者の人工妊娠中絶件数は14,666件で、1,000人あたりに5人の女子が、望まない妊娠による中絶を経験していることがわかっています。さまざまな要因があるのでしょうが、適切な性教育を行うことの大切さを実感します。どの親にとっても性教育については、他人事とは言えない現状があるようです。
■子どもにはどんな性教育を受けてほしい?
親たちは自分の経験をもとに、子どもたちにどのような性教育をしてほしいと考えているのでしょうか。いくつか、パパやママたちの意見をご紹介したいと思います。
理想の性教育については、多種多様な考えがあるようです。どの意見が正しいという正解はわかりませんが、性教育について、親として子どもにどう向き合うか考えるうえで、ヒントになるかもしれませんね。
ここまで、性教育について、パパやママたちの思いを探ってきました。「教えてほしかったことがある」と「ない」とで意見が分かれ、どのような性教育が理想かという答えもさまざまでした。このような「多様性」こそが、性教育のあるべき姿なのかもしれません。
また今回のアンケートではあまり触れられませんでしたが、「性」としての教育は、LGBTといったセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)も今後議論が進んでくることでしょう。
そもそも、「性」についての認識は人それぞれ細かに異なっています。そうした多様性を認めたうえで、子どもへの性教育の方法についても考えてみるとスムーズに進められるかもしれませんね。
また家庭で性教育をする場合での最大のメリットは、子どもの特性を見定めて最適な時期を選ぶことができることかもしれません。なかには性教育に対して拒否反応を持つ子どももいるかと思うので、そういった子どもの場合にはより慎重さが求められるでしょう。
家族でどのように性教育と向き合うか。まずは、日ごろから家族間のコミュニケーションを適度にとるなどして、相手の気持ちを考えることを教えることからなのかもしれません。性別や年齢にかかわらず、相手を思いやって行動することの大切さを子どもたちにも伝えていきたいところですね。
© miya227 - stock.adobe.com
Q.性教育について、子どものときに教えて欲しかったことはありますか?
アンケート回答数:4268件
ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
(高村由佳)
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