他人の子を注意するのは怖い。でもその子を危険にさらす理由にもならない【おててつないで 〜なかよし兄妹の癒され日記〜 第19話】
Woman.excite / 2019年3月19日 12時0分
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おててつないで 〜なかよし兄妹の癒され日記〜/鈴木し乃
育児は、年齢や性格、子どもひとりひとりによって対応はそれぞれ。
つねに「はじめて!」と感じる手探りの連続です。自分の子どもたちのことだけでいっぱいいっぱいなのに、年齢の違う他人の子など、なおさら「未知の生物も同然」と感じていました。
■「よそはよそ、うちはうち」は親の逃げだった!?
そんなわけでじつは私、長男がまだ幼稚園に入る前、公園や児童館、その他の見知らぬ親子が集まるキッズスペースが大の苦手でした。そこにいる大人たちは「子どもと一緒というだけでこの場に集まる赤の他人」。
なのに子どもの世話をしつつ、ときに大人どうしの交流を必要とするそこはまさに高度な社交場!(個人の感想です)立ち振る舞いがわからない…。
しかしそんな親の人見知りなどお構いなしに、子どもたちはどんどんアクティブになっていきます。楽しく過ごしてはいても、親としてはヒヤヒヤするようなこともしばしば…。
そこで私がとった方法は、まわりの子どもたちにも注意喚起するニュアンスで「息子を介して」声をかけるというもの。
おもちゃを投げて危なそうな子どもがいると、自分の子どもに向かって「おもちゃは投げないようにしようね」とか、小さい赤ちゃんがいるところで走っている子がいると、自分の子には「小さい子がいるから危ないよ」と、あえて伝えていたのです。
しかしこれはすぐ破綻しました。
息子、「同じことしてるのにぼくばっかり怒られる」
そりゃそうなるよね…ごめん!
「よそはよそ、うちはうち」(自分の子には、自分で声をかけてね)というスタンスのつもりでしたが、これは私が「他人に自分の子が叱られた! 何なのあの人!?」と思われたくない「私に対する他人の反応」からの逃げでしかないと気がつきました。
自分の子どもに対しても、まわりの子どもに対しても、とても不誠実であったと…。しかし、そうやって私がモタモタとしている間にも、子どもたちは子どもどうしの交流を広げ、遊び方はどんどんダイナミックになっていきます。
■危険な行為を目にしてもとっさに動けない…
「危機回避はどこまで先回りすべき?」
「子どもどうしのことにどの程度介入すべき?」
「それはどのタイミングで?」
「相手の親はどう出る?」
「むしろ相手の親、動いて!」
と、そのたびにどうしたらいいかわからず戸惑い、ただ見守ることしかできず、モヤモヤするなんてこともしばしばありました。
ささいなことなら自分の子にはあとでフォローをすればすむかもしれませんが、もっと危険があったり周囲に迷惑がかかったりする場面に遭遇することもあるかもしれない…。
そんなとき、もし、ことがおこってからでは「あとでフォローする」ではすまされないだろう…。
あきらかに相手に危険な行為があってもその瞬間は様子を見ようとしてしまい、動けない。
「あの子は今そういう時期なんだろう」
「あの子の親が注意するだろう」
「え? 放置?」
「今すぐ駆け寄るべき?」
「待って待って、息子は? どんな顔してる? 様子を見よう…」
結局何もしていない、何も言えていない、誰にも何も伝わらない。
■知らない子どもに声をかけるべき?
しかし「そんなとき」はある日、突然やってきます。
商業施設のすみにある、クッションで囲われただけの遊具ひとつないキッズスペース。息子と娘を遊ばせていると、そこへほかの親子がやって来た、が…すぐにその親は子どもを残し、買い物に行ってしまった…。
内心「置いていくんかーい!? 何かあったらどうするんだよー! 自分の子は自分でみろよーー!!」と思いましたが、仕方ありません。早く親が戻ることを祈りながら、子どもたちをまとめて見守ります。
最初は遠慮がちに平和に遊んでいた子どもたち…しかし同じくらいの年ごろの子どもどうし、すぐに気分も上がり跳んだり走ったり遊び方が激しくなっていきます。
「小さい子(娘)いるからね~、ジャンプ気をつけて(できればしないでね~)」など、苦肉の策で例の悪手「息子に言っているように見せかけて、よその子にも聞こえるよう注意する」を打っていましたが、それも通用しなくなります。
よその子がキッズスペースを飛び出し、走り回りはじめたのです。リノリウムの床を靴下で走れば当然転びます。場所はエレベーターの脇、利用する他のお客さんと衝突しそうになりました。そして、息子もまねしたくてウズウズしはじめます。
■わが子に見られても恥ずかしくない行動って?
私の頭の中は大混乱です。そしていくつかの考えが頭に浮かびます。
●私があの子を注意して、それをどう感じるかはあの子自身の問題。いやだと感じたら後であの子の親がそれをフォローすれば良いだけのこと。
●おとなとしての私の振る舞いは、(自分の)子どもたちも見ている。
そう思うと、自然と言葉が出てきました。
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知らない子どもを注意して、親から苦情を受けたらそのときはそのとき。間違いや勘違いだったらそのときは、謝れば良い。いまその瞬間にすべきことは、自分の子だろうが他人の子だろうが関係ない。
そしてそんな親の姿も、子どもたちはちゃんと見ている。これもひとつのしつけのあり方なんじゃないかと思いました。(でもやっぱり基本的には「よそはよそ、うちはうち」でいきたいですが、そこはバランスですよね)
(鈴木し乃)
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