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【医師監修】タバコを飲みこんだ! 緊急性の高い誤飲かどうか、判断・注意点・予防法<パパ小児科医の子ども健康事典 第19話>

Woman.excite / 2019年5月23日 15時0分

【医師監修】タバコを飲みこんだ! 緊急性の高い誤飲かどうか、判断・注意点・予防法<パパ小児科医の子ども健康事典 第19話>


イラスト:ぺぷり


10円玉などの硬貨や、小さいおもちゃ…子どもは何でも口に入れて、うっかり飲み込んでしまいます。小児救急外来にも、誤飲した子どもを心配そうに連れてくるパパやママがたくさんいらっしゃいます。

飲みこんだものによって、緊急な処置を要するものか、とりあえず家で様子を見守るのでも問題ないものかなど、対応はさまざま。では、どのようなことに気をつければいいのでしょうか?

■「誤飲したかも!?」まずは焦らず周囲をチェック

子どもが異物を飲みこんだと心配して受診したけれど、実は「飲みこんでいなかった」というケースが少なくありません。

さっきまであった10円玉がなくなっていると、ママやパパは「飲み込んだかも!」と心配になりますよね。でも、レントゲンで撮影しても写らないことは多く、あとから「実はほかの場所でみつかりました…」ということがよくあります。

「飲みこんだかも!?」と思っても、まずはひと呼吸置いて、誤飲したかもしれないものが落ちていないか周囲を探してみましょう。

■注意したい誤飲、3つのケース

子どもが誤って飲み込んでしまうもの(=誤飲)は、コインやおもちゃの小さな部品、ビニール袋などさまざまですが、これらはたいてい消化されず、そのまま数日の間に便として出てきます。

このように「飲みこんでいない」「飲みこんだけど大事にはいたらない」ケースは多いのですが、注意すべきことがいくつかあります。

1.誤飲ではなく誤えんした場合
誤えんとはつまり、飲みこんだものが消化管ではなくて気道に入ってしまった場合です。この時はむせてせきが出たり、ものによっては息がつまって呼吸困難を起こしたりします。

誤えんについての記事はこちらを参照↓

飲みこんだあと、せきが止まらなかったり、ゼロゼロする場合はすぐ受診して、呼吸音やレントゲンなどを確認してもらってください。

2.飲み込んだものがとがっている場合
コインのように丸くてなめらかなものは、消化管を傷つけることなく排便されますが、形状がとがったものは途中で消化管に刺さったり傷つけたりといった可能性もあります。この場合はレントゲンで場所を確認したり、状況によっては除去の処置が必要になることがあります。

ちなみに丸い磁石はなめらかで消化管を傷つける心配はありませんが、複数個飲みこんだ場合は別です。磁石同士がくっついて消化管をはさみこみ組織を傷つける場合があるので、1個だけなのか複数個なのかの区別が大切です。

3.体内で何らかの反応を起こすものを飲みこんだ場合
コインなどそのまま出てくるようなものであればそこまで緊急性は高くありません。しかし、例えばタバコの吸い殻、ボタン電池、洗剤ボールなど体内で何らかの反応を起こすようなものは緊急性が高く早く受診すべきものです。


くわしくは、日本小児科学会のホームページ「子どもの救急」の「誤飲」ページ(http://kodomo-qq.jp/index.php?pname=goin)にも記載されています。

飲みこんだものによって対応がかわるので、自己判断で対応することはせず必ず病院を受診してください。






■子どもの誤飲「緊急性が高く危ないワースト4」

子どもの誤飲事故の中で、最も多いのがタバコで、厚生労働省の調査によると4年連続1位(「2017 年度家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」)となっています。とくに最近では、加熱式タバコのカートリッジの誤飲が増えています。

これまでの紙巻きタバコより小さいサイズのため誤飲しやすく、中には多くのニコチンが含まれているため、嘔吐(おうと)などの症状が出やすくなっています。また、タバコのカートリッジや吸い殻よりも有害なのが、それをひたした水。

灰皿代わりに使った空き缶やペットボトルの水を間違って飲んだ場合、たくさんの吸い殻から多量のニコチンが溶け出しているので大変危険です。自宅ではもちろん、公園などでも誤って口にしてしまわないように十分注意してください(本来、は喫煙者が注意を払うべき問題ですが…)。

一方、ボタン電池は、放電して短時間のうちに消化管に穴を開けるので、緊急性の高いもの(教えて! ドクター 子どもの病気とおうちケア「ボタン電池誤飲が増えてます」)です。

洗剤ボールやトイレの洗浄スタンプなど色鮮やかなものは、子どもが興味を持ちやすく誤飲のリスクが高まります。

同様に、飲み薬の錠剤やカプセルも、子どもにはお菓子に見えてしまうかもしれません。大人の体重をもとに作られたものですから、子どもにとっては数倍量の過剰投与となってしまうため注意しなければなりません。

■誤飲を予防「子どもの成長予測と口の大きさ」

誤飲事故を予防するには、どうすればいいのでしょうか。

「子どもの手の届かないところに保管すること」につきますが、簡単なようで一番難しい問題です。

子どもは発達しますので、ある日突然、立てたり、戸棚を開けたり、イスの上に登れたりするようになります。気をつけていても予期せぬことが起こりますので、常に一歩先の予測をしなければなりません。

おもちゃには対象年齢が記載されていますが、これは子どもの誤飲のリスクも加味した表記になっていますから、年齢にあったおもちゃを選びましょう。上の子におもちゃを買ってあげる時にも、下の子の誤飲リスクを考慮してください。


イラスト:ぺぷり


子どもの誤飲を予防する一つの目安として、日本家族計画協会では「誤飲チェッカー」を作成しています。これは、直径39mm、最大奥行き51mmの大きさで、3歳の子どもの平均的な口腔サイズとほぼ一緒。これに入るかどうかで、乳幼児が飲みこむリスクを判断できます(直径39mmはおよそトイレットペッパーの芯のサイズです)。

もっと簡単な方法として、国民生活センターでは、大人の手でひとさし指と親指で輪を作り、そこを通るものは誤飲の危険性があるという選別方法を提案しています。

個別にあげるときりがありませんが、とくに緊急受診が必要なものは日本小児科学会のホームページ「子どもの救急」の「誤飲」ページ(http://kodomo-qq.jp/index.php?pname=goin)を参考にしてください。

実は、筆者も子どもの頃、ボタンを飲み込んでしまったことがあります。円形のプラスチックでしたので、体内で反応することなく、数日後に便と一緒に出てきて一件落着。しかし、食べ物ではないものが体内にあることに不安を感じた記憶があります。

このように飲みこんでも問題ないこともありますが、いらぬ心配を避けるためにも誤飲はまず予防が大事です。子どもの手の届くところには小さいものや、危険なものを置かないように気をつけてくださいね。



(パパ小児科医)

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