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【医師監修】熱中症「おう吐、ふらつき、痙攣…」重症化しやすい子ども、3つの予防策<パパ小児科医の子ども健康事典 第22話>

Woman.excite / 2019年7月11日 21時0分

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イラスト:ぺぷり


だんだん暑くなってきて熱中症が気になる季節になってきました。救急搬送されて亡くなってしまう人のニュースを目にすることもあり、不安を感じている人は多いと思います。

熱中症にならないために、どのようなことに気をつければ良いでしょうか?

■熱中症とは? 子どもはどうして重症化しやすい?

まず熱中症とはどのようなものでしょうか。

通常、人の体温は一定に保たれており、それによって体の機能は保たれています。風邪などをひくと自らの体の機能で体温を上昇させて、風邪が落ち着くと体温はもとにもどります。

一方、熱中症は外から体が温められて、無理やり体温が上昇してしまう状態です。これにより体温調節のバランスが保てなくなり、臓器が正常に働かなくなってしまうのです。

体が温められると熱くほてり、だるさやはき気が出ます。ふらつきや筋肉の痛み、痙攣(けいれん)なども起こり、症状が進行すると、うとうとして次第に呼びかけにも応じなくなります。最終的には全身の臓器不全をきたして死にいたってしまいます。

子どもは、背が低いため地面からの照り返しで体が温まりやすく、さらに熱がこもり体温が上がりやすいため、熱中症になりやすいのです。

また、自ら症状を訴えることも難しいので、気づかないうちに症状が進行するため、大人がしっかりと様子を見てあげる必要があります。

早期発見、予防のためには何をすれば良いでしょうか?

■熱中症が起こりやすい状況は?「気温、湿度、日照条件」

まずは熱中症が起こりやすい状況を知ることが大切です。

熱中症の起こりやすさを示す指標として、暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)が用いられています。熱中症のなりやすさは単純に気温の高さだけではなく、湿度や日の照り具合など周辺の環境も含めて総合的な判断が必要です。

環境省の『熱中症予防情報サイト』では、地域ごとにその日の暑さ指数を確認することができ、赤(危険)、橙(厳重警戒)、黄(警戒)、水色(注意)、青(ほぼ安全)と色別に危険度を教えてくれます。

例えば、赤であれば外出はなるべく避ける、運動は原則中止とすることが示されています(日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」)。どのような活動をするかの目安として活用してください。

ただし、必ずしも今いる場所をピンポイントで示すものではないことには注意しましょう。例えば、体育館など風通しのよくない場所では熱がこもりやすく、暑さ指数は高くなると考えられます。

また、屋外だけではなく屋内でも熱中症は頻繁に起こっています。屋内だと油断しがちですが、クーラーをしっかり使って涼しい環境で過ごしてください。





■熱中症の予防「日陰、休憩、水分」3つの約束


イラスト:ぺぷり


熱中症が起こりやすい状況を把握したうえで、具体的にはどのように対策すれば良いでしょうか。

重要なことは、「直射日光を避ける」「休憩をとって涼むこと」「水分を摂取する」です。それぞれ、くわしく見ていきましょう。

1 .直射日光を避ける

外出時に帽子は必須ですし、できる限り日陰を通るようにしましょう。ベビーカーのひさしが短い場合は、日よけカバーを使います。

ラッシュガードは紫外線を防ぐには有効ですが、熱中症の予防をするものではないことに注意してください。

2 .休憩をこまめにとる

子どもは、ついつい夢中になって遊びまわり、気づかないうちに症状が進行するということがあります。水分摂取のタイミングで日陰に入るなど、定期的に休みをとりましょう。また休憩を取ることで、何度も状態の確認ができます。

どのくらいの間隔が適切かはっきりは決められませんが、少なくとも20~30分以上連続して活動しないようにしたほうがいいでしょう。

3 .水分を摂取する

子どもは自らのどの渇きを訴えませんから、大人が意識的に飲ませなければなりません。休憩ごとにこまめに水分をとらせましょう(大人の水分摂取もお忘れなく)。

飲ませるものは、水分だけではなくミネラルの入った経口補水液(OS-1など)が最も望ましい飲み物です。ミネラルが不足するとだるさや筋肉の痙攣が起こりやすくなります。

ただ、経口補水液が飲みにくい場合は、同様にミネラルを含むイオン飲料を利用します。どうしてもイオン飲料も苦手という場合は、お茶などの水分に加えて塩気のある食べ物などで代用しましょう。

母乳やミルクにはもともとミネラルが含まれているので、赤ちゃんの場合はこれらが飲めていればOKです。


OS-1やイオン飲料は糖分が含まれ虫歯の問題もありますので、胃腸炎の脱水対策や熱中症の予防の使用に限定し、日常的に飲むことは避けるようにしてください。

■熱中症の治療「もしも、おう吐したら? 」

大人が予防しようとしても、子どもはなかなか思い通りには動いてくれません。帽子も外してしまい、水分も拒否して手を焼くことがあります。

結果、熱中症と思われる症状が出てしまったらどうすれば良いでしょう。

【治療】
まずは日陰の涼しいところ、クーラーが効いたところに寝かせて体が温まるのを防ぎます。

子どもは症状が進むのも早いので、おう吐やうとうとするなど症状がすすむ時は、必ず医療機関を受診してください。多くは脱水をともなっており、水分の点滴が必要となります。

熱中症は誰にでも起こりうるもので、突然日常を脅かします。

しかし、暑さ指数を把握したり、適切な水分の取り方を知ることで未然に防ぐことが可能なものです。周りの大人が知識をつけ、理解できる年齢であれば子どもたちにもよく知ってもらうことが大切です。

この夏、熱中症による悲しい出来事が起こることのないことを強く願っています。



(パパ小児科医)

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