【医師監修】突発性発疹「初めての高熱」症状、治療、予防法<パパ小児科医の子ども健康事典 第24話>
Woman.excite / 2019年8月24日 17時0分
イラスト:ぺぷり
前回の「【医師監修】熱性けいれん「パニックになる前に」正しい対処法2つ」では熱性けいれんについて説明しました。初めての発熱の場合、突発性発疹という病気がきっかけで熱性けいれんを起こすことはしばしばあります。
突発性発疹とは、どのような病気なのでしょうか?
■突発性発疹「発症時期、期間、症状」
突発性発疹は生後6カ月〜2歳くらいの子に発症するもので、「初めての発熱」によくある病気です。
一般的に、生後6カ月頃まではお母さんからもらった免疫で守られていますが、その時期をすぎると発熱を繰り返します。突発性発疹は、その中でも多くの子どもが通る道で、突然の発熱で発症します。
まず39〜40℃くらいの高い熱で発症し、そのほかの症状は乏しいです。鼻水や下痢をともなうこともありますが、ほかの風邪症状はあまりひどくありません。
数日〜5日くらい熱が続き、ストンと熱が下がって、その後、全身に斑点状の発疹が出現します。顔、首、おなか、背中に出ることが多いでしょう。
発疹は広範囲に出現してとても目立ちますが、その見た目に比べ、かゆみはそれほどひどくはなりません。発疹が出てから再度発熱することはなく、発疹も数日間で自然に改善します。
■突発性発疹の原因は? 2〜3割が「隠れ突発性発疹」
突発性発疹は、ヒトヘルペスウイルス6型と7型が原因です。
2種類のウイルスによるものなので、最大2回突発性発疹にかかる可能性があります。みんなが感染する病気ですが、感染しても全員に発熱や発疹が出るわけではありません。
「うちの子、3歳になってもまだかかってないんですけど大丈夫ですか?」としばしば質問を受けますが、2〜3割の子は感染しても症状が出ないため、知らないうちにもうかかっているのでしょう。
おおむね3歳までに全員が何らかの形で感染します。生後6カ月〜1歳くらいに発症する子が多いですが、ときに2歳でも感染はありえます。
■突発性発疹、ほかの病気が疑われる症状は?
イラスト:ぺぷり
前述した通り、生後6カ月〜1歳くらいの子で、鼻水や下痢を伴うもののそれほどひどくなく、発熱がメインの症状として数日間続き、熱が下がるとともに体幹部に斑点状の紅斑が出る、という典型的な経過をたどる子どもを、医師は突発性発疹と判断しています。
厳密にはウイルスの検査をしないとわかりませんが、保険診療の範囲で検査はできませんし、特別な治療法がない病気なので細かくウイルスを特定する検査する意義もありません。
経過から総合的に判断するしかなく、発疹が出ないと突発性発疹かどうかはわかりません。つまり、発熱した時点ではまだ何の病気かわからないので、まずは医師の診察を受けましょう。このまま様子を見ていいかどうか、医師の判断をあおいでください。
特に、子どもが発熱して水分が取れない、顔色が悪い状態の時は、必ず受診が必要です。
突発性発疹でも5日くらい熱が続くことがあり、その場合は、血液検査などでほかの重い病気の可能性を探る必要があるでしょう。ウイルスの感染ですから、発熱の割に血液の炎症反応の変化が少ないのが特徴です。血液検査の結果を参考に、突発性発疹疑いと推測することもあります。
■突発性発疹「感染経路、合併症、治療法」
感染している子どもや、過去にかかったことがある人の唾液から感染します。ほとんどの人が子どもの頃にかかる病気ですから、どこででも感染の機会があるため特別な予防法はありません。
そのため、熱が下がり元気になれば登園も可能です。
合併症としては、最初に触れたように、初めての発熱とともに、熱性けいれんを起こすことがあります。けいれん時の対策については前回の記事「【医師監修】熱性けいれん「パニックになる前に」正しい対処法2つ」を参考にしてください。
また、頻度は少ないですが脳炎や肝炎を起こすこともあります。
突発性発疹は、ウイルスの感染で発症するので、抗生剤は効果がなく自然に治癒するものです。
特別な治療法はないため、水分をとって睡眠をとるというような一般的な対策になります。高い熱で子どもがグズグズする場合は適宜、解熱剤を使用して構いません。突発性発疹であれば、発疹が出た後は再度発熱することはなく、発疹も自然に消えていきます。
経験上、発疹が出た後、子どもがとても不機嫌になることがあり、お世話をする人を悩ませるかもしれません。これも自然に改善しますが、もし水分を取らず不機嫌でしんどそうな場合は受診を考慮してください。
突発性発疹は40℃以上熱が出ることもあり、とても心配になると思います。しかし、みんなが通る道で、症状が改善すれば多くの場合は1度、もしくは2度の経験で終わります(一部の例外を除く)。
突発性発疹では「こんなことが起きるかも」と事前に知っていただくことで、少しでも不安感を解消できたら幸いです。
(パパ小児科医)
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