つまずきやすい子のやる気の引き出し方【“折れない心”の育て方 第2回】
Woman.excite / 2019年10月14日 16時0分
子どもを叱ってばかりのママが子どもを伸ばすには
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「毎日、子どもを叱ってばかり」「こんなに叱ってばかりで、子どもをダメにしちゃう」
内心、そんな心配をしているママは多いはず。コツを知って、「叱るエネルギー」を「子どものレジリエンスを育てる機会」にしてみませんか?
レジリエンスとは、英語で「回復力」や「弾力性」を意味する言葉です。専門に研究されている東京学芸大学教授の藤野博先生にお話しを伺ってきました。
前回の記事「『どうせムリ…』あきらめがちな子どもが陥っている悪循環とは」では、レジリエンスを育てるための第一歩は、生活習慣を整えることだと学びました。今回は、その先のステップ「人を頼って成功する体験」「家庭内で役割を持つ」について考えてみましょう。
<レジリエンスを育てる3つのステップ>
その子の長所や興味がいきるような役割を設定し、子どもに選んでもらう。本人の選択を尊重し、その役割を果たせるように手助けをする
そもそも、ママ自身、人に頼ることが苦手な人も多いかもしれません。そこで、家庭のなかで「人を頼って成功する体験」を、どんなふうに作り出すかを具体的に考えてみます。
■レジリエンスを育てるコツ1
「やらなければいけない」に焦点をおかない
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人には、その人なりのペースがあります。ですから子どもも、その子なりのペースで育っているんです。ここで大切なことは、「やらなければいけないこと」に焦点を合わすのではなく、「この子が、いま、できることは何か?」という子どもありきの目標を設定することです。
たとえば、頭ごなしに「明日の時間割をそろえなさい! 毎日、言わないとできないんだから」ではなく、まずは、その子にとって「言われなくても、時間割りをそろえること」の難易度がどれくらいなのかを、次のようにピラミッドを使って考えてみます。
仮に、「時間割りをそろえること」が、ピラミッドの「2、もう少しでできること・大人のサポートを受けたらできること」だとします。
ここで、「時間割をそろえるとき、ママが声かけをするようにしようか?」と、提案します。もしくは、「ママに時間割をそろえるように、声かけしてねと頼めると素敵だね」と、伝えてみます。つまり、子ども目線にたってToDoをスモールステップに分けてみるのです。
■レジリエンスを育てるコツ2
親に頼ってできたことも認める
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子どもから「声がけをして欲しい」という依頼があって、親が声掛けをして、時間割をそろえられたのなら、「すごいね! できたね」と、伝えます。これでひとつ、「人に頼って成功する」という体験を作ってあげられましたね。
重要なのは、スモールステップを設定して、成功体験を積み重ねることです。ほぼできていることを目標にして練習していくと、その活動がたしかな生活習慣として定着します。
「そんなこと?」と思われるほど、小さな歩みです。けれども、子どもにとってはこれくらいのペースで、着実に成功していくことの方が自信になるのです。
■レジリエンスを育てるコツ3
子どもの苦手克服より「好き」を伸ばす
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次に、「家庭内で役割を持つ」について考えてみましょう。「子どもに家庭内での役割を与えてあげると、子どもは役割を果たして達成感を得られ、レジリエンスも高くなっていきます」(藤野先生)
「少しくらいお手伝いしなさい!」とイライラする気持ちをいったん横においておいて、「どの家事だったら、この子が楽しくできるかな?」という視点を持ってみます。
「子どもの苦手なことを支援し失敗を減らすのも大切ですが、その子の得意なことを理解し、伸ばしていくことも重要です」(藤野先生)
その子の好きな家事を見つけてあげられると良いですね!
●小学校低学年までの役割の例
□新聞を新聞受けからとってくる
□朝、起きたらカーテンを開ける
□食事の前に、テーブルを拭く
□食事が終わったら食器を台所へ運ぶ
□衣服を脱いだら洗濯かごに入れる
出典:『発達障害の子の立ち直り力「レジリエンス」を育てる本』より抜粋
■レジリエンスを育てるコツ4、
「できない」より「できた」を見る
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お手伝いメニュー(選択肢)が決まったら、どれにするかは子どもに選ばせます。
「自分で選んで決めたことで、決断をした責任を持つという経験が自己形成に繋がっていきます」(藤野先生)
子どもが家事ができたら、うれしい気持ちを伝えます。役割を果たせなかった場合も、「新聞をとってくるのは忘れちゃったけれど、カーテンは開けられたね」と、できた部分はきちんと褒めます。
「『できたこと』に焦点をあてて声かけをすると、子どもは『自分のことをちゃんと見ていてくれているんだな、気にかけてくれているんだな』と感じます。メッセージは言葉にして、ちゃんと伝えてあげましょう」(藤野先生)
●叱るではなく、褒めるメッセージの見つけ方
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たとえば、作業が多少粗くても、それは言葉にせず、よくできたところを褒めます。『洗濯物をとりこむのが早くて助かるわ』。また、いつもは5分しか集中できない子が、10分集中して宿題をできたなら、『いつもより5分多く集中できたね』と、そこを褒めます。「早く宿題を全部しちゃいなさい!」ではなく、です。
1)目標設定はスモールステップに。小さな成功体験を積み重ねることが大切
2)お手伝いは選択肢を示し、子供に選ばせる
3)「できたこと」という実績に焦点をあてて褒める
次回は、「そもそも褒めることが苦手な場合はどうしたらいいですか?」。そんなママたちのあるある疑問を考えます。
『発達障害の子の立ち直り力「レジリエンス」を育てる本』
(藤野 博, 日戸 由刈 (監修)/講談社 本体1,300円(税抜き))
「レジリエンス」とは心の回復力であり、立ち直り力のこと。自分の思い通りにいかず、落ちこんだときに、気持ちを切り替え、またがんばろうと思える力をいいます。書籍では道具の管理や家事の手伝いといった、子どもにとって身近なことを例として挙げながら、レジリエンスの育て方やポイントをイラスト図解で徹底解説します。
藤野博先生
東京学芸大学教職大学院教授 博士(教育学) 子どものレジリエンスを育てる研究をしている。専門はコミュニケーション障害学、臨床発達心理学。とくに発達障害の子のコミュニケーションやソーシャルスキルにくわしい。言語聴覚士、臨床発達心理士スーパーバイザー。特別支援教育士スーパーバイザー。
(楢戸ひかる)
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