【医師監修】新生児のしゃっくりが多くて苦しそう! 対処方法は?
Woman.excite / 2019年10月30日 20時0分
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出産したばかりのママにとって育児は、はじめて遭遇することばかり。赤ちゃんの成長とともに、経験したことがないことが毎日のように発生します。気にかけた方が良いのか、それとも気にする必要がないことなのかを見極めることもできず、「どうしよう…」と途方にくれることに。
赤ちゃんのしゃっくりも、「大丈夫かな?」と心配ごとのひとつかもしれません。「ヒクッ、ヒクッ」っと小さな体を震わせて、毎日しゃっくりをくりかえす姿に驚きます。
しゃっくりはどうして起こるのでしょうか? また、止めてあげたほうが良いのでしょうか? そもそも、止める方法はあるのでしょうか? ここでは新生児赤ちゃんのしゃっくりの対処法を紹介します。
赤坂ファミリークリニック院長 伊藤明子 先生
小児科医師、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学イタリア語学科卒業。帝京大学医学部卒業、東京大学医学部附属病院小児科入局。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。同大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。2017年より赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。
著書・共著に『小児科医がすすめる最高の子育て食』など。テレビ番組「林修の今でしょ!講座」などに出演中。二児の母。
■新生児はしゃっくりすることが多いの?
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▼そもそも「しゃっくり」とは
しゃっくりとは、横隔膜のけいれんにより無意識に起こる反応で、医学的にはきつ逆反射といわれています。せきやくしゃみなどと同じで、呼吸器系で無意識で生じる反射運動です。「ヒクッ、ヒクッ」という独特の音は、横隔膜が急に収縮したことで、空気をふいに吸い込んだ時に出る音。
実はこのしゃっくり、新生児赤ちゃんがママのおなかの中で羊水にいた時から、すでに始まっているのです。ママの中には、妊娠中に大きく突き出たおなかが「ヒクッ、ヒクッ」と動くのを感じていた人もいることでしょう。
これは、羊水の中に浮かぶ異物が赤ちゃんの鼻や口に詰まらないように、横隔膜がけいれんを起こし、しゃっくりをして異物を吐き出しているようです。
鼻や口にゴミが詰まってしまったら、いざ生まれた時に呼吸ができなくなってしまいます。それを防ぐための反応という人もいます。つまり、赤ちゃんが自分の命を守るための運動ともいえそうです。
▼赤ちゃんはしゃっくりが多い!?
生まれたばかりの赤ちゃんの体は未熟で、筋肉が十分に発達していません。そのため、呼吸は横隔膜を使った腹式呼吸をしています。しかも、1分間に40~50回の呼吸、120回の脈拍と、大人の2倍も行っています。ですから、体の働きが忙しい分、しゃっくりも大人より多く発生しているのです。
■新生児や赤ちゃんのしゃっくりの原因
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赤ちゃんのしゃっくりの原因として、主に2つが挙げられます。
▼原因1:母乳やミルクを飲んだあとにしゃっくりが多い!
赤ちゃんがしゃっくりをしている姿がいちばん多く見られるのは、授乳後かもしれません。新生児はミルクを飲むこともまだ上手ではないので、「ゴクッ! ゴクッ!」とミルクや飲み込む時に、空気も一緒に飲み込んでしまうことが多く、これがしゃっくりの原因となるのです。
また、おなかがいっぱいになったことで、胃が横隔膜を刺激し、しゃっくりが出る場合もあります。
▼原因2:おむつがぬれて体が冷えるとしゃっくりが出る
体の冷えもしゃっくりの原因のひとつです。おしっこでぬれたおむつに気がつかずにいることで、赤ちゃんの体が冷えてしまい、横隔膜が刺激を受けてしゃっくりが出ることがあります。
生後3カ月くらいまでの赤ちゃんは、体温調整が苦手で、まだひとりでうまくできません。まわりの温度の変化を体に受けやすいので、室内の温度をこまめに確認し、衣類の調節を心がけましょう。
■新生児赤ちゃんのしゃっくり対処法
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▼対処法1:げっぷをさせる
ミルクと一緒に飲み込んだ空気を体から出すことで、しゃっくりが止まることがあります。授乳後には、毎回げっぷをさせてあげると良いでしょう。
げっぷを出してあげることは、ミルクのはき戻しを防ぐことにもなります。とはいえ、しゃっくりが止まらないからといって、げっぷが出るまで背中をトントンし続けたり、強くたたいたりすることはありません。
▼対処法2:母乳、白湯などを飲ませる
母乳や白湯を飲ませ、赤ちゃんの体を温めることでしゃっくりが止まる場合もあります。適温の飲み物を体に入れ、内側から横隔膜を刺激します。飲ませるのは、お水を一度沸騰させ、冷ました白湯です。飲ませすぎにも注意しましょう。
▼対処法3:背中をトントンと刺激する
もうひとつの方法は、赤ちゃんの背中を刺激する方法です。赤ちゃんを縦抱きしたら、顔をママの肩に乗せます。そして、背中を軽くトントンと指の腹でたたきます。体の血行が良くなることで、しゃっくりが止まる場合もあります。赤ちゃんも気持ちがよくなり、そのままスヤスヤ眠りにつく…こともあります。
▼対処法4:おむつを替える
おむつがぬれていることが原因の場合もあります。おしっこやうんちをしていないか確認し、おむつを替えてあげましょう。
体の冷えが解消されて、気持ち良くなることでしゃっくりが止まることがあります。ただし、冬など部屋の温度が低い時期は、おむつを交換することで、おしりが冷えてしまうことがあるので、寒さを感じないように注意しましょう。
▼対処法5:お風呂に入る
沐浴(もくよく)させる方法もあります。赤ちゃんはリラックスするとうんちやおしっこをすることがありますので、お風呂に入れる前に、あらかじめ着替えやおむつを用意しておくと、ママもあわてずにすむでしょう。
気持ち良さそうにうっとりとお湯につかる赤ちゃんの表情を見ているとあまりのかわいらしさに、ママもいやされることでしょう。
▼何もしなくてもOK!
しゃっくりの原因の多くは、問題がないことが多いので心配しすぎないようにしましょう。ママが神経質になってしまい、その動揺が赤ちゃんに伝わって泣き止まないということもあります。
「大丈夫、しゃっくりはいつか自然と止まるもの」と、あわてずにゆったりと構えてみてください。
■これはNG! 新生児や赤ちゃんのしゃっくりでやってはいけない対処法
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▼NG対処法1:驚かせたりくしゃみをさせる
大人の場合、刺激でしゃっくりが止まることが多いため、背後から「わ!」と声をかけて驚かしたり、息を止めたりする方法をためす人もいます。
しかし、これらの行為は赤ちゃんにはNGです。同じように鼻を刺激してくしゃみをさせたりすることもおすすめできません。赤ちゃんにとって強い刺激は危険ですから、やめておきましょう。
▼NG対処法2:コップに入れた水をたくさん飲ませる
しゃっくりが止まらないからといって、水を大量に飲ませることもNGです。赤ちゃんは身体機能が未熟なため、体への負担となり、はき戻してしまうことが考えられます。少しだけ飲ませるのは効果がありますが、与えすぎはNGです。
▼NG対処法3:うつぶせに寝かせる
新生児は、まだひとりで寝がえりができないため、しゃっくりを止めるためのうつぶせ寝は危険です。寝返りができるようになってからもおすすめはできません。呼吸ができずに窒息し、乳幼児突然死症候群の発症などの危険性が考えられるからです。
参考サイト:厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」
■しゃっくりをすると毎回苦しそうに泣いている! 要注意なしゃっくりとは?
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しゃっくりが止まらず、機嫌が悪い。いつまでも泣いているなど、いつもと様子が違う場合は、病気が原因の可能性もあります。
アレルギーが原因で起こっているしゃっくりは、鼻水や涙、じんましんなどの症状が伴います。また、まれに薬の副作用でしゃっくりが止まらなくこともあります。
少しでもいつもとちがうな…とママが思う時はすぐに病院で受診し、医師に相談することをおすすめします。
▼授乳後なら、「ママが食べたもの」への反応の可能性あり
赤ちゃんのしゃっくり、実はママが原因! ということもあります。ママが食べているものや飲んでいるものが、母乳を通じて赤ちゃんの体に入り、アレルギー反応を起こしている場合もあるのです。
赤ちゃんに卵アレルギーがある場合、ママが卵を食べると赤ちゃんに湿疹(しっしん)やしゃっくりなどの症状が出ることもあります。
▼「しゃっくり+大量のよだれ」は、胃酸が逆流の可能性も?
しゃっくりをしながら大量のよだれが出ている場合は、赤ちゃんの胃酸が食道から逆流してきている可能性も考えられます。胃酸の逆流は、飲んだミルク・母乳と一緒に胃酸が食道に逆流することで、その期間が万が一長くなると食道が炎症を起こすことがあります。
しゃっくりに大量のよだれが伴うことが頻繁にみられるようなら、専門の医師に相談してみてください。
▼薬を飲んだあとも要注意
薬を服用している場合、その副作用が原因でしゃっくりが出ることもあります。授乳後、薬を飲ませたあとにしゃっくりが続くことが多いなど心当たりがある場合は、処方薬や服用量、飲ませ方が適切かどうかを確認することが必要です。すぐに医師に相談しましょう。
■まとめ
赤ちゃんの体は未熟です。ですから、ちょっとした刺激でしゃっくりが出ることがあります。しゃっくりの原因の多くは心配する必要がないものばかりなので、赤ちゃんが大好きなだっこをして、背中をさすってみたり、体を温めてみたりたりしてしみください。自然としゃっくりは落ち着くでしょう。
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赤ちゃんの体の成長とともに、しゃっくりの頻度は減っていきます。「しゃっくりは自然現象だから」とママはゆったりとした気持ちで、赤ちゃんを見守りましょう。
ただし、先ほど紹介したように、中には心配なしゃっくりもあります。いつもと様子が違う場合はすぐに医師に相談を。
参考資料:
・厚生労働省
・『広辞苑』(岩波書店)
・『はじめての妊娠・出産 最新版』(ベネッセコーポレーション)
(前川祐美子)
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