【医師監修】産後の便秘はいつまで続くの? 原因と解消法とは

Woman.excite / 2019年11月22日 22時0分

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出産後、便秘になってしまうママは多いです。慣れない赤ちゃんのお世話でストレスが生じたり、夜中の授乳で寝不足となって自律神経が乱れたり、と原因はさまざま。

つらい便秘は早く解消したいですよね。そこで今回は、産後の便秘で悩むママのために、原因と解消法についてくわしくご紹介していきます。


【監修】
成城松村クリニック院長 松村圭子先生


婦人科専門医。1995年広島大学医学部卒業、同年広島大学付属病院産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニックを開院。女性の「体の健康」「心の健康」のために、一般の婦人科診療だけではなく女性のあらゆる面をトータルにケア。講演、執筆、TV出演など幅広く活動。

著書に、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)など多数。


■産後の便秘6つの原因
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原因1:いきむのが怖い


産後の便秘でママが心配しがちなことは「出産で会陰(えいん)を縫合したのに、勢いよくいきんだら傷口が開いてしまうのでは」「排便でいきむのが怖い」というものです。

赤ちゃんは狭い産道を押し広げて出てきます。そのとき、腟(ちつ)と肛門(こうもん)の間の「会陰」が裂けることを防ぐため、医師があらかじめ切開し、出産後に切開部分などを縫い合わせる処置をします。それがネックで「排便時にいきむと裂けてしまいそう」と不安になるママが多いのです。

また、その傷口が排便時にしみることがあります。しかし、排便するとしみるから、いきむのが怖いから、と便意を我慢してしまうと、習慣的な便秘になってしまうので要注意です。

原因2:水分不足


出産後、母乳で育てるママは授乳が始まります。母乳はママの血液からできているので、授乳のたびに母体の水分は出ていってしまいます。

ママは水分を意識的に多くとらないと、いつの間にか水分不足に陥ってしまうのです。水分不足は便を硬くさせるため、便秘の要因にもなります。授乳中はまめに水分補給を行うようにしましょう。

参考サイト:
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)」



原因3:自律神経の乱れ


「自律神経の乱れ」は便秘の原因のひとつです。自律神経は全身の機能を調節する役割を担っていますが、出産後は急に赤ちゃんの世話に追われる生活になるため、ストレスがたまりやすいです。また、深夜の授乳などで睡眠不足にもなるため、慣れないことの連続で、自律神経が乱れてしまう人も少なくありません。

また、妊娠中に豊富に分泌されていた女性ホルモンは出産を終えると量がぐっと減ってきます。この女性ホルモンが減ると不快が生じやすくなり、自律神経も乱れやすくなります。自律神経が乱れると腸の働きも鈍くなり、便秘を引き起こしやすくなります。

原因4:骨盤底筋が緩んでいる


骨盤底筋とは、骨盤内の臓器を支える役割をする筋肉です。膀胱(ぼうこう)や子宮、直腸などが下がっていかないように骨盤底を支え、排尿や排便をコントロールします。この骨盤底筋は妊娠で大きくなったおなかを支える働きをしてくれますが、長期間で負担がかかるので、筋肉はたるんで緩み、引き伸ばされた状態になります。

出産後はこの筋肉がまだ緩んでいる状態なため、排便時に便を押し出す力が弱く、結果、便秘を引き起こす原因になっています。

参考サイト:
厚生労働省 女性の健康推進室ヘルスケアラボ「産後のトラブル」



原因5:直腸瘤


直腸は便が溜まってくると便意をもよおす部分です。ここに直腸瘤(ちょくちょうりゅう)というものができることがあります。これは直腸が過度に膨らみ、腟のほうにせり出してしまう状態。直腸と腟の間の壁が弱くなってしまうと起こりやすく、その主な原因の一つに出産があげられます。

直腸瘤になってしまうと、いきんでも便が直腸瘤のなかに留まってしまい、正常に便が出にくくなります。そのままにしていると頑固な便秘になってしまうのです。排便時に腟に違和感がある人は要注意です。

原因6:痔(ぢ)


妊娠中はおなかが大きくなるため、子宮に圧迫されて肛門の周りの静脈がうっ血しやすくなっています。その静脈の一部が腫れてしまうと「いぼ痔(痔核)」になります。妊娠中は血流が悪くなりやすいうえ、分娩時は思いっきりいきむので、このいぼ痔で悩むママはとても多いのです。

妊娠中にいぼ痔ではなかった人も、出産の強いいきみによっていぼ痔になってしまう場合があります。また、もともといぼ痔があった人では、出産によって悪化するケースもあります。

いぼ痔は、場所によっては排便をするときにとても痛むので、排便を我慢し、便秘を引き起こしてしまうことがあります。便秘になると便が硬くなるため排出しにくくなり、さらに切れ痔にもなりやすくなります。そして排便が痛いので、また便意を我慢してしまう、という悪循環に陥ることがあります。

出産後の痔は時間がたつと自然に消えてくれることが多いですが、症状がつらい場合は肛門科などを受診しておきましょう。

参考サイト:
厚生労働省 女性の健康推進室ヘルスケアラボ「肛門が痛く、たぶん痔だと思うのですが」







■産後の便秘はいつまで続くの?
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体が回復するまでは要注意


ママのつらい便秘は、一体いつまで続くのでしょうか。

出産直後の体は大きくダメージを受けています。出産後約6週から8週間の「産褥(さんじょく)期」と呼ばれる期間は休養が必要で、ママは寝ていることが多いため、腸のぜん動運動が低下しがちになります。また食物繊維の不足などにより、2日から3日ほどの便秘ならよくあることです。

この時期は体を休ませて、無理をしないようにすることと、ストレスをためないようにすることが重要です。家族に育児を手伝ってもらいながら、一時保育のサポートを上手に利用し、休養する時間をある程度は確保しましょう。ママの体が回復するにつれて、便秘も快方に向かっていくでしょう。

食習慣が元に戻るまで


食事は常に気をつかっていきたい部分です。産後、帝王切開をしたママは流動食からはじまりますが、医師の指示に従い食事をしっかり取れるようになれば、スムーズな排便も期待できます。

また、赤ちゃんとの慣れない生活で食習慣が乱れてしまうママも少なくありません。食習慣の乱れは便秘の原因にもなります。食習慣を整えることができれば、自然と便秘も解消されていくでしょう。

参考サイト:
日本医療機能評価機構ガイドラインライブラリ「産後の便秘治療のための介入(2014 issue 9, New)」



排便習慣が正常になるまで


産後の体は腹筋に力が入りにくい状態となっています。妊娠中は長期間子宮が伸びていたので、腹筋が左右に広がってしまい、急に排便でいきんでも腹筋がうまく使えないかもしれません。ただ、排便を我慢していると、さらに出すのが困難になってしまいます。
少しずつでもトイレに座って排便をするようにし、排便習慣を整えていくのがいいでしょう。

■産後の便秘の解消法
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解消法1:水分をたっぷりとる


それでは便秘の解消法を紹介していきます。まずは水分をたっぷりとることをおすすめします。とくに母乳で赤ちゃんを育てているママは、水分不足になりやすいのです。「こまめに水分を摂取する」ことを意識しておきましょう。

解消法2:食物繊維をしっかりとる


食生活では食物繊維をしっかりととり、便通を促していくことが重要です。とくに豆類や米などに多く含まれる「不溶性食物繊維」は水分を吸収し、便のカサを増やしてくれ、腸の働きを促進してくれます。便秘には最適の栄養素です。また、海藻や果物などに含まれる「水溶性食物繊維」も不溶性食物繊維と一緒にとるのはおすすめです。水溶性食物繊維は水分に溶け込んで便を柔らかくし、腸のなかをスムーズに通りやすくしてくれます。成人女性なら、食物繊維は1日18g以上を目安に摂取しましょう。

解消法3:なるべくトイレに同じ時間に座る習慣を作る


「まだ会陰の傷が痛むのでトイレで座るのが苦痛」というママもいるかもしれません。便秘であまり便意を感じないときも、なるべく同じ時間にトイレに行って座り、排便習慣を整えておきます。排便習慣が整うと、自然とお通じもくるようになってきます。

解消法4:リラックスして排便に臨む


「赤ちゃんがすぐに泣きだしてしまうので、トイレでもゆっくり座れない」、というママは多いかもしれません。しかし、一日一回くらいはゆっくり座り、リラックスをして排便に臨みましょう。これも排便習慣を整えるために大切なことです。

解消法5:排便に関わる筋肉などを鍛える


排便に関わる筋肉を鍛えるために体操をするのもおすすめです。例えば、骨盤底筋体操(ケーゲル体操)です。この体操は、肛門や腟の周辺の筋肉を収縮・弛緩させ、鍛えていきます。体操で骨盤底筋を鍛えて強化することは、便秘や尿失禁の解消にもつながっていきます。

やり方は、以下の通りです。
1.仰向けになって、自分の骨盤底筋(尿道、腟、肛門周りの筋肉)を意識します(立ったまま、イスに座ったままでもできます)
2.排尿のときに尿を止める感じで、肛門と腟を締めてみます。
3.その状態を5秒キープしたら緩めます。これを1セット10回から15回とし、一日3セット行います。


無理なく骨盤底筋を強化し、便秘を改善していきましょう。

解消法6:ゆっくり休んでも解消されない時は


便秘解消法を試し、ゆっくり休んでも治らない場合は、病院を受診して下剤をもらうのも手です。便秘はそのままにしておくと、腹痛やはき気、腹部膨満感などさまざまな不快症状を引き起こします。また、いぼ痔の原因にもなり、日常生活や赤ちゃんの世話に支障をきたす可能性もあります。

便秘薬は街の薬局でも購入は可能です。しかし、大腸を刺激して排便を促すタイプなどは飲み続けていると、だんだん効きが悪くなっていき、クセになってしまうことがあります。「下剤がないといられない」状態は良くないので、自己判断で飲むのではなく、病院で処方してもらうことをおすすめします。

薬の飲み方は、薬の効き始めから逆算して飲むのがいいでしょう。例えば飲んでから6時間で作用が現れるなら、朝食の6時間前に服用します。朝は腸が一番活発に運動するため、朝食後に薬が効くように飲んでおけば、便も快適に排出ができるでしょう。
また、薬の成分によっては、牛乳など特定の飲み物で飲むと効き目が落ちるものがあります。薬は水で飲むようにしておきましょう。

さらに、強い腹痛やはき気、発熱を伴っていたり、便秘と下痢を繰り返したり、通常の便秘とは異なる症状がある場合は要注意です。気になる症状がある場合はすぐに病院を受診しましょう。



■まとめ
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便秘は多くの産後ママが悩む症状のひとつです。原因はさまざまで、赤ちゃんの世話をしながらの体調管理は大変なことかもしれません。

しかし便秘解消法を知り、できる範囲でも行動すれば改善は可能です。水分や食物繊維を多くとり、体操をしてみたり、排便習慣を意識してみたり、できることからはじめてみましょう。それでも便秘解消が難しいなら、病院を受診し、医師に相談することも検討してみましょう。

参考資料:
厚生労働省
日本医療機能評価機構
・『慢性便秘症診療ガイドライン 2017』(南江堂)編集 日本消化器病学会関連研究会





(斉藤カオリ)

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