コロナのこと、子どもに何と説明しよう…?【犬山の遠吠え!やってまーす Vol.2】
Woman.excite / 2020年5月22日 17時0分
一児の母のエッセイストで、TVコメンテーターとしても多数出演する犬山紙子さん。
女性と社会をとりまく問題をはじめ、「コミュニケーション」を仕事にする犬山さんが、一人語りのラジオに挑戦中です。番組名は『犬山の遠吠え!やってまーす』(音声配信サービス「Radiotalk」でアーカイブ配信中)。
恋愛や性、夫婦問題、子育て、差別に嫉妬…常に生き方更新中の犬山さんが、リスナーからのお便りを交えながら、テレビでは伝え切れない本音を語っています。
この連載では番組内のトークを厳選して、言葉にまとめました。今回は2020年5月14日放送分よりお届けします。外出自粛が続くなかで、「わが子に問われて困ってしまったワンシーン」からラジオは始まりました。
■コロナのこと、子どもにはどう説明してますか?
いまの悩みのひとつが、3歳のわが子にコロナウィルスをどう説明するかなんです。うちでも「おばあちゃんに会いに行きたい!」なんて言われるんですが、その気持ちは当たり前なわけです。ただ、細かく話したところで、この状況をどこまで3歳が理解できるのか……。
私は今のところ「外にすごいバイ菌が出てきて、病気になるかもしれないけど、大人たちがすごい薬を一生懸命作ってくれてるから、ちょっと待ってようね」と伝えています。
バイ菌とウィルスはちがうものなんですが、子どもはバイ菌だとわかるみたい。あとは、ただ脅すだけではなくて、すこしの勇気も与えて、「乗り越えていく」という思いを持ってもらいたいんです。
きっとね、それぞれの年齢のお子さんを持つ親御さんが、それぞれで今悩んでいることじゃないかと思うので。「コロナと子どもとの関わり方」も、ぜひみなさんのやり方を聞きたいので、番組までメールなどいただけると嬉しいです!
■コロナ離婚に隠れDV…心配ごとが増えていく
© takasu - stock.adobe.com
家族と密な環境で過ごす時間が増えて、コミュニケーションのトラブルも発生していると見聞きしています。不安なうえに、先が見えにくい状況で、さらにお子さんがいる家庭はなお大変。忙しくて、ほっと一息つける時間もないと。
フラストレーションが溜まっていく生活の中で、「コロナ離婚」にまで発展する夫婦もあるようです。実は東日本大震災のときも、仙台市では離婚の相談数が2倍になったそうなんです。やっぱり人は非常時に、それまでの関係性がより濃く出てくるんだなぁ、なんて思いながら見てるんですが……。
あと心配なのはDVと虐待が増えること。私は「#こどものいのちはこどものもの」というチームで児童虐待を防ぐための活動もしているのですが、学校は大人の目で「子どもの異変」に気づける機能でもあって、そこで守ることができたケースって本当に多いんです。
それが今は休校で、周りの家族も外に出ないから、完全に子どもを閉じ込めている状況なんですよね。私たちも児童相談所の電話番号「189番」の啓発とか、活動されているNPOさんのサポートとか、微々たるものかもしれなくても、できることは必ずあると思います。
あとは「虐待を未然に防ぐお手伝い」も。私もTwitterを見ているときに、知り合い含めて「この人は育児に疲れているな」と投稿から感じたりもします。そんなときにはLINEや電話で、「最近は何か不安なの?」と、相手の話を否定せずに聞くだけでも感情は変わってきます。この状況に孤立しているのではなく、誰かに受け止めてもらえると思うだけでもね。
■自己肯定感は「ありがとう」を口にすることから
このラジオでやりたいことのひとつが「色んな人を肯定したい!」です。
以前に、他局なんですが『ホメラニアン』というラジオ番組に出演していて、そこでは「私たちって生きてるだけでえらいよね!」とリスナーさんをとにかく褒めていました。
私、思うんですけど、とにかくもっと褒められて良いことは、この世に溢れまくってます! だから、この『犬山の遠吠え』では、そこにスポットライトを当てていきたいんですね。
特に家事育児は、もっと「ありがとう」の言葉が必要で、もっと褒められていくべきだなーって思います。「つけあがる」とか「甘やかす」とか以前に、日本人はあまりにも真面目すぎて、頑張りすぎて、それで追い詰められちゃう人が多いように感じています。
実は私自身も、自分のことを全然褒められないタイプでした。でも、やっぱり自己肯定感が持てることは大事だし、人間は生きているだけでちゃんと役割があるものなんです。うちは母が寝たきりになって、もう10年以上になるんですが、母がニコッて笑ってくれるだけで、周りも私も嬉しい気持ちが湧きます。今も、このラジオで話しているそばで、頭のなかでは母が生きてくれてることにも「嬉しいなぁ」と感じるものです。
私はカウンセリングや心療内科に通って、先生に話を聞いたりしていくうちに、自己肯定感を持てるように変わっていけました。実は、その変わるための行動のひとつが周りの人にも「ありがとう」を伝えて、褒めること。綺麗事に聞こえるかもしれないけれど、結局はそこからなんだなって。
……いま、構成作家のマツモトさんが、カンペに「人には『頑張れ!』じゃなくて『頑張ったね』ですか?」と書いてくれたのですが、まさにそうなんですよ! 頑張ったね、つらいのわかるよ、って否定しないのが本当に大事だと思います。
■クソバイスを知って、心でブロック!
© polkadot - stock.adobe.com
もう一つ、このラジオで話したいことがあって……クソバイス、ご存知ですか?
「クソみたいなアドバイス」の略です。「自分の持論を相手の事情をまったく聞かずに押し付けること」と定義しているのですが、私が名付けたので知らなくても大丈夫です(笑)。
「いい加減に年齢考えて彼氏を作りなよ」とか「仕事に熱中しすぎると婚期に遅れちゃうよ」とかはクソバイスの一例ですね。これらをまとめて反論も考えて、以前に『アドバイスかと思ったら呪いだった。』という本にしました。
私が今、いちばんよく受けるクソバイスは「子どもは一人っ子だとかわいそうだから、もっとつくったほうがいいよ」ですね! 同世代の女性から言われることもあるし、年上の男性から受けることも本当に多いです。でもさ、子どもを持つ持たないなんて、お金の事情とか、そもそも産めるかわからないとか、人によっていろんな理由があるわけじゃないですか。
クソバイスって、言っているほうはめちゃくちゃ気持ちいいんですよ。だけど、言われてしまったほうは、自分が悪いのかもしれない……って、自らを責めてしまうサイクルに陥ってしまう。しかも、深刻化してくると「自分が悪い」という思いが内面化して、ついには他の人にまでクソバイスを放つ側に回るんです……。
言ってくる人はいます。でも、「はいはい、これはクソバイスだな」と理解しておければ、それをブロックする心を持てると思います。子育てや育児アドバイスにもクソバイスはいっぱい潜んでいます。「子どもはこうやって育てるべきだよ」とか「母乳じゃないとだめだ」とかね。
それで本当に苦しむ方もいます。みんなでクソバイスを集めて知って、対抗していきましょう! 深刻なものからライトのものまで、「私が受けたクソバイス」、ぜひ教えてください。
ラジオ番組『犬山の遠吠え!やってまーす』は毎週木曜日、深夜0時30分からMBSラジオ(AM1179/FM90.6)で放送するほか、アプリやネットで楽しめる「radiko」でも生配信。また、過去の放送は音声配信サービス「Radiotalk」で聞くことができます。
(長谷川賢人)
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