【医師監修】虫刺されは小さい子ほど要注意! 虫よけ剤、かゆみ止めの正しい対処法【子どもの「病気・けが」教えて!ドクター 第4回】

Woman.excite / 2020年7月27日 14時0分

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出典:『マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』(KADOKAWA)


夏には、親子で公園にお出かけしたり、キャンプを楽しんでいる人もいるでしょう。そんな屋外での活動で心配なのが、虫刺され。夏は虫の活動が活発になるため、とくに注意が必要です。

今回は子どもが虫に刺されないための予防のポイントや、応急処置の方法について、書籍 『マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』からご紹介します。

■小さい子どもほど虫刺されで強い反応が!

虫刺されは、 2歳から6歳の子どもに多く、虫の種類は蚊やブヨ、ダニ、ハチ、ムカデなどが多いです。子どもは 大人より症状が強く、長引きやすいのが特徴です。

例えば蚊に刺されると、小さい子どもほど 強い反応が出ます。一方、ハチやムカデは刺されると抗体ができ、次に刺されるとアナフィラキシーショックを起こすこともあるので、注意が必要です。

■虫に刺されないための予防法は?

虫に刺されないためには、 虫よけをすること清潔にすること服装を工夫することが大切です。

▼虫よけ剤の選び方


子どもに使う虫よけグッズは、その成分にも注意が必要です。虫よけに効果がある 「ディート」か「イカリジン」が含まれているものを選びましょう。ディートとイカリジンはそれぞれに特徴があり、選び方にも工夫が必要です。

【虫よけグッズの特徴】
●ディート
・年齢制限あり(6カ月未満は使用不可)
・6カ月〜2歳未満は1日1回
・2歳〜12歳未満は1日1回〜3回
・30%濃度のものは6〜8時間有効

●イカリジン
・年齢制限なし
・塗る回数に制限なし
・イカリジン15%濃度のものは6〜8時間有効

薬や日焼け止めを塗る場合には、先に塗ってからその上に虫よけを塗りましょう。

▼虫刺されを悪化させないために


虫刺されを悪化させないためには、 清潔にすることが大切です。

汗は虫刺されの症状を悪化させてしまうため、こまめに拭き取り、シャワーを浴びましょう。そして、刺された部分をかきこわしてしまうと、症状がひどくなったり、とびひの原因になったりしてしまいます。こまめに爪を切り、清潔に保ちましょう。

▼虫に刺されにくい服装とは



出典:『マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』(KADOKAWA)


服装も大切な予防のポイントです。

【虫に刺されにくい服、刺されやすい服】
【OK】
・白っぽい服
・トップスをズボンの中にいれる
・薄手の長袖シャツなどを着て手足を出さない

【NG】
・花模様や黒い服
・手足を出す

暑い時期は、半袖やサンダルで出歩くことが増えますが、虫刺されの予防には、薄手のシャツを着たり靴下を履いたりして、 手足を露出しないことが重要です。



■虫刺されしたときのおうちケア



出典:『マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』(KADOKAWA)



もし虫に刺されてしまったら、おうちでしっかりケアしてあげましょう。


【かゆみを抑える処置方法】
1、石鹸(せっけん)などでよく洗って流水で流す
2、患部を氷袋などでしっかりと冷やす
3、かゆみ止めの軟こうを塗る
4、かゆみが強い場合は病院に相談する
5、アナフィラキシーを伴う場合は急いで病院で受診

アナフィラキシーショックは、刺されて30分以内に起こることが多く、初めて刺された時に起こることもあります。じんましんや息苦しい、めまいや吐き気などの全身症状を伴う場合には、すぐに病院へ行きましょう。

■【子どもの虫刺され】教えてドクターQ&A

最後に、「教えて!ドクタープロジェクト」に虫刺されにまつわる悩みにお答えいただきました!

――赤ちゃんに安全な虫よけを使いたいのですが、植物由来のものは効果があるのでしょうか?


お子さんへの虫よけは、安全なものを使いたいというのは当然のお気持ちでしょう。「自然素材の虫よけの方がいいんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

植物由来のものだと、レモンユーカリ油の虫よけがあります。蚊やアブに効果はありますが、ディートやイカリジンほどの効果はありません。また、自然に優しいイメージとは裏腹に、目に強い刺激があり、安全性が確認できていないため、3歳未満は使用禁止です。 自然由来が安全とは限らないことを知っていただきたいです。

その他の植物由来の虫よけとして、シトロネラやゼラニウム、植物油の虫よけがありますが、これらの虫よけ効果の持続時間は、2002年の研究 (*1)によれば、塗ってからわずか20分未満でした。市販されている虫よけの主成分であるディート(24%)の虫よけ効果持続時間が約5時間であったことと比べると、 効果は乏しいことがわかります。

――では、シールやリストバンド型の虫よけはどうでしょうか?

先ほどお話しした研究では、防虫剤をしみこませたリストバンドも効果がないこともわかりました。米国小児科学会も、リストバンド型、超音波を発するタイプ、リング型、シール型ともに 効果がないとしており (*2)、私たちもおすすめしていません。

子どもが虫に刺されると、大人よりも腫れやすく、かきこわすと とびひの原因になります。できるだけ、ディートやイカリジンなど、効果の証明されている虫よけを使っていただければと思います。

――虫に刺されたら「温めるといい」、「冷やす方がいい」と正反対の情報をネットで見ますが、どちらが正しいですか?

虫に刺されたときは 冷却が基本です。冷却で知覚神経の感覚を鈍らせること、また血管を収縮させて有毒成分の拡散を遅らせることが目的です。

以前、「虫に刺されたら温めるといい」という話題がネットで上がっていました。その根拠はおそらく10年前の論文で、「ムカデは温熱療法が効果的で、有毒成分が熱で変性するのでは」と考察しています (*3)。しかし、実際に毒が熱で変性するという科学的根拠はわかっていません。

「効果的」という論文はほかには見当たらず、逆にヒロヘリアオイラガの幼虫による刺傷に対し、保冷剤を用いた冷却と43度前後の湯を用いた症状を比較しても、翌日の腫れの程度には変わりがなかったという実験から、温めても抗原性は変わらないのではとの報告があります (*4)

――それでは、やはり虫に刺されたら基本的には冷やした方がいいですか?

虫に刺された部位を温めることはしない方がよいでしょう。その理由は、毒の成分に対するアレルギー反応です。温めることで血管が拡張し、有毒成分が体内に広がりやすくなり、 アレルギー反応が起きやすくなる可能性があるため、安易にはおすすめできません。ムカデ以外の虫さされも、基本的に冷却でいいのではと考えます。

ちなみに、温水での処置が効果がないというわけではなく、クラゲやウニなどの海洋生物には効果があるとされています。30〜60分間温水に浸すことで痛みが軽減するとされています (*5)

今回は虫刺されについて、「教えて!ドクタープロジェクト」に話を聞きました。次回は熱中症について、教えていただきます。

※本連載で紹介する情報は、2020年6月30日時点のものです。



(*1)Fradin MS, Day JF. Comparative efficacy of insect repellents against mosquito bites. N Engl J Med. 2002;347(1):13-18.
(*2)American Academy of Pediatrics. Choosing an Insect Repellent for Your Child.( https://www.healthychildren.org/English/safety-prevention/at-play/Pages/Insect-Repellents.aspx)
(*3)鈴木一年ら 皮膚の臨床52:1182,2010
(*4)夏秋優 日本医事新報4620,2012
(*5)JS. Keystone. Travel Medicine 3rd edition,464-465)

『マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』


(佐久医師会 教えて!ドクタープロジェクトチーム/KADOKAWA ¥1,430)
赤ちゃん・子どもの病気、ケガ、事故…突然の「どうしよう」この1冊があれば安心!
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●「教えて!ドクタープロジェクトチーム」とは?

長野県佐久医師会・佐久市による、子どもの病気、ホームケア、地域の子育て支援情報などを発信するプロジェクトチーム。地域の子育て力向上事業としてだけでなく、SNS発信により「医師による確実な情報」を、リアルタイムで全国に発信している。
公式HP:教えて!ドクタープロジェクトチーム


(高村由佳)

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