スイーツ男子だった織田信長! 料理好きの伊達政宗…戦国武将の意外な趣味とは【夫婦・子育ていまむかし Vol.24】
Woman.excite / 2024年7月20日 22時35分
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ウーマンエキサイトをご覧のみなさん、こんにちは。tomekkoです。
前回は今どハマり中の大河ドラマに乗っかって書いてみましたが、藤原道長のイメージはちょっと変わりましたでしょうか?
偉人や歴史上の有名人って、教科書にまとめられた内容や強烈なインパクトのあるできごとでイメージされることがほとんどですよね。
戦国武将は特にその傾向強いのではないでしょうか?
ということで、今回調べてみたのは…。
冷酷なカリスマ織田信長
野心的な伊達政宗の意外な趣味とは?
魔王 織田信長、そして独眼竜 伊達政宗。
いずれも野心的で勇敢な武将というイメージがありますよね。
信長は神仏をも恐れぬ好戦的な独裁者としてのエピソードが山ほどあるし、政宗はその眼帯としゃれた兜のデザインから見た目のかっこよさに惹かれる人も多いでしょう。
伊達政宗については戦国の中でも特に激戦時代を知略を駆使して生き残ったことから、老獪なイメージもあるかも知れませんね。
でもでも…このふたりの武将には意外な趣味があったんです。
そう、スイーツとお料理です!
豪快に瓢箪から酒をラッパ飲みして怒鳴り散らしてそうな魔王信長ですが、実はなんと下戸!
甘いものが大好きなスイーツ男子だったんです…!!
ポルトガルから来日していた宣教師ルイス・フロイスによる『日本史』には信長に謁見した際の様子が記されています。
信長は「朝早く起床し、酒を好まず、食を節するなど極めて健康的な生活を送っていた」
えっ 信長ってお酒…飲まないの?!?!
フロイスが所属するイエズス会は、キリスト教布教のためまずは権力者たちに酒やお菓子を贈ったそうですが、信長にもワインを献上したものの飲んだ記録はありません。
代わりに信長が大喜びしたのは、金平糖及び有平糖といった砂糖菓子でした。
ガラス瓶に詰められてキラキラ輝いて見える金平糖にうっとり見惚れるコワモテの殿様。想像するとちょっと可愛くないですか?
信長はかなり気に入ったようで、何度も取り寄せたという話も残っています。
甘いもの好きな信長の好物は干し柿でした。
戦国時代の頃より美濃地方の名産品になっており、よく家臣への褒美に使われ、前述のフロイスにも贈ったそうです。(フロイスは柿とは知らず、干しイチジクだと思っていたようですが)
そんな信長の干し柿にまつわるエピソードにはこんな話もあります。
戦で早くに父を亡くした家臣の息子が九歳で家督を継いで(過酷な時代…)主君の織田信長に謁見した時のこと。
信長は、取り次ぎ役の堀久太郎に、床の間に山盛りになっている干し柿を下賜するように命じました。
久太郎が2つばかり渡そうとすると、それを見た信長は、
「ケチケチするな。もっとたくさん持たせてやれ!」と叱りつけ、十数個も持たせたそうです。
一抱えもある干し柿は九歳の子どもの手には受けきれず、袴のすそを広げて袋を作って受け取った少年の姿を見て信長は上機嫌で笑いかけたとか。
他にも戦で1番槍の手柄を立てた家臣に干し柿とかぶっていた笠を褒美にするなど、干し柿は信長にとって、とっておきのプレゼントだったようです。
干し柿をもらって(きっとみんな喜ぶぞ!ヨシヨシ!)って思ってそうな信長、これまた可愛いところがあるじゃないか…。
お菓子を手作りした信長
…可愛くない?
甘いもの好きが高じて、時には自分でも台所に立つこともあったというエピソードにはびっくり。
それもなんと家康とその家臣のために信長自ら手作りのお菓子でもてなしたというんです。
信長が作ったのは『ふりもみこがし』という、炒った米や麦を臼で挽いて粉にし、お砂糖を混ぜたお菓子。
家康の家臣、松平家忠の日記には「上様自ら家康の御膳を運び、お供衆にもふりもみこかしを挽いて下さった」と同席した家臣から届いた書簡について記述があります。
男子厨房に入らず、という考え方自体案外新しいもので戦国時代の料理人は男性が当たり前なのですが、とはいえ殿様自ら襷掛けして顔に粉とかつけながらせっせと作っていたかと思うと…やだ、またしても可愛い一面を見つけてしまった!
とはいえもちろんこれらはあくまで『意外な』一面。
フロイスの目の前でも、通りがかりの女性の顔を覗こうとした下人を即座に切り捨てたり、人の意見は聞き入れない独裁者といったイメージ通りの記録が多く、可愛い一面があったからって…冷酷な独裁者だったのは間違いないと思われます。
さて一方の伊達政宗はというと…無類のお料理好き!
研究熱心でかなりの凝り性だったようでなんと政宗氏、毎朝2畳敷きの豪華なトイレで献立を考えるのが日課だったそうです。
こちらは比較的知られているかも知れませんね。伊達巻やずんだ餅などルーツが政宗であることが有名な物もあります。
ずんだ餅は枝豆の綺麗な緑の餡をつけて食べるお餅ですが、政宗が陣太刀の柄で枝豆を砕いて作ったから「じんだ」が「ずんだ」に訛った説。
伊達巻も、政宗がヒラメの肉に卵を混ぜて焼いた平玉子焼を好んで食べていたことが、 後にこの平玉子焼を巻きすで巻くようになり伊達巻と呼ばれるようになった説。
まあどちらも諸説ありますが、やはり食にこだわりのある政宗だからこそ由来に名前が上がるのでしょうね。
ただ調べていくと、政宗はただ食べることが好きで自分でも料理するようになった人とはちがうようで、やはり根底には戦国の世を生き抜く武将としてのしっかりとした思想があったようです。
「人をもてなす際に一番重要なのは料理であり、そのメニューを管理するのは主人の仕事。」
「誰かをもてなすときに一番大事なことは心のこもった料理を出すことである。それも主人自らが作った料理でなければならない。もし自分が作らず人任せにして、悪い料理を出して腹痛でも起こされたら、こちらの気遣いなどあったものではない。」
などなど、まるで料亭の主人のような格言の数々が残っています。
政宗は客人には自らの手で配膳までしたそうです。
格言をベースに見ると大事なのは料理そのものそいうより、相手との関係性を良く保つための心遣いのように感じられます。
厳しい戦国の世を生き延びるために、多くの家臣とその家族の命を預かる武将(リーダー)に必要なのは実戦での強さはもちろん、風向きを読む賢さ、そして人の心をつかむカリスマ性だったのではないでしょうか?
料理は、何度も存続の危機を乗り越えて泰平の世に伊達の血筋と領地を残した政宗の生き残り戦略の一つだったのですね。
調べる前は、武芸と戦に明け暮れ日々緊張感のある決断を迫られている武将たちにとって、もしかして甘味や料理は息抜きだったのでは? 忙しいのに仕事と趣味を両立して、さすが仕事のできる男はちがうぜ〜なんて軽く考えていた私。
いや〜そんな甘い話じゃなかったですね、甘味だけに…(え?)
料理もスイーツも人の欲望(食欲)を満たすための手段で、家臣の心を掴んだり外交戦略に役立ったりしてるわけです。
信長だってただ自分が好きな甘いものは皆んな好きだろうとホイホイ干し柿をプレゼントしていたわけではないでしょう(多分)
自領の特産品を贈ることで生産者を庇護したり、『美濃尾張の信長』からの品としてのバリューを知らしめたり…といった意味もあったかも知れません。
政宗に至っては相手との関係を強めたり密約を結んだりと、料理は政治戦に使う戦略のひとつだったのでしょう。
料理ってそもそも段取り良くないとできないよなーと日々実感しているマルチタスク苦手主婦。さすがは歴史に名を残す偉大なリーダーは一味ちがうぜ!!と唸らされたエピソードでした。
《参考文献》
・『フロイス日本史』
・『大日本史料 第十一編之六』
・『現代語訳 家忠日記』
・『伊達政宗 五常訓』
(tomekko)
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