「パンがなければお菓子を食べればいい」なんて言ってない! マリー・アントワネットの真の姿とは?(前編)【夫婦・子育ていまむかし Vol.27】
Woman.excite / 2024年10月16日 21時0分
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ウーマンエキサイトをご覧のみなさん、こんにちは。tomekkoです。
偉人の人間性を知る意外なエピソード、海外の偉人も読みたい!とリクエストをいただきましたー!
こういうコメントいただけるの嬉しいです。
…こんな人物の話を読みたい!など感想やご要望頂けたら参考にさせていただきますのでぜひ!
歴史的な悪女といえば…?
さてさて、海外の偉人で一番に思い浮かんだのがこの人。
パリオリンピックの開会式でもグロテスクな演出に使われ物議を醸した歴史的にも有名な“悪女“………。
贅沢、浪費、派手で傲慢。「パンがなければお菓子を食べればいい」という無知で無神経な発言で民衆の憎悪を集めた王妃…。
マリー・アントワネットのイメージってこんな感じじゃないでしょうか?
学生時代は『ベルサイユの薔薇』で世界史のフランス革命をどうにか乗り切った私も、彼女の悲劇的な運命に同情はすれどご本人の素行にも問題あったんだろうな…と思っていました。
でも改めて調べてみると!
思ってたんとだいぶ違うエピソードがざくざく出てきまして…。
今回は歴史的“虚像“がいかにして作られたかを調べてみることに。
14歳という若さで結婚して
ヴェルサイユへ
オーストリアの女王マリア・テレジアの娘として生まれたマリー・アントワネット。14歳という若さで、近いようで全く文化も生活様式も違うパリへ、ルイ16世の妃として嫁ぎました。
幼少期を自由でのびのびと過ごしたウィーンから、厳格なしきたりと儀式が多いヴェルサイユでガチガチに縛られる生活へ。
その苦しさから、彼女のファッションセンスが認められる華やかな舞踏会や社交会でチヤホヤされたり、現実逃避できる賭博にのめり込んでいた時期があったのは事実。贅を凝らしたファッションや奇をてらったヘアスタイルが大流行し、浪費家や贅沢三昧のイメージがついたのでしょうね。
でも、これらの放蕩は実は一時的なものなんです。
彼女は一生こんな感じだったと思っている人も多いのでは?
結婚から7年も子宝に恵まれなかったことも夫婦仲を疑われ批判される材料になったようです。現代でも苦しんでいる人が多い話ですが…今も昔もどこの国でもロイヤルウェディングは即“世継ぎ“が期待されてしまう妃。精神的にも追い詰められていたでしょうなぁ。
しかし出産は彼女を大きく成長させ変化をもたらしました。賭博への興味を失い、子育て熱心な母親になっていくのです!(こちらは後編でお伝えします)
代名詞となったあのセリフ…本人は言ってない説!
さて、マリー・アントワネットの一番印象的な意外エピソードと言えば、やっぱり誰でも知ってるこの“迷言“ではないでしょうか。
庶民の暮らしの苦しさ、貧しさを知らない傲慢なお姫様らしさが全面に表れているためか、このセリフが彼女の代名詞になるほど有名ですね。
でも、実はこんなこと言ってない説!
発言の主は某大公国の公爵夫人ではないかと1760年代に書かれたルソーの『告白』中の内容から言われています。この時マリー・アントワネットはまだ幼少期で王妃にもなっていないんですよね。
実際のマリー・アントワネットは飢饉の時、むしろ民衆のために財を集め寄付をしたり、パンの原材料小麦粉に代わる主食としてジャガイモを広めるため国王夫妻でファッションにジャガイモの花を取り入れたりといった模範的な行動をしているのですが…あまり知られていないですよね。私も知らなかった…です。
センセーショナルなデマは一人歩きし、回収不可能に。
フランス人ですら多くが今でも彼女の発言だと思っているそうです。無念すぎる…。
実は民衆よりも先に彼女を嫌っていたのは、宮廷に出入りする王侯貴族たち。彼らの嫉妬と悪意によって作られた悪い噂が王家に反感を持つ貴族たちの中でどんどん広まるうちに、本当のことなど何も知らない民衆の憎悪のネタになっていったのではないかと言われています。
もし彼女が本当に傲慢で浪費家だったとしても、王族を取り巻く他の貴族たちもそう大差なかったでしょうに!毎晩のように宮廷で繰り広げられる舞踏会は決して王族だけのものではなかったわけで。他の貴族たちだって贅沢していたはず。
ではなぜ、この王妃は同胞ともいえる貴族たちからこんなにも憎まれたのでしょうか?
マリー・アントワネットが貴族から嫌われた理由とは?
王妃になったマリー・アントワネット、実はヴェルサイユ宮殿内の儀式の簡素化や無駄なしきたりの廃止、緩和などを進めていきました。
より自由な気風の実家ウィーンに寄せようとすることに不満を持つというのはまぁ理解できますが…でも、無駄を省くって国政においてとても大事なお仕事ですよね?
しかしどうやらこれが彼女が反感を買った大きな要因の一つ。
“ムダ“な決まりや儀式の中には特権を示すものがあり、その既得権益を守ることで他の貴族に対するマウント材料になっていたのです。
それをムダの一言で奪い取られた上流貴族たちが王妃に不満を持ち、離れていった…ということみたい。
さらにマリー・アントワネットは、自分のお気に入りの貴族としか付き合わなかったことも宮廷内での溝を深めてしまったようなのですが…それにも理由がありそうです。
彼女が嫁いだ先には先代ルイ15世の寵姫、デュ・バリー夫人が社交界の華として君臨していました。マリー・アントワネットは早々にこのデュ・バリー夫人と壮絶なシカトバトルを繰り広げたと伝えられていますが、その陰にはルイ15世の王女たちの企みがあったようです。
デュ・バリー夫人の存在を面白く思わない王女たちがマリーを味方に引き入れてそそのかしたようなのです。美しく朗らかで宮廷でも人気者のデュ・バリー夫人ですが、出自が貧しく、母マリア・テレジアが下賤の職業の女性を嫌っていたことも重なって、マリーは王女たちの企みに加担してしまいます。
無視は2年も続き、最後はルイ15世を怒らせてしまいます。騒動をおさめるため予め決められた言葉をデュ・バリー夫人にかけたマリー・アントワネットですが、その後王女たちとは距離を置くようになりました。
なんだか中学生のいじめみたいですが…って当時14〜15歳なので現代なら中学生ですよね。若く経験の浅いアントワネットは、陰で操る王女たちによっていじめの主犯格みたいになってしまったのですが、彼女も被害者なのでは?とも思えます…。
人間不信になって、本当に自分の味方でいてくれると思った人だけに付き合いを限定したくなる気持ちもよくわかります。
そんないろんな事情が積み重なり、彼女に恨みを持つ貴族たちが集っては悪意あるデマを広めて世論を印象操作していった…と考えられています。
「贅沢で無責任な王妃」という悪評が定着してしまっていますが、彼女はその時代と政治のプロパガンダの犠牲者だったようです。
後編では、そんな彼女の人間性にさらに迫ってみたいと思います!
(tomekko)
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