忙しいママにもできる新NISA・iDeCoの始め方【「無理なく貯まる!初めての投資」 第2回】
Woman.excite / 2025年2月1日 20時5分
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第1回では、家計再生コンサルタントの横山光昭さんに、お金を増やす方法として「新NISA」や「iDeCo」で投資をすると税金が得になると教わりました。今回は、具体的な投資方法について伺います。
■「新NISA」と「iDeCo」は、どう違うの?
楢戸:子育て世代の投資初心者でも無理なくできるという「新NISA」と「iDeCo」。この2つはどう違うのでしょう?
横山:iDeCoは原則60歳まで引き出せない制度なので「老後資金をしっかり確保したい」人向きです。一方、新NISAは引き出しの制限はないので、あらゆる出費に備えることができます。
また、投資の「上限枠」や「年齢要件」も、頭の片隅に置いておくと良いかもしれません。新NISAで投資できる上限は1800万円までで、18歳以上なら誰でも開設できます。iDeCoは65歳未満の国民年金・厚生年金に加入している人が対象で、掛金の拠出限度額は働き方や加入する企業年金により異なりますが、2万円~6万8千円/月です。
■「新NISA」のメリット・デメリットは?
楢戸:「新NISA」のおすすめポイントと、注意点も整理したいです。
横山:それぞれを3つに的を絞ってリストにしてみました。
1. 購入した商品をずっと非課税で保有できる
旧NISAでは「一般NISA5年」「つみたてNISA20年」と非課税期間に制限がありました。新NISAの「ずっと」非課税という威力は計り知れません。
2. 「つみたて投資枠」は金融庁の条件をクリアする商品のみ
新NISAのつみたて投資枠は、金融庁が定める条件をクリアする投資信託とETFで構成されています。長期投資に適した商品でなければ条件を満たせないので、商品選びで失敗しづらい仕組みです。
3. いつでも引き出せる
マイホームの購入や子供の教育費などライフイベントには「大金」がかかるもの。老後を待たずにお金を引き出せるのはメリットです。
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1. 生涯投資枠は1800万円だが…
新NISAで投資できる金額は1800万円ですが、成長投資枠のみで投資をする場合は1200万円が上限です。上限の1800万円まで投資するにはつみたて投資枠を600万円併用する必要があります。つみたて投資枠のみで1800万円まで投資することは可能です。
2. 非課税枠は繰り越せない
新NISAの年間投資上限額は1年使い切りなので余った非課税枠を翌年に繰り越すことはできません。保有している商品を売却した場合は、商品の購入金額分の生涯投資枠が売却の翌年に復活します。
3. 損をしても損益通算ができない
課税口座は損失と利益を合算する「損益通算」ができますが、NISA口座は「損益通算」ができません。税金の優遇があるのは利益が出たときだけということになります。
■「iDeCo」のメリット・デメリットは?
楢戸:「iDeCo」のおすすめポイントと注意点もお願いします!
横山:任せて下さい!
1. とにかく税金がぐっと安くなる
iDeCoは3回オトクがあります。1つ目は積み立てる時に所得控除が受けられるので所得税・住民税が安くなります。2つ目は持っている時に利益が丸々自分の資産になります。3つ目は受け取る時に所得控除適用で所得税が安くなります。
2. 自営業は年間約82万円まで投資可能
自営業、フリーランスは厚生年金がない分、「じぶん年金」が大切です。会社員が最大で年間約28万円が上限なのに対し、自営業は約82万円まで投資が可能です。
3. 引き出せるのは原則60歳から
途中で引き出してしまう心配がないので、「老後資金専用口座」には最適な制度です。
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1. 加入時や運用時に手数料がかかる
運用時には毎月収納手数料(105円/月)、事務委託手数料(66円/月)、口座管理手数料(0~500円程度/月)、受け取り時にも手数料(440円)がかかります。
2. 元本確保型商品にもリスクがある
iDeCoには元本確保型の商品があります。元本が保証されているのは安心な反面、長期運用という視点で見ると、リターンが投資信託よりも低い傾向があり、手数料負けや物価上昇時は資産価値が実質的に目減りする傾向があります。
3. 開始が50代だと60歳で受け取れない
iDeCoの加入期間が10年以上必要です。このため、50代ではじめた場合は、60歳ジャストでは年金を受け取ることができません。
■結局、投資は何からスタートすればいいの?
楢戸:「新NISA」と「iDeCo」、それぞれにメリットとデメリットがあるんですね。で、結局、投資初心者は何からスタートすれば良いのでしょうか?
横山:「新NISA」と「iDeCo」どちらも一長一短があるので、「どちらがいいかわからない」という人は、新NISAの「つみたて投資枠」を少額でスタートするのが良いと思います。投資に慣れて家計にも余裕が生まれたら、節税メリットが大きいiDeCoを検討していきましょう。
▼資金を貯める目的はどちら?
もしくは、「資金を貯める目的」から考え始めるのもありです。老後資金を確実に用意したいのであればiDeCoだし、住宅資金や教育資金の支出に備えるのであれば新NISAです。©yumeyume - stock.adobe.com
楢戸:子育て中のママ世代では、住宅資金や教育資金の支出に備えることが多そうです。「始めるのは新NISA」ということで話を進めましょう。
楢戸:「投資をするための口座開設が億劫で」という声をよく聞きます。口座開設までのロードマップをイメージできると重い腰があがりやすいかもしれませんね。
横山:了解です。できるだけ簡潔に流れを説明しましょう。
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ステップ1:金融機関で口座開設を申し込む <所要時間:すぐできる!>
NISA口座を提供している金融機関で口座を開設します。証券会社はたくさんありますが、窓口に出向く必要がなく、取り扱う銘柄数の多いネット証券での開設方法をご説明します。
ステップ2:スマホで本人確認 <所要時間:約5分〜10分>
申し込みをすると、手続き用のURLがメールで送られてきます。次のステップは「本人確認」です。運転免許証かマイナンバーカードがあれば、スマホで撮影して手続きを進めることができます。
ステップ3:加入者情報を入力 <所要時間:約5分〜10分>
加入者情報を入力します。一番迷うのは「納税方法の選択」だと思います。初心者で、NISA口座で投資をする人は、利益がでても「非課税投資」なので税金はとられませんし、もし別に特定口座で投資したとしても、確定申告が必要になる年間20万円の売却益は出ない場合がほとんどでしょう。
NISA以外の投資が想定でき、常に徴収される税金がもったいない! と思うなら、源泉徴収されない「特定口座(源泉徴収なし)」がおすすめです。売却益が20万円を超えるようなら、「源泉徴収あり」に変更しましょう。
あとはNISA口座を「開設する」を選択し、他のサービスの加入案内に進みますが、これは登録しなくても大丈夫です。ちなみにiDeCoを同時に始めるなら、ここで(他のサービスの加入案内の時に)チェックができます。
横山:これで手続きは完了! 最短で翌営業日にログインIDが送られてきますので、そこでNISAが始められます。
■新NISAを始める時、銘柄はどう選ぶ?
楢戸:新NISAを始める際、「何を買えばいいのか?」は迷うと思います。
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横山:投資の初心者なら、「インデックスファンド」から始めるのが良いと思います。「インデックス」とは、市場の動きを表す指標のこと。インデックス、つまり株式指数への連動を目指すファンド(投資信託)なので手間がかからず、手数料が安いのが特徴です。
▼新NISAの銘柄を選ぶ時のポイントは?
楢戸:新NISAの銘柄の選び方についてはどのように考えたら良いでしょう?横山:まずは投資対象の「分散」を心がけることが大切です。投資先を日本だけに限らず、世界中の国々や地域の株式に投資すれば、リスクが抑えられます。
具体的には、「全世界株式」「先進国株式」「米国株式」といった言葉が入った投資信託を組み合わせるのが良いと思います。
たとえばファンド名に「全世界株式」や「オールカントリー」という言葉が入っている商品は、世界中の企業の株式が含まれていて分散効果が高いのです。また、米国は世界経済を牽引している国なので、米国に比重をおいて投資したいとなれば「米国株式」も良いでしょう。
■iDeCoの場合の銘柄選びは? NISAと同じで大丈夫?
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楢戸:iDeCoには元本保証型の商品がありますね。
横山:新NISAは投資商品だけですが、iDeCoには大きく2つのタイプの商品があります。1つ目は、投資信託などの「元本変動型」の商品。比較的大きく資産を増やせる可能性がある反面、元本割れのリスクがあります。
2つ目は、「元本確保型」の商品。定期預金や保険商品といった投資信託より低リスクの資産を運用するもので元本割れをするリスクはありませんが、低リスクの分、大きなリターンは見込めません。それぞれの違いは、把握しておきたいですね。
▼iDeCoの銘柄の選び方
楢戸:iDeCoの銘柄の選び方はどのように考えたら良いでしょう?横山:iDeCoの投資信託の種類は多く、リスクが比較的高いもの、運用コストの高いものなどがあります。
何を選ぶとよいかわからない人は、新NISA同様、「全世界」をベースに自分が投資したい地域を組み合わせ、かつ信託報酬という手数料が低く設定されているもので良いと思います。
また、仮に新NISAとiDeCoが同じタイプの商品になったとしても、たとえばファンド名に「全世界株式」や「オールカントリー」という言葉が入っている商品は、1本だけで全世界の株式に投資できる商品もあるので、そのような商品を選んでいるのであれば、新NISAとiDeCoが同じタイプの商品であっても大丈夫です。
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家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで26,000件以上の家計相談を受けてきた。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。
(楢戸ひかる)
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