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成人年齢が18歳に引き下げられ3年目の成人の日…少子化の下げ止まりはいつ?

Woman.excite / 2025年1月9日 12時30分

成人年齢が18歳に引き下げられ3年目の成人の日…少子化の下げ止まりはいつ?


成人年齢が18歳へ引き下げられてから、今年で3回目となる「成人の日」。

新成人(2025年1月1日現在、18歳に達している人)の推計は109万人で、過去最少だった昨年より3万人増えたとのこと。

それでも、新成人のおおよその親世代である第二次ベビーブーム世代からは約半減しています(1995年の新成人は209万人)。親世代そのものが減少しているので、新成人、つまり出生数が増えていくということはなかなか難しいということが、少子化が加速している実態でもあります。

一方、例年、9月の「敬老の日」を機に、高齢社会の実態が浮き彫りになります。

2024年の高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)は、29.3%と過去最高になりました。75歳以上の後期高齢者も16.8%、80歳以上でも10.4%であり、日本の高齢化率は世界200の国・地域中で最高です。

2025年は、年あたり270万人もいると言われている「団塊の世代」が全員75歳以上の後期高齢者になることもあり、今後、ますます高齢化率も上昇。2040年には34%程度まで上がると予想されています。対して、15歳未満人口は11.2%。

年々下げ止まりができない出生率
かつて、第二次安倍政権以降、出生率の目標を「1.8」としていましたが、最後に1.8になったのは、1984年。以後は、1.8を超えることは一度もなく、2023年は過去最低の1.20でした。出生数も、72.7万人と過去最少でしたが、2024年はさらに下回り、69万人と、70万人を割り込むと予想されています。


2020年の国政調査では、70万人を切るのは2030年代後半と予測していたため、少子化は予測を上まわるペースで進んでいるということになります。

出生数が100万人を切った2016年以降、9年を経過し、生まれてくる子どもの数は約3割も減っているのです。出生数が低下し、寿命が伸びれば、ますます、「少子高齢社会」の実態は顕著になっていきます。

これからより顕著になる社会の課題
少子高齢社会となって何が困るかといえば、15〜65歳の生産年齢人口※の減少による人手不足、消費や生産の減少による経済力の低下、人口増を前提とした社会保障制度の行き詰まりにより、年金受給や医療サービスの低下など、国力や生活に直結する課題が挙げられます。

これらはすでに看過できない状況となっていることも事実です。特に社会保障制度については、現役世代の負担により現在の受給者を支えるシステムであるため、すでに減少している現役世代の負担を増やし、受給を減らすことで制度を維持していますが、これが「老後の不安」に結びつき、消費の抑制や、非婚化、少子化の原因となっていると考えられています。

課題解決に必要なこととは?
これらの課題を解決していくには、発想を転換しながら、さまざまな方策をおこなっていかなければなりません。例えば、社会保障制度については、本来、人口減を前提とした制度への転換を図る必要があります。長く議論はされているものの、実行には至っていません。

経済力についても、労働生産性を高めるさまざまな方策や、規制、過剰な慣行などを排除することにより、徹底した効率化を進め、人手不足の解消などを図っていく努力が今も行われていますが、まだまだ余地はあると考えられています。

また子どもの数に応じて、教員の配置が決められていることから、少子化では教員の数も減らされますが、「個別最適な学び」のために、教員の加配もかなり行われるようになりました。

しかしながら、どのような「個別最適な学び」を行うか、その中身が重要であり、子どもが少なくなっている今だからこそ、それぞれの子どもの持っている力を最大限に生かすことのできるような教育に転換し、「人造りは国造り」という教育を今こそ現実のものとすることも、少子化時代だからこその政策ともいえます。

ところで、冒頭、新成人のことに触れましたが、成人年齢を18歳に引き下げたものの、かつて成人式と言われていた式典は「二十歳の集い」と名称を変えながらも、今もほとんどの自治体で20歳を対象に、お祝い会が開かれています。

※生産年齢人口・・・社会の生産活動を中心となって支える、15〜64歳の人口。



文/政治ジャーナリスト 細川珠生



政治ジャーナリスト 細川珠生

聖心女子大学大学院文学研究科修了、人間科学修士(教育研究領域)。20代よりフリーランスのジャーナリストとして政治、教育、地方自治、エネルギーなどを取材。一男を育てながら、品川区教育委員会委員、千葉工業大学理事、三井住友建設(株)社外取締役などを歴任。現在は、内閣府男女共同参画会議議員、新しい地方経済・生活環境創生有識者会議委員、原子力発電環境整備機構評議員などを務める。Podcast「細川珠生の気になる珠手箱」に出演中。


(細川珠生)

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