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死んだら思い出が美化されちゃうから…「いろいろあった」両親を許した理由【あさのますみ×燃え殻】

ウートピ / 2021年7月5日 20時0分

燃え殻:名もなき人たちって言葉あるじゃないですか。でも、名もなき人たちっていないじゃないですか。名はあるじゃないですか。僕がこれまでに会った好きになった人や面白いなと思った人、嫌なことをされた人って、誰かにとっては名もなき人たちかもしれないけど、名はあるんですよ。グラビアに出るほど美しい人でもないし、歴史に残るほどの何かを成した人でもないかもしれないけど、僕の中では忘れがたい人たち。

その人たちと過ごした時間は、気づいたら始まってて、気づいたら終わっている夏のようだなって。それも人生っぽいじゃないですか。もしかしたら夏の風景に消えていってしまうような人たちだけど、決してつまらないと思わないんです。逆に言うと、それは普遍的なものなんじゃないかって。そういうことを7割くらい書いて、あとの3割くらいは絶対に起きないだろうということをできる限り入れちゃった。

僕の中では、今話している会話みたいなことを、小説にバーッと書いちゃうことが多いんです。生きていて、悲しい時に悲しい音楽がかかったり、楽しい時に楽しい音楽がかかったり、すごく綺麗なライトが当たるみたいなことはないですよね。例えば、カーペンターズが流れている中で別れ話をするなんて、ああ自分のことだと思えない。ワイドショーとかが流れている中華料理屋で、別れ話が始まるほうが、経験ないけど、乗れるんです。なんでこんな話してるんでしたっけ。すみません。

あさの:小説だけじゃなく、エッセイも大好きです。「私もこんなことあったな」とか「こういう人いるよね」っていう風に、自分の中で言語化できない感情とか、忘れていたことを思い出すことがすごく多くて。

燃え殻:逆に、エッセイのほうが普遍的というか。今連載してる『週刊新潮』は、原稿30本くらい出してます。強迫神経症なのかもしれない。週刊連載に追われるのが嫌なんですよ。怖いから書いてしまっただけなんですが(笑)。

あさの:すごいですね。でも、燃え殻さんの作品が読まずにはいられないのは、読みながら過去の自分に会える気がするから。だから、過去の自分に会いに行くツールとして、みんなが手に取ってしまうような作家性なんだなと思います。うらやましいです。

(構成:ウートピ編集部・堀池沙知子)

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