女の生きる価値とは? 大阪二児置き去り死事件を追ったルポライターが語るシングルマザーの貧困と孤立

ウートピ / 2014年3月8日 15時0分

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母として、女として、生きる価値とは?

2010年夏、大阪のマンションで3歳の女児と1歳9ヶ月の男児の遺体が発見された。子どもを置き去りにしたとして逮捕されたのは23歳の母親。逮捕直後の報道では母親が風俗嬢として働いていたこと、子どもを放置しながらSNSでは遊びまわる様子を投稿していたことなどがセンセーショナルに報じられた。昨年3月、虐待死事件としては異例の重さとなる判決・懲役30年が確定。『ルポ虐待――大阪二児置き去り死事件』(ちくま新書)では、逮捕された母親・芽衣さん(作品中の仮名)の生まれ育った環境や事件前後をつぶさに取材し、芽衣さん自身も過酷な状況に置かれていたことが明らかにされている。彼女のような母親を生んだ社会背景と虐待をめぐる問題点を著者・杉山春さんに話を聞いた。

この10年で社会と家庭が変化した

――杉山さんは『ネグレクト―育児放棄 真奈ちゃんはなぜ死んだか』(小学館)でも、2000年に愛知県で起こった虐待死事件を取材されていて、『ルポ虐待』では、10年間で虐待の背景にあるものが変わったと書かれています。

杉山春さん(以下、杉山):『ネグレクト』で取材した事件では、家庭の中で事件が起きて、家庭の中で子どもが死にました。大阪二児置き去り死事件は「家庭の外」で起こったことだと思います。家庭が壊れ、子どもが育つ基盤が崩壊し、その後に起こったことです。芽衣さんは、夫と離婚後に行く場所を失い、子どもを連れて移動を繰り返しています。離婚してから事件が起こるまではわずか1年。その間に愛知、大阪などに数回転居し、複数の男性と性的関係を持ったり、その男性たちの元に身を寄せたりしていました。女性が移動しているということが特徴的で、社会の変化を表しているように思います。

――社会の変化というのは?

杉山:最近では「宿カレ」という言葉もあります。しばらくの間、過ごす場所を確保するために男性の元にいるという。一生涯を添い遂げるという前提ではない男女の関係、というのは以前からあったかもしれませんが、格差が広がり続けると言われる社会において、愛している、好きだからではなく、実は生き延びるための手段として男性と関係をつくるという形が増えているのではないでしょうか。その背後にあるのは、貧困の問題だと思います。

「誰かに助けてもらう」という権利意識のない母親

今年1月末に放送され、反響を呼んだNHKクローズアップ現代の特集「あしたが見えない~深刻化する“若年女性”の貧困~」。このなかで、周囲に頼るすべを持たず、託児所と寮があるという理由から風俗に勤務するシングルマザーの姿が紹介された。ウートピでは以前、「若い女性が貧困に陥るワケとは? 一度ハマると抜け出せない2つの“貧困スパイラル”」という記事の中で、「不運が重なれば誰でも貧困に陥る」ことを指摘している。

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