デモは一時の“流行”で終わらないのか? いま日本人が首相官邸前に集う理由

ウートピ / 2015年9月16日 12時0分

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いま日本人が首相官邸前でデモする理由

安保法案反対、集団的自衛権反対などのデモに参加する人々が増えています。2015年8月30日の国会前デモに様々な年代の人々が多く集まったことを報道で知った人は多いでしょう。

この注目の現場をドキュメンタリーで紹介した映画『首相官邸の前で』が、今月19日から東京や大阪、名古屋、仙台、札幌、広島などで公開されます。この映画は、2012年夏、福島第一原発事故後の政府の対策に抗議する人々の官邸前のデモを映し出したもので、デモの現場にいた人たちが撮影していた映像、自宅に戻れない福島の女性がデモに駆り立てられた経緯や、菅直人元首相のインタビューにまで渡り、高揚した実際の現場を鮮明に映し出した内容になっています。

デモをしていったい何が変わるのか? 歴史社会学者であり慶応大学教授の小熊英二監督に、デモを通して見えてくるもの、社会の変化について聞きました。

デモは世の中の動きのひとつの表われ

――この映画を見ると、政治への意識・感心が薄かった人でも心が動かされる内容だと思ったのですが、この作品を作られた理由は?

小熊英二さん(以下、小熊):いままで政治について考えたことがなかった人であっても、この映画を見ることによって、何かしらその人の気持ちが動くように作りました。こういうデモが行われていたこと、そのように世の中が動いていること、そういうことを知るだけで、意識は変わると思います。また人々が真摯に訴えている姿は、やはり人を動かしますよ。またメディアの方が見ることによって、彼等から世の中に発信される情報も変わっていくでしょう。

――また、この映画の映像に収められている2012年の夏、日本の政治は民主党が司っていました。そして2015年8月30日の国会前デモのときは自民党でした。政党によってデモへの対応は違うのですか?

小熊:デモというのは、社会の状態の表れです。たとえば、「年越し派遣村(※)」という事件がありましたね。あそこに集まっていた人自体は、さほどの人数ではありません。しかし、「彼らが社会の状態を象徴している」と思われたことで人々の認識や行動が変わった。デモもそれと同じで、社会の状態を、文字通りデモンストレーションしている。
そういう変化の兆候に対して、自民党は感度が少々鈍い。業界団体や町内会といった基盤の上にある政党なので、そこからの声には敏感に反応するけれど、その外で起きている事態には鈍いんです。小泉政権時代は、それでも無党派をつかもうと努力していたけれど、最近はそれもあまりやっていない。それに比べると民主党は、政党としての基盤が不安定なので、国民のいろいろな動きに敏感にならざるをえなかったという違いはあるでしょう。

(※)年越し派遣村(としこしはけんむら)とは、複数のNPO及び労働組合によって東京都千代田区の日比谷公園に開設された避難所。政治的意図を持った社会運動の側面もある。

派手なパフォーマンスは偏見を緩和させるため

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