生まれも育ちも選べないのに…「自己責任」って思っちゃうのはなぜ?【富永京子×上野千鶴子】

ウートピ / 2019年7月11日 20時59分

富永:もちろん、ダメではないです。それに意外と「これ言っちゃうと目立つかな?」ということでも、言ってみたら共感者がいたりするわけですよね。そういう意味では、自分で自分にストップをかけているところがすごくあるんだと思います。「これを言ったら自分のキャラと違うからやめよう」とか、「これを言ったら逸脱してると思われるからやめよう」とか。

上野:子供たちはそういう忖度社会で生きてるわけ?

富永:相当、空気を読んでると思いますよ。

上野:子供のときから忖度してるのか……。大人になってから急に始めるわけじゃないもんね。日本ではそのことを「同調圧力」と言うけど、本当に不思議でしょうがないのが、それは日本人の国民性でもなければ、DNAでも、文化でもないだろうということ。100%日本人DNAの子供をよその社会で育てたら、全く違う子供に育つからね。

富永:親世代に「普通幻想」みたいなものが強かったのかなあと、私はもう子供世代じゃありませんけど、そう思ってしまいます。

自己主張は「わがまま」なの?

上野:私は大学闘争当時の「家族帝国主義反対」というスローガンを愚直に守って「おひとりさま」になりました(笑)。

富永:私は「普通幻想」を愚直に守るかなと思いますね(笑)。

上野:でも(普通幻想から)“脱・洗脳”したんでしょ?

富永:「普通」というものは、なかなか根強いです。「スマホ持ってないの?」と言われたらスマホを持ちたくなりますし。

上野:そういう人たちは、できるだけクレーマーにならないように、波風立てないようにやってるの? クレーマーって波風立てる人のことを言うんだよ。ノイズを立てないと運動なんか起こせない。できるだけノイズを立てないように、できるだけクレーマーにならないように……っていう空気の中で生きていたら、誰も社会運動はやらないよね?

富永:たぶん、その途上に最近の社会運動があって、例えば「普通のイベントに見えるように」「社会運動に抵抗感を抱いちゃう人も参加できるように」工夫したいというのが(社会運動を主催する側の)ポイントとしてあるのかなと思う。

上野:昔は子供をデモに連れていくと「非常識」だと言われたけど、今はベビーカーで行っても安全な運動がある。そういうふうにハードルを下げるのはすごく大事なことだと思う。

だけど、そうやって何か自己主張することを、どうして「わがまま」と言われなきゃいけないの? そして、「あなたももっと『わがまま』になっていい」という表現で社会運動入門を勧めなければならないの? あなたの本の意図はわかるけど、そのおかげで、クレーム申し立て即わがまま、という理解が広がると困ります。

生まれも育ちも「自分のせい」と思っちゃう

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