女子スポーツ発展の裏に現代にも通じる「女の苦悩」あり【いだてん】

ウートピ / 2019年7月13日 16時10分

もはや「女性への配慮」というレベルではない。男女平等の意識がちゃんと織り込まれていると感じた。もちろん、当時の時代背景を反映すべく、女性蔑視な発言をする人物も出てくるのだが、女性に敬意を払う男性もいる。杉咲の夫を演じた柄本佑が顕著な例だ。

女子体育教育に全力を注ぎたい、なんなら自分も五輪に出たいと考えていた杉咲は、見合い相手の柄本にその旨を伝え、結婚を断ろうとする。すると、柄本は「仕事を続けてください、仕事も走るのも。結婚で何にも犠牲にしてほしくないんです。もうそんな時代じゃない」と、改めて求婚をするのだ。

そういう男性は必ずいる。多くはないかもしれないが、こういう人は自分自身もゴリゴリの男社会で傷ついてもいるのだ。女性と同じ目線で同じ歩幅で同じ速度で歩いてくれる男性がいてくれることに感謝したいし、ドラマの中にこういう人物がいてくれるおかげで、本当に平等になれる気がする。

そして、脈々と流れているのは「女の対立ではなく、女の融和」。寺島しのぶと菅原小春の師弟関係もそうだが、勘九郎の妻で熊本にいる綾瀬はるかと、その義母の大竹しのぶの嫁姑関係も良好だ。お互いの信頼と愛が伝わってくる。

さらに、勘九郎は五輪出場に加え、後進教育に明け暮れ、家庭をあまり顧みない。熊本にもほとんど帰らない。今でいう「別居婚」だ。それでも夫婦は円満。「夫婦が互いに幸せなら、どんな形態でもいいじゃないか」というケーススタディを、まさか大河で観るとは思ってもいなかった。

押しつけられてきた価値観を疑う。実に心地のよい大河なのだ。

(吉田 潮)

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