「それって、こういうことだよね」と言えちゃう人はモテる【荒川和久×中野信子】

ウートピ / 2019年9月9日 20時55分

中野:人間は、なかなか言語化できない感情を持っているのですが、その感情を巧みに言語化できる人がいると、みんなその人のことを好きになっちゃうんです。

例えば、テレビで人気のある人のほとんどは、これができている人ですよね。トランプ大統領なんかは、ちょっと極端な言い方をすれば、そのずば抜けた能力だけで大統領になったのではないかなと思ってしまうほどです。「移民を受け入れなければならない」という建前がある中で、モヤモヤと誰もが「移民は嫌だな」と感じていた。それを、彼は公衆の面前で、ハッキリと、分かりやすい形で発信して見せたんです。

荒川:モヤモヤしていて言語化できないときに、「これってこうでしょ?」と言ってくれた人のことを好きになったりしますよね。言ってほしいことを言語化してくれると、気持ち良かったり。

中野さんは以前、「話を聞いてもらうことは、セックスに匹敵する快感がある」というお話をされていましたよね? 話を聞いてもらうことは、すごく大事なことなんだなと思いました。

中野:その機能は、同じ回路を共有しているんですよね。セックスと話を聞いてもらうでは意外とセックスのほうが回数が多いのではないかというくらい、ちゃんと話を聞いてもらえる機会って、実はほとんどないんですよね。話をしていても、本当の気持ちはうまく言語化できなかったり、できたとしても受け止められる人が本当に少なかったりして、発信することそのものをためらってしまったりする。

実際のコミュニケーションにおいては、ただ相づちを打つだけだったり――これを共感と思っている人があまりに多くて驚きますが――、どうでもいい話だったり、盛り上がるために共通の趣味の話題をするというくらいで、本当に自分が思っていることを認めてもらったという経験はほとんどの人が日常的にはしていないのではないかと思います。

だから、自分のことを認めてもらったという感覚の気持ち良さは、かなり大きいんです。それができる人は必ずモテますし、職場でも信頼を得たりするわけです。悪用すればこれほど危険な能力もないでしょう。言葉の力だけでその人をからめ捕ることができる。結婚することなんて簡単です。そして詐欺師は、人の話を聞くのがとてもうまい人だと思いますよ。

荒川:人に話を聞いてもらうことが、そんなに気持ちの良いことなら、おじさんが自分でお金を払って、若い人に「俺の若い頃は……」と説教できる商売がはやりそうですね。今の時代は、説教なんてしようものなら大変なことになるので、お金を払って満足させるシステム。おじさんは若い人と話す機会がないから、お金払ってもいいと思いますよ。

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