睡眠不足で15兆円の経済損失!? ソーシャル・ジェットラグが与える影響

ウートピ / 2019年9月16日 11時45分

——なるほど。そういった行動が目立つようになったら、まずは睡眠時間を整えることに注視してみるといいのですね。

岡島:はい。病的なものでない限り、衝動性や多動性は減少し、健やかな発達を促してくれるはずです。

それともうひとつ。寝不足だと性の発達が早くなるとも言われている。第二次性徴期は睡眠物質であるメラトニンの分泌量の減少によって生じます。ですので小さい頃から睡眠不足によってメラトニンの分泌量を減らす生活をしていると、それが第二次性徴期を促す要因になってしまいます。最近の子どもがいろいろと低年齢化しているのも寝不足の影響ではないかという説もあります。

寝不足が自慢になる世の中を変える

——仕事が忙しくなると、24時間しかない1日のどこで時間の調整をするかというと、睡眠を削るという人は少なくありません。

岡島:残念ながら、日本人の睡眠に対する意識は低く、睡眠時間の短さは世界で1、2位を争います。講演会でアンケートをとると、「削るなら睡眠時間」と答える人がほとんどで「残業時間を削る」という発想にはなりません。それに、昔から睡眠時間を削って働くことが「えらい」と褒められる風潮が日本にはありますよね。

——たしかに。昨日、寝ないでがんばった私はえらいとか、寝不足がかっこいいというイメージ、ありますね。

岡島:寝不足が自慢になる国はそうそうないと思います。そこから変えていかないといけないと思っています。

——最近では、ノー残業デーを作るなど、多くの会社で働き方改革に取り組んでいますが、それは睡眠には反映されていないのでしょうか? 

岡島:「フラリーマン」という言葉が誕生したことからもわかるように、反映されていないケースは多いようです。会社が早く終ると時間が余ってしまって、何をしたらいいのかわからず、外でフラフラしているうちに、結局帰る時間は残業をしたときと変わらなくなる。

寝る時間を確保できる状況ができた今だからこそ、ソーシャル・ジェットラグの危険性を世の中に知ってもらう絶好のチャンスと考えています。

——そのために、岡島先生は現在、どのような活動をしていらっしゃるのですか?

岡島:講演が中心です。睡眠不足やソーシャル・ジェットラグによって「いかにパフォーマンスが落ちるか」ということを、さまざまな事例をあげながらお話しています。

先ほど、経済損失の観点でお話をしましたが、ソーシャル・ジェットラグや睡眠不足で本来のパフォーマンスが発揮できていない人はたくさんいます。体調不良のまま、なんとか日々をしのいでいる人は、たぶん本来の自分のパフォーマンス、潜在能力を知らないと思います。

睡眠を見直すだけでこんなにパフォーマンスに差が出るという経験を、ぜひ体感していただきたい。そのための啓蒙活動をいかに迅速に進めていくか、それが専門家である我々の課題であり、社会的な役割だと思っています。

第3回は9月23日(月)公開予定です。
(取材、文:塚本佳子、撮影:大澤妹、編集:安次富陽子)

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