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<Wコラム>日本と違う韓国のビックリ~女子プロゴルフが強い理由

Wow!Korea / 2016年5月19日 16時20分

だが、「娘がつぶれるか、自分が破産するか」という断崖絶壁に追い込まれていた父親は、親の情をすべて捨て去って娘を鍛えた。

さらに、父親は地元のゴルフ場に娘の素質を売り込んで、無料で練習できる特権をつかむと、1日1000球の打ち込みを朴セリに課した。真冬に、クラブを持つ娘の手のひらが血でにじもうとも、見て見ぬふりをした。

父親は、夜の墓場に朴セリを置き去りにしたこともある。

精神力を鍛えるためだった。

韓国は土葬の国である。墓地も広い敷地が必要なため、ほとんどが山の中腹にある。そんな人里離れた暗闇の中で置き去りにされたら、大人でも恐怖で顔が引きつる。

我が子を谷底に落とすどころか、さらにその谷底に岩を蹴落とすような仕打ちを父親は繰り返した。

■驚くべきは女性の精神力

「借金を踏み倒して逃げるような奴が、今度は娘をくいものにしている」

周囲の人たちは父親を露骨に非難した。だが、父親思いの娘は、一つも泣き言を言わなかった。

「パパが他の人に無視されるのが絶対にイヤ。私が有名になれば、誰もパパを笑ったりしない」

儒教社会の韓国では「男尊女卑」の風潮が色濃く残っているが、女たちは日陰にいながらでも常に一家の真の支えであり続けた。秋霜烈日が続いた20世紀の韓国がその苦難に耐えてこられたのも、辛抱強く逞しい女性の働きがあったからこそだ。その芯の強さを朴セリも見事に受け継いでいた。

父親も鬼だが、韓国ゴルフ協会も恐ろしい。10代なかばで国家代表候補になった朴セリは、年間200日間の強化練習で鍛えられた。極めつけは軍事訓練だ。軍人用の精神強化プログラムを繰り返し受けさせられ、緊張した場面でも動じない精神を作り上げた。

こんな強化訓練は、日本では考えられない。鍛えるときに容赦ないのが韓国流と言うべきか。その凄まじさには本当に驚かされる。

朴セリは成功し、彼女のようになりたいと願う娘たちがこぞってゴルフを始めた。もちろん、朴セリのように苛酷な練習を続けた。真似のできない練習量が、今の韓国女子選手の強さを築いたと言える。

(文=康熙奉〔カンヒボン〕)

(ロコレ提供)

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