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<Wコラム>ペ・ヨンジュン 過去への旅路~映画「スキャンダル」に主演

Wow!Korea / 2016年5月30日 17時33分

「息が止まるほど痛かった。こんなことをいつもしなければいけないなんて……」

弱音を吐かないペ・ヨンジュンが嘆くほどだから、本当につらかったのだろう。それほど苦労して両班に扮してみると……。

■気持ちは焦るばかり

やはり、実際に成りきってみないとわからないものだ。ほとんどの人が「ペ・ヨンジュンが両班に扮しても似合うわけがない」と思っていたのに、カメラテストの評判は上々だった。

気を良くしたペ・ヨンジュンだったが、それでも頭の痛みには苦しめられるばかりだった。撮影中にいつもこんな思いをしなければいけないのか、と思うと気が重かったが、鏡を見ては自分を奮い立たせた。

カメラテストの成功によって、イ・ジェヨン監督はペ・ヨンジュンの主演を決断した。かくして、2002年の秋から、ペ・ヨンジュンは映画初主演の『スキャンダル』の撮影準備に入った。

現代的な青年をずっと演じてきたペ・ヨンジュン。一転して、時空を越えて数百年前の風流人に扮しなければならない。

撮影に入る前に、やるべきことは数多くあった。

まずは減量。朝鮮王朝時代のエリート層が筋肉質な体型をしていたのでは、サマにならない。ペ・ヨンジュンはトレーニングをやめ、食事の量も減らした。

そのうえで、韓服を着こなして古い時代の所作を身につけるための訓練を始めた。歩き方一つとっても、両班は威厳を保ちながらゆったりと歩かなければならない。さらに、詩作、絵画、武芸に精通していなければならない。覚えることが非常に多かったが、時間が足りずに気持ちは焦るばかりだった。

中でも、一番苦心したのは言葉だった。朝鮮王朝時代の両班の言葉は、まるで外国語のようにも思えた。

■興行的にも成功

撮影が始まってみると、言葉の問題で悩むことが多かった。

どんなにセリフを完全に覚えてカメラの前に立っても、自分では思いどおりに演技できたという実感がないのである。

周囲の反応はどうなのか……。

気になってイ・ジェヨン監督のほうを見ると、彼はプロデューサーとモニターを見ながら深刻な表情で話し合っていることが多かった。

一体、なんの話をしているのか。気になるペ・ヨンジュンは、つい2人の間に割って入ってしまう。

「私にも聞こえるように話してくださいよ」

ペ・ヨンジュンは必死に懇願した。あまりに切羽詰まった様子だったので、スタッフたちはかえって冗談だと思って笑い合った。

しかし、冗談でもなんでもなかった。ペ・ヨンジュンは自分の演技に自信が持てず、監督やプロデューサーからのアドバイスを待っていた。そんな状態だったから、周囲のヒソヒソ話が気になって仕方がなかったのだ。

テレビドラマで頂点を究めた俳優も、映画の世界ではまるで新人のように謙虚だった。結果からいえば、それまでの実績を捨てて一から演技に取り組もうという姿勢が功を奏した。映画『スキャンダル』は2003年の秋に韓国で公開されたが、ペ・ヨンジュンの演技が高い評価を受けた。何よりも、「優雅なふるまいが両班の特徴をよく捉えていた」と評されたことがうれしかった。

また、興行的に黒字になったことが大きかった。

それ以前に「時代劇映画は当たらない」と言われてきたのに、そのジンクスを『スキャンダル』は覆した。新しい役に果敢に挑んだペ・ヨンジュンの意欲は、興行的な成功という形でも実を結んだ。

(次回に続く)

文=康熙奉(カンヒボン)

(ロコレ提供)

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